64話 王都への道のり 7
-王都マハル 近傍-
マハルはシンタックから思った程離れていなかった。道中も良く整備された道で快適に走ることが出来た。周囲にほぼ森が無いのは伐採して使ったのだろうな。遮蔽物が全く無いので、これでは賊も隠れようが無い。周辺を警邏していると思しき部隊ともすれ違ったので、概ね安心出来ると考えて構わないだろう。王都近郊ならではの環境だな。
「警邏の部隊が巡回してるんだね。王都の周りに賊が居ないのも納得だわ」
見た感じでは装備も一級品だ。盗賊程度では相手にもならないだろう。しかも全員が騎兵だ。逃げる事も許さないということか。これでは王都周辺に来る賊がいるはずがないな。
「こういった部隊を周辺警邏に割けるぐらいの戦力と予算が有るということですね」
王都本体の警護はかなりの規模になると見積もられる。常備兵力も相当だな。
「一先ずは安心だね。王都ではどうするつもりなんだい。伝手も何も無いけどさ」
「招待状を見せれば王都での支払いは全て王家に付け替わります。もちろん大会の前後だけですが、十日間ぐらいは問題無いそうです」
「太っ腹だねぇ、んじゃすっごく高そうな宿にしようよ。折角の王都なんだしさ」
そんな上手い話が有る訳なかろうが。枠が決まっているのが当たり前だ。
「王家が提携している店と宿には印が有るとの事です。該当する所だけでしょうね」
まぁ、それだけでも助かる。大会に関する情報を取り易いということだからな。
「何だぁ、残念。でも王家の紹介ならそんなに悪いのは無さそうかな。面子も有るし」
それは確かに有るだろう。外部の招待選手の泊まる宿であれば、相応の環境を用意しているはずだ。その程度の飴が用意出来ねば人も集まるまい。
やがて王都の城壁が見えて来た。壁の外側にも畑が広がっているのが他の都市と大きく異なる点だろう。治安維持の対象地域がそれだけ広いということだ。
「門まで結構な列が出来ているけど、私らも並ばないといけないのかなぁ」
そんな事も無いとは思うがな。門まで行って確認するのが良いだろう。
「門まで進みましょうか。知ったかぶりをせず素直に聞くのが一番です」
所詮、我らは辺境の田舎者なのだ。知らなくて当然、素直に教えを乞うべきだな。
門まで進み、警護の兵に尋ねると招待状で呼ばれた者は北門から入る様に言われた。そもそも入口が違ったらしい。ちなみに現在地は西門で、外壁沿いに進めば着くとのことだった。示された通りに壁沿いに進むと、暫くして別の門が見えた。ここだな。
招待状を見せるとすぐに通してくれた。馬車の中も見ようとしない。こんな警備で大丈夫か?釈然としないが俺達がどうこう言うものでも無いか。
門を通って中に入ると、目の前には無駄に広い道路が続いている。正面の大きな建物まで延びている様だ。何かの競技場に見える造りだ。恐らく今回の会場だろう。




