表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
探求編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/457

41話 生活水準向上の為に 3

-自警団詰所 会議室-


 自警団の人達にタニアから話をしたところ、反応は良くなかったそうだ。予想通りなので驚くことでもないが。

 そんなわけで俺の目の前には8人の男女がいる。タニア、メリッサ、ミラン、ボンデ、ドラン、アルフ、ダリオ、カーラ。アルフとダリオはボンデが、カーラはミランが連れて来た。とりあえず自警団の会議室に集まってもらった。全員一様に顔には不安が出ている。まぁ、そうだよな。話の出元がこんな子供じゃそうなるのが当然だ。

 

「集まっていただいたのは今回の計画を説明するためです。これを見て下さい」


 机の上に雑に描いた地図を広げる。これでも位置関係は理解出来るはずだ。


「この範囲で立木を伐採します。倒した木は川から製材所に運びます。木が無くなったら地面を均しつつ大きな石を取り除いて土壌を整備します」


 至って真っ当な手順だ。簡単に出来れば苦労はしない。魔法みたいなものは無いのだ。


「それだけの立木を切り倒すだけでも相当な労力だぞ。何か秘策でもあるのかい?」


 ボンデは普段からやっているので作業の具体的な内容が分かる。それだけにこの面子でやることが不思議なのだろう。確かに彼らと同じ方法では尋常じゃない負担が掛かる。


「道具を使います。実際に見ていただいた方が早いでしょう。簡単にとは行きませんが思っているよりは楽に進めるはずです。試してみてからご意見は伺います」


 全員を促して外に出る。皆の足取りが重い気がするのは仕方の無いところだ。

 

「ここに有る物が今回使う道具になります。使い方は着いてから教えますね」


 今回のために作って置いた道具がこれだ。荷車には滑車とロープが柱材と共に沢山載っている。鉄製部品が幾つか有るがこれは後で説明が必要かな。今回一番苦労したのはロープの強度だ。結局、複数縒り合わせた太い物になってしまったが。


「見たことの無い物が多いな。どうやって使うのか見当も付かん」


 アルフはボンデの同僚だったな。製材所でも応用は出来るから覚えて帰るといいぞ。


「こっちは以前言ってた奴かい?ちょっと思ってたのとは違う感じだけど」


 ボンデはこの間話したユニックの事を言っているようだ。残念だがそれは違うぞ。

 それなりの機能は有るが用途が違う。そんなに便利な物ではない。


「ではどちらでも良いので分かれて乗って下さい。現地に向かいましょう」


 御者はタニアとミランに頼んだ。俺達は荷車の資材の上に適当に座ると作業予定地へ向かった。先頭はミランが牽く荷車。横で俺が案内をする。今回は馬達の力も使う。後は準備した道具が機能を発揮してくれることを願おう。

 実際にやってみないと想像通りにやれるかは分からないものだしな。



-オルナの森 開拓予定地-


 今回取り除く立木はそれほど太い木ではない。川辺の平地なので若い木が多い。直径にして30cmも無い。山の中ではないので密度も大したものじゃない。そうは言っても雑木林を畑にするのは骨の折れる作業には違いない。


 これを斧で一々切り倒していたら時間が掛かり過ぎる。予定している範囲には概ね30数本の立木が見える。間隔はそれなりに空いているので多分やれそうだ。


「ちょっと組み立てますので暫く待ってて下さい」


 俺は簡単にバラしてある伐採機を組み上げるべく荷台から降ろす。パっと見は大型の両引き鋸が仕込んである何かとしか分かるまい。


 ボンデとアルフは興味が有るのか、俺の作業をずっと見ている。君らは本職だものな。 

 組み上がると背の低い横長の机の様な道具が出来上がった。後は使い方を教えないとだな。出来上がりを見ても彼らはどんなものか想像がつかない様で首を傾げている。


「ええと、ボンデさん達に試してもらうのが良いですかね。本職の方ですし」


 皆も集まって来たな。説明するのに都合がいい。


「ボンデさんとアルフさんで鋸の両側を持って。そう、そんな具合です。メリッサさんはそこの台に在る取っ手を掴んで下さい。はい、そこからゆっくり押し回します」


 メリッサがハンドルを回し始めると鋸刃が左右に動き出した。うん、どうやら動きそうだな。問題は耐久性か。今回使い終わるまで持てば上出来だろう。


「え・・・と、これはどういう?」


 メリッサの動きが止まっている。他の奴らも同じか。頭が付いて行けないらしい。


 クランクシャフトと歯車を径違いで組み合わせただけの物で難しい仕組みじゃない。そのうち水車でも使う技術なんだが。そういやここって鍛冶師いなかったな。そのうち探してこないといけないか。


 俺がやったのはレシプロソーの再現だ。チェインソーが欲しかったんだが金属加工技術に内燃機関とハードルが高すぎた。丸鋸とどっちにするか悩んだが、今回は用途により向いていると判断してこちらにした。手で鋸引きをするよりはどっちもマシなはずだ。


「メリッサさんがそこで回すことで鋸刃が動きます。ボンデさん達は二人で上手く具合を見ながら木に押し当ててみて下さい。気持ち軽めで丁度良いはずです」


 ボンデ達には真っ直ぐだ平行だと言う必要も無いだろう。普段から二人挽きの大型鋸は使っているはずだ。本職に煩く言って機嫌を損ねたくはない。


「へぇ・・・こりゃ大した仕組みを作ったものだねぇ。いや、驚きだ」


 タニアは素直に感心している様子だ。皆も頻りに頷いている。

 いや、君たちの仕事はこれだけじゃないからね?早く次に移りたいんだけど。

 一先ずこの道具は今の3人に任せるか。さっさと割り振って進めてもらおう。



「伐採する立木には道側に全て受け口を作って下さい。ある程度切れば引き倒します」


 受け口というのは倒す側に作っておく切り欠きのことだ。切断位置から下側に作ることで自重によって倒れる方向をある程度決められる。受け口を作ったらある程度引いておく。


 そこそこの割合を切れば馬の力で引き倒すことが出来るし、その方が早いだろう。そのためにある程度の力に耐えられるようにロープを縒り合わせたのだ。

 木のやや上側に縄を掛け、馬に少し引かせる。逆側に鋸刃も入れ易くなるし、1本当たりの切り倒す時間が早くなる。一頭だと倒木に潰される危険が有るので二方向に分かれて引く。二頭の馬の操作が必要なので、ここはミランとカーラに任せる。

 

「で、アタシらは何を作ってるんだい?とりあえず言われた様には出来たけどさ」


 タニア達には木組みで3mほどの高さの塔を作ってもらっている。塔と言っても大きめの木枠みたいな物だ。

 

 予定している物はフィールドアスレチックに良くあるターザンロープとかジップラインと呼ばれるアレだ。今作っているのは発着場に該当する部分になる。ドランとダリオも何に使うのか見当が付かないようだ。

 上手く使えば製材所でも石切り場でも楽になると思うのだがな。まぁ、ここで覚えて行ってもらおうか。川辺の側を少しだけ低く作るのがコツだ。


 長くやり過ぎても疲れるだけだし、この辺で切り上げるか。


「今日はこれで終わりましょう。道具はその場に置いて、皆さん集まって下さい」


 少し陽が傾いた程度だが、疲れていないぐらいが丁度良い。労役とは違うのだ。



-自警団詰所 食堂-

 

 自警団に戻って会議室ではなく食堂に集まった。まぁ、予想はしていたが。

 帰り道にメリッサが駄々をこね始めたので戻ってすぐに唐揚げを作ってやった。

 素材は家鴨肉で塩味を強めにした。人数が多かったので量も多めだ。


「これとっても美味しいですね!見たこと無い料理ですけど、お城の料理かな」


「いや、多分だけどお嬢の思い付き料理だろうよ。そうじゃないのかい」


 タニアは既に飲み始めている。ミランは初めてか。気に入ってくれたのは良かった。


「皆さんお疲れ様でした。ボンデさん、道具の具合は使ってみてどうでしたか?」


 そんな事よりは使ってみた感想を聞きたい。お前らは大人しく食ってろ。


「ああ、なかなか便利な道具だね。慣れたらかなり早く作業が進みそうだ」


「そうだな。コツを掴めば力が要らない分だけ疲れずに数をこなせるのはいいね」


 ボンデとアルフの評価は悪くない・・・が何か引っかかる言い方だな?


「私はもう腕が疲れて大変だったのよぅ。ボンデもアルフも代わってくれないしさぁ」


 二人共、そこで目を逸らすな。メリッサも恨めしそうに見るんじゃない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ