921 魔力ゼロでも全銀河を支配
ソウルヴァース学園。
原初の神アストラストの巨躯が横たわっている。
リチャードは剣先を、転がるその首に向けた。
「前世では卑劣な罠にかかり、ユイナ様とアーリエルを救えなかった。
俺は復讐のため、ここまで来た。
原初の世界を牛耳り、グランドクロスで全銀河を定期的にリセットするのは、お前の保身のためだろ?」
アストラストは歯切れの悪い声で答える。
「誤解だ。我がやったのではない。原初の王女ユイナと、執事リチャード一派を邪魔に思った反対勢力の仕業だ」
「言い訳は通用しない。原初の世界で情報はすべて収集済みだ。
今回は俺が表舞台に立ち、アイルを囮にしてクエストを遂行した。
こんなに早く、お前が姿を現すとは思わなかったがな」
アストラストは舌打ちをした。
「配下の創世神ごときに任せられるはずがない。
我が嫌がることをして、おびき出したのは計算通りか。
しかし放っておけば、貴様が手を貸してアイルはノーミスでクリアし、時空大渦のない世界線を作るだろう。
そうなれば、全銀河をリセットする手段がなくなる」
リチャードの目が鋭く光った。
「やはり、今回もお前が引き起こしたものか」
その瞬間、シルヴァーナが叫ぶ。
「えっ? 頭の中から何かが出てくるわ。はぁ? ぬいぐるみ? 魔力すら感じない……」
リチャードは笑った。
「アストラストの本体です。あの巨体は神魔道具で、つまりロボットだ。
本人はバレていないと思っているが、原初の世界では公然の秘密なんですよ」
ロウィンがぶつぶつ呟く。
「ユイナも原初の神だけど、記憶が戻っていないのか……。
もう学園の先輩として偉そうなことは言えないな……」
校庭には、光と影がひっそりと交わっていた。
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