917 【魔神ルミナと知恵者・孔明】絶対無効化の神へ、我らは“確率”で抗う
魔神ルミナの黒炎と白銀のオーラが、ソウルヴァース学園の崩壊したグラウンドを照らしていた。
孔明の敷いた石兵八陣は、光り輝く巨人──原初の神アストラストを、秩序だった岩の配置と厳密な術式で地面へ押さえつける。
ルミナは彼を見据えたまま、静かに言った。
「……見事な陣形。でも、いつまで保てるの?」
孔明は羽扇で風を切り、陣の周囲でうねる奇門遁甲の術式を監視する。
「魔神ルミナ殿、ご心配なく。この陣は物理的な拘束だけではありません」
戦場を揺らす轟音の中で、孔明の澄んだ声が響いた。
「封じているのは、『宇宙の書式を書き換える権能』そのもの!」
アストラストは黄金の巨体を軋ませ、天を震わせる怒号を上げる。
「戯言を! 知恵者が、この我の根源へ触れられると思うな!」
巨躯から溢れ出す光は空間を断裂させ、石兵八陣の岩に鋭い亀裂を刻んだ。
関羽が青龍偃月刀に緑の闘気を纏わせ、巨神へ音速で跳び込む。
「軍師殿! この関羽が命に代えても道を切り拓く!」
だがアストラストは一瞥すらせず、冷ややかに呟く。
『書き換え規程・重力増幅』
不可視の黒円が関羽の足元に浮かび、重力が数万倍へ跳ね上がった。
呻きと共に膝をつき、刀を地に刺してかろうじて姿勢を保つ。
その肉体がきしむ音が、戦場を支配した。
続いて張飛が漆黒の蛇矛を携え、竜巻のような勢いで突撃する。
「卑怯者め! ≪破軍突進≫!」
アストラストは絶対的な冷たさで宣告した。
「書き換え規程・因果遮断」
張飛の突撃は意味を失い、アストラストの皮膚の寸前で“誰にも届かない行動”へと事象が変わった。
蛇矛は空を切り、張飛の影すらアストラストへ触れない。
「な、なんだと!? 当たらん……!?」
ルミナは口角を上げる。
「絶対無効化スキルか。でも、対策はある。孔明、見せてみろ」
風が陣内を巡り、紙片が舞った。
孔明は天へ羽扇を掲げ、涼やかな声で宣言する。
「物理も、因果も封じられる。だからこそ我らは──」
一拍の間を置き、
「確率へ手を伸ばす!」
『石兵八陣・第二律:天変地異の書式!』
巨大な八卦が地面に輝き、空が急速に黒く塗り潰される。
降り始めた雨粒はアストラストの神体に触れるごとに「ノイズ」を発生させ、黄金の体をバグったデータのように不規則な光で乱し始めた。
「……馬鹿な。確率操作ごときで、この我が……!」
アストラストの黄金の瞳に、激しい混乱と焦燥が浮かんだ。
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