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914 勝ち目なら、作ればいいじゃない

 ソウルヴァース学園は大パニックにおちいった。


 ルミナは原初の神アストラストの前に瞬時に転移した。


 右半身は黒い炎に包まれた魔人の肉体へと変貌へんぼうし、漆黒しっこくの翼が開く。

 左半身は白い光をまとった天使の姿となり、白銀の羽根が静かに揺れた。


 闇と光が同時に脈動する――魔神としての本性。


「ここが貴様の墓場だ」


 アストラストが空を震わせるように吠えた。


「その程度の器で、宇宙の書式フォーマットに触れられると思うな」


 黄金の巨躯きょくが腕を掲げる。

 空が裂け、数十の光柱が学園へ落下してきた。

 校舎が砕け、地面が焼け、逃げ惑う生徒の叫びが混ざる。


 ルミナの指先がひらめくたび、黒い紋章が空へ走り、柱を弾き飛ばした。


「……フォーマットだのなんだの、興味ないわ。アイルを傷つける存在は、殴り倒すだけ」


 黒炎がルミナの周囲で渦を巻く。

 地面が割れ、魔神の力が世界の縁まで響いた。


 アストラストは嘲笑ちょうしょうを漏らす。


滑稽こっけいだな。情で宇宙法則に抗うつもりか」


 ルミナは迷いなく応じる。


「違う。これは覚悟よ!」


 彼女のてのひらが輝き、巨大な魔法陣が天に浮かんだ。

 学園上空を覆うほどの、黒と銀の曼荼羅まんだら


『魔神詠唱・第一律プリマコード――千の闇よ、我に従え』


 黒炎の刃が無数に生まれ、アストラストへと放たれた。

 世界が悲鳴を上げるほどの密度と速度。


 アストラストは余裕の表情で指を鳴らす。


「書き換え規程・零式ゼロフォーマット


 放たれた刃が、消しゴムで消されたように跡形もなく消滅した。


 ルミナの瞳が鋭く細まる。


「……本当に厄介ね、あんた」


 アストラストは宣告する。


「この戦いは、宇宙そのものの裁定だ。魔神に勝ち目はない」


 ルミナは、金色の巨神を見据えて笑った。


「勝ち目なら――作ればいいじゃない」

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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