005 エリス×マリス
エリスとマリスはどちらも「タイムリーパー」と呼ばれる特殊な力を持っていた。
タイムリーパーとは、時間を戻したり進めたり、あるいは止めることができる者のことだ。
しかし力を使うたびに時空は歪み、世界の崩壊を招く危険が増す。エリスはそのことをよく理解し、慎重に力を使っているが、時間を操る者は常に「時間の狩人」と呼ばれる魔物に狙われていた。
時間の狩人たちは、タイムリーパーの力を奪い、自身の力を増幅させようとする存在だ。彼らは手段を選ばず追い詰め、力を奪おうとする。逃げることはエリスとマリスの日常だった。
エリスは時間を戻す能力に長け、マリスは時間を止める力を持つ。エリスが危機を回避し、マリスが追跡者を振り切ることで、二人は何度も逃げ延びてきた。しかし、逃げ続けるには限界があった。どれだけ力を使っても狩人たちはしつこく追い詰めてくる。
「これだけ力があっても、無力ってわけ」
エリスは現実の厳しさに苦しみながら、妹と逃げ続けていた。しかし彼女たちは生き延びるだけでは満足していなかった。根本的な解決策を見つけなければ、この終わらない逃亡は終わらないと強く感じていた。
エリスの力には、ただ時間を操る以上のリスクがある。時間を戻すことで時空に大きな歪みが生じ、予期せぬ影響を引き起こすこともある。何度も過去に戻れば、出来事が絡み合い、世界に深刻な影響を及ぼすかもしれない。
「巻き戻すたびに、世界が軋んでいく……」
彼女たちが望んでいたのは、魔王アスタロスを倒すことだ。
アスタロスは時間の狩人たちを支配し、その力を増幅させていた。彼の力が強まるほど狩人たちの活動は活発になり、エリスたちの命は危険に晒される。アスタロスを倒せば、狩人たちの目的は消え、彼女たちを狙う者も姿を消すだろう。
そのためにはまず強力な仲間を集める必要があった。エリスとマリスは、ニャン娘のサラと忠実なメイドのレイナと合流するのが最善だと考えていた。サラは不思議な力を持ち、レイナは戦闘に優れたスキルを誇る。二人の力を借りて、アスタロスとの対決に備えようとしていた。
さらにエリスは心の中で思った。
(ロウィンがいれば、もっと強くなれるかもしれない)
彼には何か特別な力が秘められていると感じていた。その力が開花すれば、アスタロスに立ち向かう大きな力になるだろう。
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