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セクハラ部長、また可愛い新人泣かしてるぜ

メールを見ていないのか、業務の進捗の報告に来た彼女は目を見張って、見る見る喜色満面の表情に変わってきた。肩を小さく震わせて、目には少し涙を浮かべているようだ。


「ネクタイピンさっそく着けてる。この上司、気を引こうと必死すぎて気持ち悪くて吐き気がするわー」とでも思われてるのだろうか?

俺は焦った。

「セクハラ部長、また可愛い新人泣かしてるぜ」

なんて言われた日にゃ会社に居られないからな!


しかし彼女は、「さっそく着けてくださってるのですね!私感激しちゃって…」と言い出した。


慌てて俺は小さく人差し指を口許にあて、“2人だけのひみつ”とメモ帳に走り書きした。

だって、ややこしいじゃないか!部下にプレゼントを強要してるなんて思われたらいかんし、このネクタイピンをこれから着けにくくなる。

彼女は、ぽかんとした顔をして、そしてまた見るみるうちに喜色に満ちた顔を再び露にしてきた。


いかんいかん!再び「しー!」

と言うと、斜め前のデスクの浦野聡美が「ん?」と顔をあげた。

「しーっかり、し、資料づくりを頼むよ」

とごまかしたのかどうかもわからない、ごまかしをした。


その夜、19時になる前、家のPCで持ち帰り残業をしながら、ふと息をつき、携帯からメールを送る。


「今日はステキなピン、ありがとう!とても気に入ったよ。大切にする」

と俺は二海にメールをした。


9月25日(月)18:57

YukiFutami1020@ssweb.com

Sab:Re:今日はこちらこそ、ありがとうございました!

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使っていただけてるのを見て、嬉しすぎて、泣きそうになってしまいました。

喜んでもらえるととっても、とっても、嬉しいです。


そして、蒲生部長との二人だけの秘密を持てたことも、嬉しすぎて今になってもニヤニヤしています。(´ω`)

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秘密ができたのが、なんで嬉しいのか。

そっか、こんなオヤジと私的なやりとりなんて、知られて恥ずかしくないわけない。「秘密にできてよかった」だな。うん、日本語は正しく使おう。


しかし、こんな高価なもの、もらったんだ。お礼するなと言われて、「ハイそうですか」とはいかない。


まあ、男の部下たちや、浦野聡美なんかはしょっちゅう飲みに連れてってるし、もう仕事について、まる1年だ。声をかけてもおかしくないか。ウン、おかしくない。キモくない。


「もしよかったら、今度一緒に食事にでもいかないか?ピンのお礼に、好きなものごちそうするよ!あ、もし“よかったら”でいいからね。」


9月25日(月)19:03

YukiFutami1020@ssweb.com

Sab:ごめんなさい!


やっぱりねー!!だよねー!

メールタイトルを見ただけで、少し落ち込んだ。

いや、少しじゃなかったかも。少し勘違いしていた頭をぶん殴られた気分だ。


いかんいかん、と呟きながらメールを開封せず、台所に行って冷蔵庫を開けて缶ビールを一気飲みする。

ふー!これで怖いもんねーぞ、どんとこい!


9月25日(日)19:03

YukiFutami1020@ssweb.com

Sab:ごめんなさい!

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お誘いはほんとに、嬉しいのですが、

私は「絶対におごってもらってはいけない」と両親から強く言われてきています。

なので、ごちそういただける気持ちはありがたいのですが、お断りさせてくださいm(__)m


---

社交辞令で親を使った丁寧なお断り方法。「ウチ親が門限に厳しくて~」という断り方と一緒である。さすがの彼女いない歴15年超の俺でもわかるさ。

しかし、このメールには続きがあった。

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その上で大変失礼なお願いなのですが、もしよろしければ、私とご一緒にプライベートでワリカンでお食事をしていただけないでしょうか?

部長には大変、大変、失礼なお願いなのですが、もしお願いできればとても嬉しいです。いかがでしょうか?


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ん?ようするに?


行くってことな?プライベートで、ワリカンで。

断られたのかと思ったら違ってた。

俺は混乱した頭を冷やすためビールを流し込み(冷えないってw)

うん、「コイツに借りをつくると、それをタテにせまられそうだ」とでも思ったからなんだな。そうに違いない。


しかしここは平静を装って、「ありがとう。ぜひプライベートで、ご一緒させてください!もちろんワリカンで(笑)」


と返信し、来月20日(金)の仕事のあとに行く約束をした。


「では一緒に行く食事を楽しみに…。おやすみなさい!」

とメールを終え、一人考える。


ん?そういえば、10月20日…1020…あれ?どこかで…、

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