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コーヒーの香りと二日酔いの朝に

二人の思いが重なった翌日。


ちょっとお互いに恥ずかしい朝です。

「ずっと一緒にいてほしい。オレは君と長い人生を歩きたい」

「やっと聞けました。嬉しいです」


オレはついに彼女に自分の素直な想いをうちあけることができた。


二人の思いが重なった夜。なのに健やかな寝顔を横に一人でもんもんと過ごした夜。


で…今日は土曜日。

今日は仕事が休み。

休日も朝7時前に目が覚めるのは長年の社畜…じゃなかったサラリーマンの培った習慣だ。けして、“トシのせい”なんかじゃない!


オレはカーテンを開けて朝日を室内に入れる。


ソファーでは、やっぱり二海由樹がぐっすりと寝息をたてている。


彼女の寝顔を見て、昨日のことが夢じゃないって再確認をする。


彼女の寝顔に、なんかこう、このへんがもやもやするのは、たぶんこのオレが若いからだ。けして17年間のドウテイ生活をこじらせたからじゃない。…と、思いたい。


いかんいかん!

オレは冷凍庫からコーヒー豆を取りだし、豆を挽く。そして優しくゆっくりとドリップする。

休日、余裕のあるときにするこの作業だが、大きな違いは二人分だということだ。このコーヒーを淹れる各種機器がはじめて複数人のコーヒーをつくっていること自体に感慨を覚えるぞ。


んー良い香りだ。酒を飲んだ次の朝にはこれがたまらん。この淹れるときにおきる甘い香りがなによりの好物で誰にも渡したくないのだ。


「ん…んん。」

彼女がむくりと起き出してきた。

「あれ!ここは?!」


「オレの家だよ。二海さんおはよう」


「和弘さん!あわわわ!すみません!泊まらせてもらってちゃったんですね!しかも私、こんな服のままで!」

うん、神に誓って指一本触れてないぞ。


「ほらコーヒー」

ありがとうございます、と二海由樹はコーヒーをすする。

「うわっ、美味しい…」

「だろ?」

オレはちょっと得意げだ。


「まさか、和弘さんのおうちにお泊まりをさせてもらうなんて。昨日は酔って寝てしまったのですね」

「ああ、気がついたら寝てたよ」

神に誓って指一本触れてないぞと2回目のつぶやきを頭の中でする。

「まさか、昨日のこと、全く覚えてないとは言わないよな」

オレの勇気ある19年ぶりの告白をな


「それは…はい…覚えてます。もちろん。嬉しいです」

と頬を赤らめて下をむく。

ほんとに可愛らしい。

こんな娘が彼女だなんて言った瞬間に日本の独身男子(オッサン)の半分くらいは敵にまわすだろう。


「覚えていてくれて光栄だよ。さささ!風呂お湯入れてるから、入って疲れを落としてきな!

着替えはないけど、オレのジャージならあるからよかったら貸すよ。タオルも脱衣室に置いてるから使って」

とオレは言う。もちろん、オレまで顔が赤くなっちゃうからだ。


「ありがとうございます!」

と彼女はいそいそと風呂場へと向かった。オレは覗かないよ!覗かない!…誰に向かって誓ってるんだよ!


こんな日がオレにくるなんて!まさか神でも想像してなかっただろう!髪は薄く、腹回りは厚くなってきているこの年になって!

おお髪よ!じゃなかった神よ!


ありがとう。


オッサンは今日も一人で悶えているのであった。










いつもお読みくださりありがとうございます。


この物語、いよいよ終幕にむけて動き出します。

これから二人の家族や出生の秘密等も明らかになりそうです。


引き続くご指導ご鞭撻、よろしくお願いいたします。

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