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オリオン座のむこうから

途中から、二海由樹の視点に変わっていきます

「流れ星、一緒に、見ませんか?!」

二海由樹の唐突な提案に驚きつつ、

まだこの人と一緒にいることができるのだという安堵を感じていた。


「…わかったよ。うちの家で飲みなおそうか。その代わり、片付けをするから玄関でちょっと待ってもらうよ!」

「はい!!ありがとうございます!」

満面の笑みで返事を返される。


こんな笑顔を返されたら、世の中の独り身のオトコたちは九分九厘コロッと落とされちゃうよ。


オレなんかあっという間だぜ。





私たちは和弘さんのマンションの部屋の前までやってきた。


日付はまだ変わっていない。


「しっかり捕まえとかなきゃ」

と、背中を押してくれた浦野さん。

私はあのとき、なぜかわかった。


浦野さん、和弘さんのことが好きなんだ。


だから、私に中途半端な恋をするな。自分より和弘さんを好きなのなら…。

きっとそうなのだろうと勝手に思い込むことに決めたんだ。

そう思い込まないと、浦野さんに勝てる気がしないから。



駅前にある唯一のコンビニでチーズとサラミと、レーズンバターを買った。

その間もわざと彼の腕に手をかけていた。「和弘さん」そう名前で呼ぶたびにドキドキする。

自分がこれだけ積極的な女だなんて、ここにきて驚かされている。心臓のドキドキが彼に伝わっていないかな。


「ちょ、ちょっと待ってね!」


また私はマンションの扉の前で待たされている。

そろそろ外でじっと待つのは辛い季節。そしてちょっと寂しい季節でもある。


「おまたせっ」

息をきらしながら扉を開けてくれた。

久しぶりの和弘の家のにおいだ。…においを嗅いでドキドキするのは変態なのかな…。


私は和弘さんに促されるまま、ベランダに出る。

今日は月が見えないからか、星がほんとにきれいだ。真上にオリオン座の三連星が見える。

「あちちっ」

和弘さんが熱燗を持ってきてくれた。

おちょこに注いで、ベランダで二人乾杯をする。

ふわっとお酒のいい香り。


「燗にする酒はちょっと甘めのほうがいいとオレは思う」

…たしかに。甘くて美味しい。



「あの三連星の横の方から流星群が見えると思うんです」


「ん?黒い三連星?」

「え?」

「いやいやいや、なんでもない、なんでもない」

なぜ、星が黒いのかよくわからなかったけど。ま、いいかな。


「寒いだろ」

ふわっとコートを背中にかけてくれた。彼のコートは包み込まれるほど、大きくて暖かかった。



「和弘さん?」

「ん?」

「今日はありがとうございます」

「うん。星見るなんて何年ぶりかな」

「嬉しいです」

「ああ。しかし、星流れねーな」 

和弘さんは、私の方を向かずに空ばっかりみている。たしかに、星をみようって言ったのは私だ。


「和弘さん?」

「ん?」

「好きです。」

「ど、どうしたの、きゅ、急に」

和弘さんがようやくこっちを向いてくれた。


「言いたくなりました」

「そ、そうか。」


「…和弘さんは私のことは好きですか?」

ずっと言えなかったことをついに聞いてしまった。


晩秋の冷たい風がひゅうと首筋を抜けていく。


酔っぱらってるかな。今日の私はかなり積極的なようだ。



一気に物語はすすんでいきます。


二人の思いは重なりあうのか。


いつもお読みくださり感謝しています。

たくさんのブックマークをいただいた物語もようやく佳境です。

ここまでこれたのもひとえに、たくさんのみなさんの激励のおかげだと思っています。これからも、もうしばらく物語をお楽しみいただけたら嬉しいです。


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