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なんてトライアングル-小松美佳の苦悩

引き続き小松美佳ちゃんの視点から。

商店街の中程にある、小さな洋食屋。


木の温もりを感じさせる内装とは店主のこだわりだそうだ。

同じく店主こだわりの木製テーブルとチェア。

そこに腰掛け、3人の話はどこまでも弾む。


「しかし、由樹ちゃんがイケるクチだったとはねえ~」


「こないだ誕生日デートで、覚えたらしいですヨ!」

「あー!言わないで~」

由樹ちゃんが真っ赤な顔をして言う。


「えー!それは聞きたい!ぜひとも詳しく!」


浦野さんの要望による、二海由樹氏の尋問が始まった。


「へー!由樹ちゃんが30代のオジサンとはねー!」

「お、おじさんじゃないです!」

「カッコいいの?」

「はい!」

「どんなところが好きなの?」

「豪快に笑うところや、優しい目です。あと、すごく真面目でキリッとした横顔や、酔ったらふにゃふにゃになるところとかです」

「へー!すっごく近いところにいる人のようねえ。職場の上司とか…?」


“あっ”口を手で塞ぐしぐさをする。ほんとに居たんだ。こんなことする娘!わかりやすいよ!


さすがに蒲生部長の名前や職場の上司であることこそ言わなかったけれど、微に入り細に入り尋問が行われ、浦野さんのたくみな話術で、あれよあれよと真っ赤な顔の由樹ちゃんから情報が引き出されていった。


「由樹ちゃんカワイイ~!いいわよね、若いって」

と浦野さんはうっとりとしている。


だが、しかし、そこから天然系二海由樹の逆襲がはじまった。

生ビールも3杯目に入り、程よく目がすわった由樹ちゃんはとんでもないことを言い出した!


「そんな浦野さんこそ、どうなんです!そんなに美人なのに、31歳で独身なんて不思議すぎますよ!カレシいるんですか!?」

上司にそこ、聞いちゃっていいの?!だめだよ!だめだよ!


「えー!そこ聞いちゃうの!?」

しかしそう言いつつ、満更でもない様子の浦野さん。頬に両手をあてて首をかしげるしぐさはカワイイけど、ほんとに居たんだ。こんなことする人。


「彼氏なんかいないわよ!でもね、ずっと片想いしてる人はいるの。」

私たちは思わぬ発言に前のめりになる。

「えー!!もっと聞かせてください!」

まるでエサを待つ子犬のようだ。


テーブルには食後のコーヒーが運ばれ、えもいわれぬいい香りが頭をクリアにさせる。


「歳上なんだけどね。

仕事は出来るし、部下にも優しくて気配り上手な人なんだけど、仕事をいっつも抱え込んじゃっていつも無理してる。どこかほっとけないのよね。好きなのよね…。

その人に想いを伝えようと思っても、今の上司と部下の関係が壊れちゃうのが怖くて…」

と、コーヒーをふうふうと吹きながら、つぶやくように語り始めた浦野さん。


「わかります!その想い。そうですよね」

由樹ちゃんは何度も頷き、わかる!わかる!って言ってる。

「私、浦野さんの恋!絶対応援します!」

「ありがとう!あなたもがんばって!」


お互いに硬く絆を結ぶふたり。


微笑ましい光景…なんかじゃない!!


私は大変なことに気づいてしまった。

二人とも酔ってるから気づいてないんだ!


これは大変なことになってしまったぞ!!

まだ気づいてないのかよ!

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