小松美佳の女子会!
引き続き小松美佳ちゃんの目線からはじまります。
今日は久しぶりの定時あがり。
あ、目の前に昼休み中、散々私を驚愕させてくれた歳下の親友を見つけた。
「ねえ、由樹ちゃん!」
「あ、美佳ちゃん!もう帰り?」
「たまにはね!ねえ、由樹ちゃんももう、帰りでしょ?たまには寄り道して帰らない?夕飯でもどう?」
「ハイ!安いところで!」
「ナニ言ってるの!今日はアタシが誘ったんだから、お姉様がご馳走してあげるわよ!」
由樹ちゃんの肩にふざけてよりかかると、「きゃっ」という喚声をあげた。このカワイイヤツめ!
由樹ちゃんが給料のうちの多くを実家に送金しているのを私は知っている。下に二人の妹がいるのだ。そりゃお母さん一人では大変なのだろう。
「あら、二人とも。楽しそうね」
会社のエントランスではしゃいでいた私たちを呼び止める声がした。
「あ、係長!」
由樹ちゃんがうしろを振り返り言った。同じく退社であろう出で立ちの浦野係長が居た。軽く紫のスカーフを羽織っているあたりがカッコいい。
ブロンド色のピアスがより浦野さんの整った顔を引き立たせている。さすが、女子社員の憧れの的だわ。
「こら!営業先以外では“係長”なんて言わないでって言ってるでしょ!」
由樹ちゃんをたしなめる声も穏やかで優しい。
「はい、すみません。」
由樹ちゃんがペコリと頭を下げると、ふふっと微笑んで私に聞く。
「ね、これから夕飯いくの?」
「はい。たまにはと思って二海さんを誘ってました」
私は正直にこたえる。
「よし、小松美佳ちゃん、二海由樹ちゃん、じゃあ、あたしもつれてってくれない?」
「え?あ、はい!」
ビックリした。今まで会社の懇親会で一緒になったくらいで、仕事の部署も違うのに、覚えてもらっていたことにックリした。
「うわー!浦野さんとご一緒できるなんて、嬉しいです!」
と、歓声をあげたあと、由樹ちゃんは“あっ”と私に同意を求める目線を送ってきた。
遅いよ!!
「浦野さん、ぜひご一緒させてください!」
私も笑顔で答えた。
「よし!」と浦野さんはニッコリと腰に手をあてて微笑んだ。
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「えー!そうなんですか!?」
「ね、ホンとにひどい話でしょ。もうおかしくって!」
涙が出るくらい笑ったのは久しぶり。
由樹ちゃんも、お腹を抱えて笑ってる。
ヒドイ取引先の話題を滑稽におもしろく話してくれた。
「もう、アナタたち、しっかりウケてくれるから、話がいがあるわー!でね、その話には続きがあるの!」
そういう浦野さんも涙目になりながら、いつもより饒舌だ。
浦野さんに言われるがまま、連れていかれたのは商店街の中程にある洋食屋さん。
夜はお酒を出すので、遅くまで開いてる。
私はオムライス。浦野さんはサラダセットとハイボール。由樹ちゃんはミックスグリルと覚えたての生ビール。
「しかし、由樹ちゃんがイケるクチだったとはねえ~」
美味しそうに生ビールを呑む由樹ちゃんを珍しげに、眺める。わかります!その気持ち!
「こないだ誕生日デートで、覚えたらしいですヨ!」
「あー!言わないで~」
由樹ちゃんが真っ赤な顔をして言う。
ああ、その顔!もっといじめたくなる!そんな私はSだろうか?
「えー!それは聞きたい!ぜひとも詳しく!」
浦野さんの顔がパッと明るくなり、耳に手をあてるしぐさをする。
「だーめー!」
「「もう遅い~!」」
私たちの声がシンクロした。
女子会は続く。夜は更けていくのであった。
女子会ってほんとに終わんない。




