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君の想いに


「もう少し話しませんか?」


「へ?」


「もう少し話ができたら嬉しいなあ…なんて、やっぱダメですよね」

「いやいや、そのダメというか、もう開いてる店も少ないし、夜も遅いし」

「私の家…とかどうでしょう?」


「…へ?」


「ほら、部長もちょっと前までお住まいになられてた訳ですし、よくご存じでしょ?」


「‥いやいや!ダメでしょう!」


え?なんで?って顔してるよ。“キョトン”て言葉が似合う気がする。

怖いわ。酔っぱらいって怖いわ。

「あのね、オレと二海さんは親子ほど歳がはなれていてもね、男と女なわけよ。ましてや上司が女性の部下の家に寝泊まりするなんて、常識の沙汰じゃないんだよ」


二海由樹はまだ今日20歳になったばかりだ。


ここは、オレが大人としてちゃんと教えないと。


…さっきまで酔っぱらって潰れてたけど。


…部下の膝枕で寝てたけども!


…それとこれとは別だ!


「あのね、例え二海さんがオレのこと、父親代わりのように思っていたとしても「思ってませんよ」…へ?」

はやっ!

否定早いよ!


「私は、蒲生さんが好きなんです」

だよね、上司としての好きだよね、

ありがと「違います!」へ?


じゃあ父親のような存在として…「違います!」

三回も否定を被せられると正直へこむぜ。

ていうか、まだしゃべってないのになんで解るの!?


「私は、男性として蒲生さんが好きです」

いかんいかん、この年になると自分の都合のよいように聴こえるらしい。おれの耳は真っ赤だけど、ちゃんと働いていない気がする。


二海も酔ったせいなのか顔が真っ赤だ。たぶんお酒のせいだ。そうに違いない。


「今、もしかしてなんだけど、オレのことが好きって言った?」

「はい…。こないだカラオケの時も言いましたけど…もう、何度も言わせないでください…。」

うつむいてしまった。


沈黙が続く。


オレは二海由樹のことをどう思ってるんだろう。


「あ、ありがとう」

オレの言葉に彼女は顔をすっとあげた。


「嬉しい。

君からメールが来るようになってから、生活に潤いができた。 毎日顔あわせてるのに、メールがとても楽しみで仕方なくなった。

君へのプレゼントを選ぶときの自分はとても幸せな気持ちだったに違いない。…と思う。


君は心が豊かで、優しく美しい内面をもった人だなと思う。君の想いを聞けて、オレはとても幸せだ。 


でも、君の想いにオレは応えることはできない」



「えっ」


秋の冷たい夜風がひゅうと頬を通り抜ける。


彼女の顔が驚きと同時に青ざめていくのがわかった。

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