第4話 大規模テスト試合9 ウェルカム・トゥ・ザ・バトル・オブ・ヘル(通常版)
「まあ何だ、これ以上待たせると色々と問題が出てくる。そろそろ“地獄の試合”を開始
するとしようかね。」
会話しつつも、今現在の必須スキルたる挑発を取得し装備する。艦長自身に施されたスキルは艦船へと反映されるのが告知された。メインウインドウで表示されていなかった、パッシブスキルの項目が現れたのを確認できた。
そして、会話をしだすと止まらなくなる事も考えねばならない。今回の大規模テスト試合は港全体に配信される形になっている。数多くのプレイヤー氏方が見守る中の流れだ。試合はまだかという声が挙がっていてもおかしくはない。
「ウェルカム・トゥ・ザ・バトル・オブ・ヘル!」
「ようこそ、地獄の試合へ。」
「正にその様相となるわな。」
恒例のミーシェによるボケの展開が始まる。それに追随するナーシャだが、目の前の様相を目の当たりにして俺の方も心から同意せざろう得ない。
今し方の俺の発言がゴーサインとなったようで、全体マップに15個の点が現れた。どれも識別は戦艦のマーカーで、それが何の艦種になるのかは言うまでもない。
忽然と姿を現したのは、旧日本海軍が誇る世界最大最強の戦艦大和。それが15隻である。ほぼ横一列に15隻もの大和が並ぶ様は、敵ながらも圧巻としか言い様がない。そして、その無言の圧力に流石に怖じ気味になりだしてくる。
先にも挙げたが、この様相は港に急拵えで設置された巨大モニターにも映っている。それを各プレイヤーが見ている事だろう。同時に15隻もの大和を相手にした猛者はいるのかと思うのは、行き過ぎた考えかも知れない。俺であれば絶対に手を出す事はしないが・・・。
「へぇ・・・これはこれは・・・。」
「無言の圧力と言うか、この殺気地味な威圧感は見事ですよね・・・。」
以前に俺も感じたのだが、この無言の圧力や殺気に即座に反応するヴィジェラとシュテナ。反感的に怒りを露わにし出していた。またこれは他の面々も同様で、怖じ気味になるより反抗する気質が出ているようだ。
その中で実際に相手と戦闘経験がある俺やアセリスにデュリテは、その存在感に何処かしら怖じ気味になってもいた。存在そのもので威圧するのは、これが仮想空間だからこそ成し得るものだからだ。初対面の身内達はそれを未経験なためか、こうして反抗する感じになるのであろうな。
何にせよ、ここまで来たら避ける事はできない。ならば、徹底抗戦あるのみである。どの道倒さねばこちらがやられるのだから。
「戦闘開始後に先の作戦通りに動けばOKだな?」
「ですね。前衛のマスターや四天王の方々は足並みを揃えつつ前進を。中衛の方々はその場で待機しつつ集結を。そして後衛は後進して足並みを揃えて下さい。」
「「「了解!」」」
デュリテに対して再度尋ねる。先程練り上げた作戦通りに動けば良いのかというものだ。それに即座に応じつつ、初動の流れを簡潔的に挙げてくれた。非常にやり易い感じである。
同時にその作戦を伺い、総じて了解の合図を出す。恒例の警笛の連呼である。流石にネタ絡みのものは繰り出してこない。余裕があれば出るのだろうが、今は目の前の課題が最優先な感じとなる。
余談となるが、もしこれが現実世界での戦いであれば異なる展開になるだろう。生身の身体での行動となるため、即座に動き出す事ができる。しかし、今は仮想空間にダイヴ中であり、そのダイヴ先は艦長というキャラクターだ。そして、その艦長は艦船を操艦する事になる。
高度に構成された海王の艦隊ではあるが、それでも幾分かのタイムラグは発生するだろう。更に言えば、艦船自体が物質的な問題で動き出すのに非常に時間が掛かってくる。それらを全て見越して動かねばならない。
それに、実際の艦船は数千人規模で操艦する事になる。たった1人の艦長が全ての操作系統を担う事は絶対にない。先の各事変での巨大兵装ですら、数百人規模での操艦だった。そして巨大故に動き出すまでの時間もかなりあった。
当時の大戦の各艦船は、相当なものであったと言うしかない。それにそこに搭乗する事は、死と隣り合わせという状態にもなる。当時戦われていた方々が、どんな思いでその場にいたのか、俺にはとてもではないが想像できない。
今こうして居られるのは、当時の方々が死力を尽くして戦われたからだ。その点だけは絶対に忘れてはならない。同時に戦人とも言える警護者に身を置いている自分としても、戦い自体に何を求めるのかを決して忘れてはならない。
非常に悩ましい感じではあるが、そうでもしないと絶対に堕落の一途を辿るのは言うまでもない。最悪は忘恩の輩に陥り、世上の害悪と化していってしまう。そうならないためには、常に己自身を律し続ける必要がある。己自身との対決の繰り返し、だわ。
「・・・戦闘開始!」
脳内補完的な思い巡りをしていると、アナウンスが流れてきた。その声色は過去に聞いたゲームマスターのテイアのものではない。外部で一部始終を窺っているディナリアのものだ。恐らくティーナとしてダイヴしていると思われる。
そして、そのアナウンスが流れた直後、遠方の15隻の戦艦大和の煙突が稼動しだした。黒煙が上がりだし、徐にその巨体を前へと進ませていく。それだけでも圧巻の一言である。
流石ながらと言うべきか、恐怖の一念が湧き上がってくる。そして念話を通しても分かるのだが、これは俺以外に全ての面々が抱く一念のようだ。圧倒的存在感を誇る相手を前にし、怖じてしまうのは定石とも言えるのかも知れない。
「・・・よし、やるか。総員、“艦船が簡単に沈むか!”を見せてやれ!」
「「「おうよっ!」」」
己自身の両頬を両手で叩き、気合いを入れ直す。そして、総意に連絡を入れた。某映画の有名な台詞を捩ったネタを挙げてみる。すると、通信経由で雄叫びの合図を出してくれた。警笛も絡めた凄まじい意気込みである。
先ずは先行部隊として、俺と四天王の戦艦群が動きだす。こちらも真横一列に並んでの配置であったため、指定のフォーメーションに移行するのに時間が掛かる。それらも踏まえての動き出しになった。速力の方は全速力で問題ないだろう。
ただ、これだけの巨体なだけに、制動距離の部分も踏まえないと大変な事になる。現実世界でのトレーラートラックと全く同様な感じだ。質量が多ければ多いほど、静止するまでの時間は相当掛かってしまう。それが艦船、特に戦艦ともなればドエラい時間になってくる。
今の位置的だとエルフィのニュージャージーが先行する形となっており、続いてサイジアのミズーリが追随する形になる。その後に俺の大和がおり、更にその後ろにウェイスのアイオワが付いて来る。ナディトのウィスコンシンは殿の形だ。
ここからどの様にフォーメーションを取るかで思い悩む。現状の防御力を踏まえると、大和を真っ先に向かわせるべきだろう。ただ、アイオワ・シリーズの防御力がどの程度であるのかも見ておきたい。つまり、敵側の主砲弾の着弾である。
もしこれが跳弾できない場合は、自分の大和を真っ先に進ませるべきだ。そうでなければ、たとえ四天王のアイオワ・シリーズとて無事では済まされない。今はこのままの陣形で進むのが無難だろうな。
第4話・10へ続く。
「艦船が簡単に沈むか!」は、あの有名な台詞の捩りです@@; そして、「ウェルカム・トゥ・ザ・バトル・オブ・ヘル」は、元ネタのワルシプにて月曜の試合が正にそれだったのを、自分が皮肉を込めてボヤいたそれでも@@; ただ、相手とのマッチングやマップの試合構成次第では、地獄の試合ではなく天国の試合と言えるほど易しいものになったりしますが><; 全てはプレイヤーサイドの運次第でしょうか(-∞-)
何にせよ、漸く大規模テスト試合の開始と。ただ、描写は既に先の3隻の戦いで完成している感じになるので、後はどう発展させていくかでしょうか。それに譬え相手が15隻であろうが、味方サイドに15人のプレイヤーがいる場合は異なってきますし。これもケースバイケースなのでしょうね(>∞<)
改めて、アーダコーダと考えながらカキカキしていると、色々な思惑が巡ったりしていますわ(@∞@)




