貴方の元へ2
「ルリ!」
呼ばれて振り向いたら、ナディアや隊商の仲間が立っていた。
「…ナディア…本当に…」
言葉に詰まりながら、私はロイに支えられて立ち上がり俯いた。
「ごめんね、ルリ。」
ナディアが私の手を取って言うので、驚いた。
「私、あの時は気が動転してて…あなたにひどいことを…」
私は何も言えなくて、首を振った。
「一番辛かったのは、ルリでしょ?ごめんね、あなたは私たちが好きなだけなのに…」
「ナディア。」
見ていたロイが静かに言った。
「俺が話した。まあ、大体のことは」
「え?」
確かに、彼らのロイを見る目が違う。
信じられないという顔。
それに、畏怖。
私がロイを見上げると、そっと笑って彼は私を抱えて椅子に座った。
「え!」
「これは俺が招いたことだ。ルリや君たちには聞く権利がある。…あぁ、とりあえず紹介しておこう」
ロイは私に顔を寄せて、周りを見回した。
「ルリは、前世の名はリンファ、その前はティーナ。いずれの世でも、この俺の伴侶であり、恋人だった魂だ。いわば、神の永遠の妻だ」
は、恥ずかしい!!
なんて紹介してんの!!
周りを見れずに、下を向いて真っ赤になる私を見つめて、ロイは悠然と微笑んだ。
「そうだろう?愛しい魂…」
皆の前で、平気でキスしようとするので、私は驚いた。
ロイは何百年も前のゼノの感覚を引きずっているんだ。
「ちょっと!」
唇が近づいてきて、私はぎゅっと目を瞑り…
ゼノをぶっ叩いた!
「…な…」
「ばかっ!」
膝の上から逃れて、私はナディアの背中に隠れた。
「…神にそういうことできるのは、お前…君だけだよ、ルリ。」
「そ、そういうの時代遅れだから!恥ずかしいから!いいからロイに戻って!」
「…まだ性格が定着してない。そうか、ダメか…」
真剣に考え込む彼。
見ていたナディアが少し笑った。
それを見て、こちらもほっとした。
良かった。
母親を失って辛いだろうに。
私も釣られて微笑んだ。
皆が、私を椅子に座らせてくれた。
そして、私にだけ食事が運ばれた。
「え?」
「ルリ、3日間寝てたからお腹空いたでしょう?」
「え?3日!」
ああ、そうか。
私、ゼノに魂を持っていかれかけてた。
皆の説明によると、ここはミヴェラの知り合いの商店の建物らしい。
隊商の皆は、一旦避難したが、静かになったのを確認して戻ってきたらしい。
ロッドやテレサをそのままにはしておきたくなかったから。
そうしたら、私とロイが倒れているのを見つけたらしい。
「わ、私、てっきりあなたが死んだかと…」
思い出して、ロイを見つめる。彼は背中に多くの傷を負っていたはず。
「俺には神である俺自身の魔法により、治癒の力がある。人間であることは確かだが、なかなか死なないさ。」
さらっと言われた。
そして、私に歩み寄ると髪を撫でた。
「だから、怖がることはない。俺は君のそばから離れないし、そう簡単には死なない。今度ばかりは、絶望の神の好きにはさせない。」
「…うん。」
私に手を重ねて、ロイは話し始めた。
「俺は人間になろうとして、失敗したんだ…」




