貴方の元へ
私が狭間で発した言の葉。
するとゼノは、苦しそうに自らの胸を押さえ身を屈めた。
ゼノが、すうっと二人重なって見えた。
「ゼノ?」
座り込んで、目を凝らす。
苦しむゼノの後ろから、はっきりともう一人のゼノが現れた。
分裂したように見えた。
もう一人のゼノが、私に歩み寄って来た。
そして、私に穏やかな笑みを向けた。
『ティーナ、やっと逢えたね』
そう言うと、優しい表情で私に手を差し出した。
『おいで…俺の元へ帰っておいで』
私は彼の瞳を見つめた。
かつての面影を見た。
私は自分を信じ、彼の手に手を重ねた。
すいっと引っ張られ、私の魂は上昇した。
手を重ねたゼノは、背中に光を浴びていて、私は眩しくて目を細めた。
あとは
白い光、光、光……
温かい
明るい
地上の世界へ
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周りの明るさで、私は目を開けた。
眩しい
しばらくぼんやりしていた。
天井が見えた。
どこかの建物の中らしい。
私はふと手を握られていることに気付いた。
温かな大きな手。
いつの世も変わらない温もり。
私は横を向いて、温もりの主を見つめた。
涙が一気に溢れ、頬を流れていった。
私はこの人を何百年も前から知っている。
「お帰り」
低い落ち着く声。
ゆっくり身体を起こして、私はそろそろと彼の頬に触れた。
微笑んだロイがそっと言った。
「おいで、愛しい魂」
胸がつかえて、苦しいぐらいに溢れた感情は言い表せない!
ぎゅっと彼の首に抱き付いた。
彼の手が私をきつく抱き締めた。
「長い長い旅だった…でもいつだって君と一緒だった」
ロイが深くため息をつくように言った。
耳元で彼の息吹を感じながら、私は嬉しくて仕方なかった。
初めて自分のことを好きになれる気がした。
だって…
だって、私は…
何度繰り返し転生しても…
何度も恋を繰り返しても…
めぐりあい、愛した貴方は、たった一人の貴方だと気付いたから。
私は何度誰かを愛しても、必ず同じ魂を愛していた。
「ゼイノス……ゼノ」
呼んでみたら、ロイは頷いた。
「そうだ。俺はずっとずっと君のそばにいたよ、ティーナ」
私たちは永い永い恋を、ずっと繰り返していた。




