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捜しだして3


「うう、ルリ…」


狭い隙間で会話するのも不自由で、私は出ようともがいた。ロイをぐいぐいと押してみる。


「とにかくここから出て、ちゃんと話を…」

「わかった」


そう言って、背後から抱き締められたと感じた瞬間、私は川沿いに立っていた。


「あ、れ?」


状況が飲み込めない私の背後から、ロイが言った。


「俺が飛ばした。」

「…え?」


彼を見ると、得意気な顔をしている。


「魔法…力が強くなってるんだ」

「……え」

「大丈夫。俺はルリを悲しませない。俺は…ゼノに勝つから…」


「………彼を知らないのに、どうして自信が持てるの?」


ロイの強気な言動に、半ば呆れて聞いた。


「分かるさ。う…ん、何となく…」

「え…」

「だから、ルリ。俺のお嫁さんになっていいんだよ。」

「はい?」


綺麗な顔立ちで、ロイは真剣に迫った。


「子ども…10人、今なら作っても大丈夫だよ。」

「……ロイ、怖い。」


私はずいっと顔を近付ける彼に引いた。


「な、何で?先に言ったのは君だろ?!」

「…いいの?」


私は調子を戻すと、とロイの首に手を回して言ってやった。


「……そんなに頑張れるの?」

「ル、ルリ…はあっ、久々のゾクゾク感が…!」


ダメだ、これは…


純真な子どもだったロイは、どこへ行ったのだろう。


「ロイは今どうしてるの?」


午前中だけ店を開こうと思い、店の奥で朝御飯を食べている彼に聞いた。


「一年ほど前から、ロッドたちとは別れた。一人でずっと…ルリを捜してた」


ぴたりと私を見据える瞳に、私はため息をついた。

もう逃がさない、と言われているようで。


「…生活どうしてたの?」

「ああ、お金?臨時で護衛したり、盗賊退治したり、ロッドから退職金ももらってたし、大丈夫だったよ」


さらりと言う彼に、少し笑った。


「これからどうするの?」

「…え?」

「…………」


食べるのを止めて、黙る彼を私はじっと見た。


「…君といたい。絶対ずっといたい。」

「私はここを離れたくないわ。」

「それなら、俺もここにいる。」


こともなげに言う。

私はロイの顔を確かめるように見つめた。


「ロイ。」

「本気だから。」


真剣な顔をしていた。


「俺は、今生の君を必ず守る。もちろん、俺も死なない。君が絶望することは絶対ない。ずっとずっと…添い遂げる」


何度も苦しんだ私には、素直に彼の言葉を喜べない。


「…ありがとう」


私には、未来が怖かった。


「それで、ルリはなぜこの街を選んだの?」


店の片付けを手伝いながら、ロイが聞いた。


「…知ってる街だから」

「小さい時にでも来たの?」


ゆるく首を振って、淋しく笑った。


「……そうか」


察した彼は呟いて、それ以上聞かなかった。


二人で私の家に戻る。

まだ昼前。


通りは活気があって、人々で賑わっている。

客に呼び掛ける声。

世間話をしている女性たち。

子どもの泣き声。

うるさいぐらいの喧騒。


私はそれが好きだ。

変わらないな、この風景は。


隣を付いてきていたロイが、ふと足を止めてそれを見ていた。


「ロイ?」

「…なんか…懐かしいな」


目を細めてロイは呟いた。


「ロイ、この街に来たことあるの?」

「え?いや、初めてだよ。…でも…何だろう…」


ロイは喧騒をじっと見ながら、ぽつりと言った。


「俺は、この光景を知っている」


どこでも見かける日常の光景。

でも、だけど…


「ロイ」


私は彼の腕を掴んだ。


「ルリ?」


私はロイをじっと見つめた。

ある可能性に思い立ったから。


微笑んで、そっとロイが私の頬を撫でた。

彼を見上げて、私はすがるような顔をしていただろう。


まさか…ね



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