捜しだして2
はあ、はあ…
息を切らし、私はかなり本気で逃げた。
この街の入り組んだ道は、熟知している。
逃げなきゃ!
ロイを今生で守り抜くと決めているのだから。
もう逢わないと決めているのに。
ああ、ダメだ、怖いんだ。
揺らぎそうになるから。
とある家の裏と壁の間に入り込む。
人一人入れるぐらいの隙間に身を潜める。
こ、ここなら、見つからないだろう。
「…………はあ」
薄暗い隙間で、私はため息をついた。
いつまでいたら、いいだろう。
ここを、去らなければ
壁に額をついて、じっと考える。
それから、ふと視線を感じて上を見た。
壁の上に座って、ロイがじっと見下ろしていた。
「………………」
「結婚したって、嘘だよね?」
「………………」
じりじりと隙間から出ようと、私は距離を取ろうとした。
ロイが飛び降りて、行く手を塞ぐ。
目の前の彼は、少し見上げるぐらい背が高くなっていた。
不覚にもドキドキした。
彼を、男として意識してしまって。
「…………ハミルは?」
「あいつ?何、心配なの?ぶっ飛ばした…死んじゃいない」
「…そう」
「…………ルリ」
一歩近付く彼に、反射的に下がろうとした。
ばっとロイが素早く手を伸ばして、私を抱き寄せた。
「ルリ!逢いたかった!」
「……ロ、イ」
「君を忘れたことなんか、なかった!」
暖かい彼の胸。
鼓動。
すっぽり私が包まれてしまうぐらい、広くなった肩幅。
確かな腕。
ああ、どうしよう…
私は簡単に抗えなくなり、彼の背中に手を回した。
応えるように、ロイがきつく私を抱き締める。
「ルリ…ずっと君を想ってた…」
込み上げる愛しさを、封じ込めることができない。
「ロイ…私、も」
小さく応えた私を、ロイは身体を離して見つめた。
私は確かめるように、彼の顔に手で触れた。
微笑んでロイは言った。
「俺、大人になっただろ?」
俺って言ってるし!
「…うん。かっこよくなったね」
私の言葉に、微かに照れてから、彼は私の頬を包んだ。
「ルリは、どんどん綺麗になるんだね」
「そんなこ、と…」
自然な素振りでロイに唇を奪われて、私は動けなくなった。
何も考えられなくなる。
最初は静かに…
それから、だんだんと夢中で…
逢えなかった日々を埋めるような、彼の激しいキスを、私は目を閉じて受け入れた。
「ルリ迎えに来た。」
そっと唇を離したロイが、言った。
「約束通り、迎えに来たよ。俺と一緒に行こう」
「ロイ…」
嬉しそうに私の頬にキスする彼に、私は微笑んで言った。
「仕事あるんで、行かない」
「う、ル、ルリ、酷い…!」




