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捜しだして


どんなに名を呼んで、彼に駆け寄りたかったか。


「…うっ…」


声を堪えて涙を拭う。


これでいいんだ。

成長して、大人になったロイを見れた。

それだけでいいじゃない。


ロイ、一人だった。

彼は今どうしているんだろう。


もしかしたら私のことを忘れて、楽しく過ごしているのかも。


「…それでいいじゃない」


目元を押さえ、フードを取り払った。


しっかりしなきゃ。

ぐらぐら揺らいでちゃダメだ。


肩につくぐらいの長さの髪を手で鋤いて整える。

はあ、と息も整える。


「もう開店する?」


後ろから声が掛かった。


気合いを入れ直して、振り返る。


「あ、もう開けます、よ……」


一瞬で、身体が動かなくなった。

店先に、ロイが立って微笑んでいた。


「………………あ…」


憂いを帯びた黒い瞳が、私をひたすらに見つめている。


「…捜した、ルリ。」


呟いて、泣き笑いの顔をした。


「……………………………」


複雑な感情で声が出ない。


「…ルリ……ルリ…」


大人の男の低い声。

私を呼ぶ声。


私は表情を隠して、言った。


「ドチラサマデスカ?」

「えっ」

「ヒトチガイジャ、アリマセンカ?」

「ル、ルリ?」


あんぐり口を開けて、私を見ているロイに、機械仕掛けのような仕草で、首を傾げる。


「ワタシハ、ソンナナマエデハアリマセン」


ロイの隣から、ハミルが顔を出した。


「イリア!てめぇ、よくも…!」


いいタイミングだ!


「あ、あなた!いいところに。」


私はハミルに寄って、腕を取った。


「あなたぁ?!」


ロイとハミルが目を見張る。


構わず私は、うるうるとハミルを見上げた。


「あなた、この人が、私のことを知り合いと勘違いしているみたいで困ってるの。私はあなたと結婚してるし、名前だって違うのに!」


「えぇぇぇ?!」


ロイが驚いて固まる。


「イ、リア?」


訳がわからず、ぼうっとしているハミルの腕を軽くつねった。


バカ、察しろ!


「お、おう…」


ぽかんと口を開けたままのロイに、ハミルが近付く。


「おい、お前!何、人の嫁に言い寄ってんだ?!ああ?!」


「…ル、ルリ、ルリだし!」


私は、ぱぱっと店の金だけ懐に入れると、脱兎のごとく逃げ出した。


「あ、ルリいぃ!」


聞かない聞かない



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