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ティーナの物語16

夜中にティーナは目を覚ました。

誰かに呼ばれた気がした。


「…ゼノ?」


暗闇の中、しんと静かだった。

何も聴こえない。静かすぎる。


いつもなら虫の声、木々のざわめき、動物の鳴き声が聴こえてくるのに。


ベッドから下りる。何だか胸騒ぎがした。

そっと階段を下りる。

戸を開け、外に出た。


「…綺麗!」


流れ星が一つ、二つと空を滑るように流れた。

星がたくさん空を飾り、その中を一瞬強く光り、流れる。


美しく幻想的な光景だった。


ふいに流れ星の数が増えた。

まるで流れ星が花火のように幾度も降り注ぐ。

怖いぐらいに綺麗だった。

ティーナが見とれていた時だった。


それは、突如起こった。

遠くで悲鳴が聴こえた気がした。


動物の鳴き声かとも思った。

すると、今度は近くで聴こえた。

暗くてよくわからない。


不気味な気配に辺りを見回す。


不安にかられ、ティーナは家族が心配になり、踵を返し、家に戻ろうとした。


ほんの数歩。彼女が戸に手を触れようとした時。


ゴオッ!


何の前触れもなく家が炎を上げた。


「ああっ!」


熱さに驚き、後ろへ下がった。

でも、すぐに炎に近づいた。


まだ家の中に、家族が!


「お、お母さん!お父さん!」

「ティーナ!!」


ぱっと手を引っ張られた。

振り向くと、兄が幼い弟を抱きかかえて立っていた。


「兄さん!」

「早く!逃げるんだよ!」


ぐいっと引っ張られ、強引に連れて行かれる。

兄の腕に抱えられた弟が、ひどく泣いている。


「早く!」

「家が!お父さんたちが!早く助けないと!」


兄が叫んだ。


「もう手遅れだ!」

「え…」


青ざめた顔で、兄が言った。


「悲鳴が聴こえて、起きたら…父さんも、母さんも、妹も、もう、もう血だらけで…し、死んでた。」

「え…」


「か、母さんは弟を抱いてて、この子だけ無事で泣いてたから…俺、必死で、必死で…」


「う、嘘!嘘よ!」

「嘘じゃない!」


わけがわからなかった。

何が起こっているのか。

兄に腕を引っ張られながら、ぼんやりして頭がついていかない。


逃げる?

何から?

誰、から?


「ティーナ…」


静かに呼ばれ、燃え盛る家の方を振り返った。


その姿を目に写し、足が石のように動かなくなった。


ゴオッ!

ドオオオッ!!


彼が両手を軽く上げた途端、村の全ての家が炎を上げた。


にっこりと唇の端を上げ、微笑む神がいた。


すっと片手を彼が上げ、ティーナを指差した。


「ティーナ!」


異様な感じに、兄が咄嗟に彼女の前に走った。

そして…


神の指先から放たれた黒い光が、兄の胸を貫いた。


「兄さ…!!」


血を吐き、兄が倒れ込んだ。

ティーナが受け止めようと手を伸ばした。

だが、力無く倒れる兄の重さに彼女も倒れる。


思うように動かない身体で、やっと身を起こした彼女の見た光景は、とても恐ろしいものだった。


彼女の膝の辺りで、兄がうつ伏せで倒れ、既に死んでいた。

生暖かい血が彼女の膝を濡らす。


はっとして、兄が抱いたままだった弟を、慌てて抱き上げた。

その顔を確かめて…ひゅっ、と息を呑み込んだ。


「いやああああっ!!」


兄の胸を貫いた光は、同時に弟の額も貫いていた。

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