ティーナの物語10
ある日、ゼノは言った。
「ティーナ、人は死ぬとどうなると思う?」
草むらに二人で寝そべり、空を見ていた。どこまでも広がる蒼に、浮かんでいるようだった。
「…神の元へ召される?」
ティーナは小さい頃から、村の教会で、そう教えられてきた。
世界には、様々な考え方があるが、それも一つの教え。
「いいや。」
彼女の肩を抱き、ゼノは明確な答えを与えた。
「人は死んだら、生まれ変わる。何度も生まれ、何度も死んで…私の元などには、来ないよ。」
「ゼノ。」
身を起こし、ティーナは彼を見た。
とても悲しく、寂しい表情だった。
彼の手が伸びて、ティーナの頬に触れた。
「知ってるか?神に愛された人間は魔法を使うのを?」
こくん、と頷く。
「…君に一つだけ、魔法を授けたい。」
真摯な顔でゼノは言った。
「え?」
「私を覚えていて欲しい。転生しても前世の記憶を忘れない魔法を、君に。」
彼女の額に手をかざし、ゼノは聞いた。
「大量の記憶は、時に孤独と苦しみを与えるだろう。それでも…どうか覚えていてくれないか?」
ティーナは、じっと彼を見つめ、それから笑った。
「貴方も、私を覚えていてくれるのでしょう?だったら大丈夫。私、貴方を忘れたくない。生まれ変わっても、ずっと貴方を愛していたい。」
ゼノは目を細めて笑った。
ティーナの額に当てた手が淡く光った。
ふわり、と意識が遠退くような感覚がした。
目眩を覚えるティーナの身体を胸に受け止め、ゼノは言った。
「ありがとう。私はずっと君の魂に寄り添う。君が何度生まれ変わっても、私は君を愛するよ。」
ティーナはそっと応えた。何の迷いもなかった。
「何度生まれ変わっても、貴方をいつも必ず愛してる。」




