ティーナの物語7
Γ私は、ただ君の魂に惹かれたと思っていた。でも…違った。」
ティーナを見つめたまま、ゼノは言った。
「…君の魂が綺麗でないと言うなら、それは私も同じだ。今私の中にあるのは、嫉妬…独占欲…そんなままならない感情…自分で抑えられない感情…」
ティーナは驚いて神を見た。苦しげに告白するゼノ。
彼は本当に人間のように見えた。
「姿を消したのは…それに気付いたから。私が君に恋をしているのに、気付いたから。心を抑えようと…私は神だから、一人の人間だけを愛しているわけにはいかないから…」
「…ゼノ」
ティーナは、そっと彼の頬に触れてみた。優しい熱が確かに伝わる。
ゼノは片手をその手に重ねて、微笑んだ。
「でも、できなかった。」
「……。」
「君が他の男の元へ嫁ぐと知って、私は、いてもたってもいられなかった。」
ティーナは頬を赤らめて、微笑んだ。
「ティーナ…愛してる。他の男の元など行くな。以前のように、ずっと私と共にいてほしい。」
ティーナは黙って、触れていた彼の顔を引き寄せた。
微かに目を見開き、それから屈んだゼノは、ゆっくりと目を閉じた。
唇を重ねた。
ティーナは自分から彼に抱きついた。
「ゼノ、嬉しいわ。私も貴方を愛してる!」
喜びに震え、告げた。




