僕を好きになって2(ロイ視点)
ミヴェラという都市に行く途中の山間。左が切り立った壁のように崖がそびえ立ち、右は逆に遥か下に川が流れている。
視線に顔を上げると、崖の上に黒い影が…10…11…15か。
こんなに逃げ場の無い条件の悪い場所、狙われても不思議はない。
僕は後ろの仲間を振り返ることなく、示し合わせた通りに手で合図を送る。指で数を示すと、直ぐ後ろの仲間が周りにそれを伝え、護衛の一人が先頭の馬車に報せに馬を走らせた。
しばらく素知らぬ振りで進む。先に比較的真っ直ぐな道が見えた。
Γ行け!」
僕の声で、合図を待っていた馬車が一斉に走り出す。ほぼ同じタイミングで、崖の上から矢が飛んできた。
盗賊だ。ここを通る旅人を餌食にしている。前通った時もいたんだよね。
ったく、懲りないな。
背中の剣を抜くと、馬の鞍を蹴って跳び、空中で矢を切り落とす。遠距離戦は、あまり得意じゃない。僕の魔法の射程は狭い。
最後尾の馬車が横を通り過ぎる。その後尾の幌の間から白い手が見えた。片足を馬車の端に掛けたルリが弓を上目掛けて射た。
崖の上の一人が、悲鳴と共に落ちた。
え、移動しながら矢を当てるなんて凄い!
Γロイっ!」
見とれていた僕は、彼女の声に慌てて、飛んできた矢を剣で落とした。馬車が先に進んで行くのを見送る。弓を提げたルリが、心配そうにして僕を見ていた。
Γ…かっこいい。」
ゾクゾクが背を駆け上がり身震いした。
崖の上から馬に乗った盗賊達が斜面を駆け下りてくる。馬車を追うつもりだ。
Γロイ、援護は?!」
Γいい、一人で十分。馬車を守って先に行って。」
仲間を全て先に行かせて、直ぐ後ろに距離を詰めた盗賊達を振り返る。
僕は守るより、攻撃する方が性に合う。
高揚感に、にっと笑った。




