私を嫌って5
Γ…ゼ、ノ、ゼノ、ゆるさ…」
Γルリ!」
はっと目を開けた。ロイが心配そうに私を見下ろしていた。はあっはあっと息を乱しながら彼から顔を背けた。
Γルリ?」
Γ…………」
手を握られていた。
私が街で襲われた夜から、ロイは同じ馬車の中で一緒に眠るようになった。テレサ達はいない。皆は私達を夫婦だと思っているので特にそのことに触れない。
ただし、彼は私から距離を取って隅で小さく丸まって眠るが。
Γうなされていた。名前を呼んでいたような…」
Γごめんね。」
ぽつりと言った私に、彼は首を傾げた。
Γ何で謝るの?怖い夢を…」
振り向いてロイに抱き着く。
Γルリ?!」
息が詰まって苦しくて、私は声を出して泣いた。
Γごめん…ううっ、ごめんなさい」
Γル、ルリ…」
Γロイ、嫌いになって」
Γえ?」
ロイは私の肩を掴み、覗き込むようにして顔を見た。
Γお願い。私を突き放して…嫌って」
Γ………………」
Γ嫌って」
Γ好きだよ。」
ぎゅっと力を込められて抱き締められる。
Γルリ、僕はルリが好きなんだ。」
溜め息を吐き出すように紡がれる告白を、私は否定したくて首を振った。
Γやめて」
Γ初めて君を見た時、僕は……ゾクゾクとして身体が震えたんだ。」
Γやめて」
ロイは目を閉じて、私を腕に捕らえて離さない。
Γそれからずっと…ゾクゾクが止まらないんだ。今も…」
Γロイっ」
Γ最初はゾクゾクが何かわからなかったよ。でも君を見ていたら直ぐに分かったんだ。」
ロイは私の耳に唇を付けた。
Γゾクゾクは恋だったよ。僕は熱くて苦しくてゾクゾクするぐらい……君が、好きだ。」
首を振り続け、それなのに私はどうして彼の背中を抱き締めているのか。
Γ嫌いになってなんて言わないでよ。」
震えた声音でロイは言った。彼も怖いんだ、私の拒絶が。
Γルリ好きだ。僕はこんなにルリを好きになれて、苦しくて嬉しいんだ!」
泣きじゃくる私に、ロイは痛々しくも微笑んだ。
Γ好きな気持ち、許して。そうじゃないと息、できないから。」
私の背中を辿るロイの指。
Γルリ……あ、愛してる。」
気持ちを精一杯にぶつけてくるロイ。堪えるような彼の吐息。
その様子は、子供じゃなかった。
石のように私を抱き締めて動かず、ロイは目を閉じていた。苦しそうな息をして、ゾクゾクを堪えているようだった。
私は、もうロイを男としてしか見れなかった。




