決意2
次の日平瀬は学校を休んだ。
テロリストになるのだと決意はしたものの平瀬を守るということを忘れてはいけない。
姫路と相澤は一日中そわそわしていた。護衛対象がいなくては学校に来る意味などない。
放課後、三人で平瀬のお見舞いに行くことになった。もしかしたら熱で寝込んでいるのかもしれない。
玖珂は組織との連絡があるらしく東京に戻ってしまっていた。
彼の協力があれば日本政府を倒すのは夢物語ではないだろう。
道すがら相澤は緊張の面持ちだった。
「おれ、女の子の部屋行くの始めたぜ。どうしよう」
「別になんもないから、お前の想像しているようなことなにも起きないからね」
「皆本さんも緊張しているんではないですか? 手に汗かいてますけど」
姫路は鋭かった。確かに緊張していた。平瀬の家に行くのは初めてだった。もちろん実家には何度も行っていたが。
平瀬の住むアパートは外観は普通だった。お嬢様が住んでいるとは誰も思うまい。
オートロックのセキュリティが付いているわけでもない。女の子の一人暮らしにしては警戒心が微塵も感じられない気がする。
平瀬の家は二階の一番手前の部屋だ。外に付けられた階段を上る。
カランカランと軽快な金属の音がした。建てられたばかりの建物のようである。
姫路がインターホンを押す。返事はない。
「眠ってしまっているかもしれませんね」
「ここまで来て帰るのは勘弁して欲しいぜ」
「どんだけ女の子の家に上がりたんだよ、相澤は」
「合鍵を使いましょう」
姫路は制服のポケットから鍵を取り出した。女子の制服のスカートにはどこにポケットがあるか良くわからない。四次元ポケットでも付いているようだ。
「なんで鍵なんて持ってんだよ」
「平瀬さんがくれたんです。いつでも来ていいからって」
本当に姫路は平瀬と仲が良かったようである。あの平瀬が他人を信用するなど信じられない。
姫路は鍵を空けた。扉を開ける。部屋の中は静かだ。
部屋に入ると目に入ったのはキッチンだ。水周りは綺麗だった。平瀬は家事が得意である。さすが育ちがいいと言ったところか。
廊下を抜けると部屋がある。ワンルームの部屋らしい。ガラスのテーブルがあり、壁際にはベッドが置いてあった。
平瀬はベッドの上に寝ていた。布団もかけずに制服のままだった。まるで昨日帰ってきてからそのまま倒れたように。
「平瀬さん、お見舞いに来ましたよ。勝手に上がらせてもらいました」
平瀬は姫路の呼びかけにも答えない。姫路は平瀬の体をゆすった。
「平瀬さん起きてください」
「ちょっと待て!」
皆本は叫んだ。急いで平瀬に歩み寄る。首筋に手をあてる。
「どうした? いきなり叫んで」
皆本はゆっくり平瀬の首筋から手を離し、立ち上がった。
「死んでる」
平瀬は死んでいた。




