表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

てんしとこいぬ (ひらがな)

みずいろの そらを ちいさな てんしが とんでいました。


そのとき びゅうっと つよいかぜ。


どこからか とんできた ぬのが てんしを すっぽり おおいました。


ぬのは なかなか はなれません。


「わっ……!」


てんしは ひゅるひゅると じめんへ。


つばさを いためて しまいました。


くさむらで こいぬが てんしを みつけました。


「だいじょうぶ? その けが…」


てんしは こわそうに こくんと うなずきました。


「おうちに かえりたい…」


でも つばさは うまく うごきません。


こいぬは てんしの そばにより そっと からだを ささえました。


あたたかい ぬくもりが つたわります。


「いっしょに さがそう」


てんしは すこし おどろいたように こいぬを みました。


「ひとりじゃ ないよ」


こいぬは やさしく いいました。


てんしと こいぬは よりそいながら もりの なかまたちのもとへ たずねに いきました。


くさむらで しかに あいました。


しかは そっと ていねいに いいました。


「このくさはね いたみを やわらげてくれます」


「たいせつに つかってくださいね」


かわで かめに あいました。


かめは ゆっくりと おちついたこえで いいました。


「いそがなくて いい」


「ゆっくりでも すすんでいれば だいじょうぶ」


みずうみで はくちょうに あいました。


はくちょうは まっすぐ みちを しめすように いいました。


「きみは そらに かえるこだよ」


「とぶ れんしゅうをしよう」


てんしは はくちょうと いっしょに すこしずつ つばさを うごかします。


「……こわい」


つばさが すこし ふるえていました。


てんしは こいぬを みました。


こいぬは うなずきました。


「いっしょに やろう」


こいぬは そういって てんしの よこに ならびました。


「せーの、で いこう」


てんしは ぎゅっと めを つぶって こいぬと いっしょに じめんを けりました。


とん、とん、とん。


ふわり。


てんしの からだが そっと うきあがります。


こいぬは したで いっしょに かけながら うれしそうに みあげていました。


こんどは もう おちません。


てんしは そらへ かえっていきました。


こいぬは しばらく そらを みあげていました。



さむいひ。


こいぬは ゆきのうえで ふせていました。


そのとき——


そらから やさしい かたちが たくさん あふれるように ふってきました。


それは てんしの 「ありがとう」が こぼれて かたちに なったものでした。


「ありがとう」は しずかに もりじゅうへ ひろがってみんなを あたたかく つつみました。


てんしが そらから おりてきて みんなの まえに たちました。


ひとつ ひとつ わたすように すこし どきどきしながら——


「ありがとう」


てんしは はっきりと いいました。


そして こいぬのほうを みて ふわりと わらいました。


「また あえたね」


こいぬは うれしそうに しっぽをふりました。


こいぬの こころも ぽかぽかに なりました。


おしまい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ