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小さな王子

小さな王子



MMは耳を疑い、王に聞き返していた。

「彼女が秘書官に命令し送ったんだ。偽ってな」

MMは溜息を付き、その名に目玉を回した。他の王達はMMを見て、「何か?」と言った。

王は言った。

「歴代の17名の内、既に4名が除外され10名と共に関わる34名には消えてもらい、まだ3名は保留中だったが、新たに彼の名が浮上した」

「まさかまだいたとは信じられない事だがな。確固とした調べも着けた。今起きている件に多少なりとも関わっているとなると、生かしておく訳にも行かない」

「誰のジュニアだ」

一人が手をすっと上げ、また組んだ。MMはそちらを見て、片眉を上げると頷いた。

「本名はカリーナ=スカーナル。6年前の事だ」

まるで苦々しく白状するかの様にさらりと言った。

女王は歴代17名の国王、王子、皇子との間に子供を設け、各国に送り、彼女はそれをスキャンダルに彼等を脅迫して来た。手玉に取っていればいつかは無謀な死は確実だった。

「どう見ますか?MM」

「今回の事で、関わりは?」

「多少なりとも」

あの真っ黒い瞳は硝子質の様で、多い睫の下から見上げてきていた。笑うと本気で可愛くもあった。怒ると本当に悲しそうな顔をする。目を見ればよく真実を誤魔化そうとしている性格だろうと分かってもいたが、必死な怒りは正義感が強そうな事からと、小さな恐怖心から来る考えからの物だという目だ。

リグ=タラン。5歳になり3ヶ月だ。

「どう判断する?」

「あんたは一度も会った事は無いんだな」

「ある」

意外な事をその父親が言い、組んだ腕を軽く叩き空を溜息混じりに見た。

「彼女の秘書官にアメリカに送った1週間の後に呼ばれ、赴いた。名目は慈善活動の公務一貫だ。私は3名のボディーガードと妻を連れその孤児院に支援の為に赴き、一人一人と接し運営資金とジャングルジムを贈ったが、まさかロザリオを各々の首に掛け抱き上げたその中に息子がいたとは思いも寄らなかった。生まれてまだ2ヶ月だった」

今まで女王の橋立をしてきたその秘書官の男は、同罪として消されていた。

組織委員会スポンサーである3名の国王はMMに言った。

「今後の事を考え、シルバーウルフに始末させるリストには加えるかの是非は?」

「シルバーウルフは子供を殺さない人間だ」

女王は若々しい体を気力と美容、顔、全身整形、完全若返りを続けてきた62歳。外見からは36ほどに見えた。全ての子ども達は成人していた。

「彼をこのまま、親の無い孤児として成長させると?確かに一生関わらなければそれで終るが、今起きている事件で、いずれ身分を調べられる可能性もある。ハノス=カトマイヤーは鋭い」

「今、彼を生かして正当な後継者とする話も出ている」

彼は人格は真っ当だ。孤児院に逃がしただけもある秘蔵っ子というべきか、何の汚れも無い。国の戦略もだ。

だが、もしも自分の身分を知らされればその後の成長は国政の中に置かれ、どう動くかは分からない。人の性格は変わる。

「5歳の年齢か。リグ=タランには人格がある。俺が直接聞こう」

「今の年代では重過ぎる言葉では無いのか?」

「知る権利はある」

MMは立ち上がり、会議を閉会させた。

全く、終盤に差し掛かったと思えばこれだ。

MM達は室内から出て行き、リグの父親が廊下先頭を歩いて行くMMに並び声を潜めた。

「生かしてもらいたい。この腕に抱き寄せたあの感覚を思い出すと心が痛む。あの子はまだ何も知らずに貧しく暮らしてきた」

MMは立ち止まり彼に体を向け見下ろし、口をきつく閉ざしていたのを開いた。

「孤児院は誰もが同じ同等の立場だ。例外は無い。そこから這い上がる。自らの志と他からの協力でな」

「あの子は本当の親を憎んでいるだろう。自分を捨てたんだからな」

MMはまた歩き出しながら横を歩く彼に言った。

「彼はあんたにもらったロザリオを首から下げていた。一国のトップである国王にもらったそれが嬉しかったんだろう。分からない事だがな」

彼の肩を軽く手の甲で叩き、言った。

「消す理由は一つだが、消さない手は多くある。道は開かれている。あんたがそうと望むなら」

そう言い颯爽と歩いて行き、国王はその白い背を見てから目を閉じ、開いて床を見た。




                                                     〜続く〜

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