深夜の涼風
深夜の涼風
深夜12時。他国。
シルバーウルフは重厚なシルバーが首を囲い、暖色の光りが反射した。黒の皮パンの足を組み、白シャツの肩にSchott618を掛け、煙草を口の片端へ持って行くと一度相槌を打つ。鋭い目を細め契約書を見下ろすとそれを目の前の男に渡し腰掛けていた木箱から立ち上がった。
琥珀の街並みを見渡し、他の人間に入居者達を預けブーツの足をガイ達と共に颯爽と進めさせた。秘密の街は適度に剣呑と横たわる。空気は動く事も無く風が遮断さて、薄汚れた壁全てに暖色を受けては染まっていた。低い空にその壁と同色の茶色の杯月が大きく浮かび、彩る。まるで細かく彫り込まれた様な模様にも見える。
ガイは酒瓶を呷り男に投げ渡してから生ぬるい淀んだ空気の中を歩いた。
クラシックギターを弾く男がエジプトの舞曲を奏でる。女達は時々停止するように段を着け鋭い眼で踊り、腰をゆっくり艶めかしくい振っては止め、コブラの様に舞う。
漆喰壁に青銅雄山羊頭部のレリーフが飾られる下、ドアを潜り入って行った。シルバーウルフはカウンターに金を置き、店主は暗い目のままジッポーオイルを投げ渡した。
スツールに腰掛け、古い金の鳥かごに入った毒蜘蛛達は隙間が開き、稀に自らが練り歩きカウンター上の古めかしい計りに載っては天秤に揺られていた。バイクで草原を走らせるときにばら撒くその土地の植物の種をまた麻の袋に秤で計って何種類も入れているシルバーウルフの肩にも乗っていた。
シルバーウルフが立ち去るその背を蜘蛛は多くの並ぶ黒い目で見ていた。
彼等は街から離れる。
ハーレーに跨りしばらく海岸線を海風を切り走らせて行く。どこまでも低音の波音が轟き、空間をどこまでも広くする闇の中、停車させバイクに跨ったままガードレールに肘を掛けた。風を受け、髪を翻しては暗黒の海を涼しい目で見渡すと風を避け目を細め煙草に火を灯した。吸い付き、闇に流れ一瞬停止したかと思うと、コブラの様に風に一瞬にして動き消されていく。闇をのたうっては白のコブラは溶け込んだ。細める目で追っては海に視線を流した。
ガイはガードレールに背を着け、彼に言った。
「そろそろキリバスに向かおうぜ」
「ああ。そうだな」
風の様な声は潮騒に重なり重音を持たせた。
彼等は沿岸線のバイク屋まで走らせていく。
低い音がくぐもり、響き耳鳴りの様に海馬を浸蝕する。宇宙を描き付け、悠久の闇から投げ出された身はまるで無重力で漂う感覚だ。どこまでも、どこまでも……。
バイク屋につくと、夜の中を静寂に佇み、その横の食堂の野外階段を上がって行く。
天体望遠鏡ドーム横の階段を上がって行くと星は少しの差で大きく見えるのは、視野が邪魔されずに思う存分視界に入るからだ。白鳥の様に星は飛んでいる様に見える。その羽根を広げ。
山がすぐ背後だ。木々の囲う中、土の上を歩き、吊り橋を歩いていく。深い渓谷は下のせせらぎと木の葉を月光に微かに浮き立たせては、白く点々と光らせる。ダイヤモンドの輝きが岩窟の中散らばっているかの様に。遠くの滝からは涼やかな風に乗せどどどどどと音を立て落ちては、豊かな水源を抱かせた。生命は動いている。常に止む事など無い中を回っているのだ。
生命と魂の流れも、それらの時間の差を縮める事は無く、不在の中を寄り添い共に流れ行く。生命と終わり、死と誕生、魂が移り行き水に流れてはたどり着き流れる。
吊り橋を越えると更に山道を歩く。木々の間から見える夜は羽根を広げたかの様だ。闇の中すれ違う人間達と短く暗号を交し進み、湿った土、養分を含んだ枯葉をブーツで踏み均し歩いては、夜の色味を持った森林の空気は今は清々しくも静に沈んでいる。
山が開け、一気に広く明るい月光が全面に行き届いた広野に出る。
広野の隅をキャンプやワゴン、露店が並び、多くの人間が酒を飲み交わし適度にはしゃいでは、ライフルを的に撃たせはしゃぎ、林檎をばらばらに、焚き火を囲い女達は踊り歌って犬は吠え檻を囲いチャボ達を戦わせている。男達が沸き立ち、金が換算されては、弦楽器を打ち鳴らしトランペットが静に鳴ってはつまみを食べ、そのパラグライダー場は悠々20名程は飛んでいた。
暖色の裸電球の中、歩いて行き彼等の横を通って行くとテントで酒とつまみと銃弾、ロイヤルブランデーシガレットを買い、他に連れの5人が加わって横の私営ヘリポートへ歩く。
一陣の緩い風に乗せ目を閉じ天を仰ぎ見るとふと顔を戻し歩いて行った。フェンスの中のコンクリート地面には闇の中を飛行道具が並ぶ。
一機のヘリと小型飛行機で飛ばしていく。
夜の風を切り裂き音で震わせ飛ばしていくCAB CLOTHINGを着込む操縦者は、一瞬バックヤードのシルバーウルフとガイ達を見ては進めさせた。シルバーウルフはガイに投げ渡されたバーボンを呷り腰を降ろした。
香の煙が空間を揺らめく。
パラグライダーの人間がゴーグル越しに髭の口元を上げ、指を掲げ迂回していく。開けられた窓から、向こう側へ風が通り抜けていき、瞬く星はミルキーウェイを壮大に描き付け瞬かせる。
銀河の渦まで眼に見えそうな透明な上空は土星や天王星の幻を鮮明に、そして巨大に夜空に浮かばせ占領させた。
下で騒ぎがぼっはつした様だ、にわかに騒ぎ始め、幻は打ち消される事も無いままにラッパの騒音の様に空に乗った。
風音に乗せ銃撃の激しさが伝わり、下を幾つものオレンジの閃光が通って行った。照明がパンパン割られ激しく殴りあい叩き割った瓶で殴りつけては草原上は銃撃が巻き起こり、酒がぶちまかれ飯盒炊飯が転がった。ガイたちは見下ろし首を振った。
シルバーウルフは興味もなさそうに煙の方向を目で追い、ガイたちはあきれ返ってカードを背後の夜空にばら撒き一瞬を置き、夜空に舞った。
シルバーウルフは拳銃を回し一打ちして回して腰に収め、ばらばら回転して行く空中のカード達のジョーカーに穴が空き、一瞬を置いてジョーカーはバランスを崩しヘリの硝子にへばりつきシルバーウルフを見開いたあくらつな目で射抜くように見た。
その穴の中、向こう側の小さな月が機体の振動によりゆれた。
天井に煙を吐きサングラスを填め転がっては、煙草を吐き捨てた。
「やるじゃねえか」
ガイは口端を上げ、骨付きソーセージをほおばるダギアンは手を掲げてシルバーウルフは掲げてやった手にぱんとたたき合わせて笑い、ヨセフは腹ばいになってはナッツを口に放った。
ジョーカーはそのまま、流れるように風に浚われ消えて行った。揉め事を起こし一気に喧嘩をおっぱじめては犬達はギャンギャン鳴き喚き噛みあう奴等の上空に鎌を振り上げるかの様に落ちていった。
シルバーウルフは唸って腹ばいになり腹を押えた。
ヨセフは「なんだよ、どうした?」と眉を潜めた。
「さっき首筋に打たれた奴だ。毒回ってきやがった……」
「おいマジかよ」
どちらにも仕込まれていたのだろう。
ガイとダギアンは立ち上がり、目を鋭くあの街上空に差し掛かったのを窓枠に手を掛け見下ろした。小型機の奴等が顔を向けてきてガイは首をしゃくり合図を送った。
奴等も頷き唾を吐き捨てサングラスを下げた。
ガイは蛇の様な目で下を見下ろし、ヨセフはシルバーウルフに大型銃を投げ渡すと彼はフッと毒唾を吐き出しジャンプし、一気に上空へ真っ直ぐ落ちて行きながら発砲した。
ガイ達はいきなりの反撃に合った下の奴等を打ち付けていき、小型機のベットーが手榴弾を投げつけ轟く。シルバーウルフは上空1000メートルから回転し降り立つと誰もがぞっとして口を引きつらせ、体を硬直させた瞬間、爆破であの契約を破棄した新入居者達が流れ出た。一瞬の内に血が舞い踊りシルバーウルフに撃ち殺されていった。
「邪魔したな」
両手の武器を回し背後を仰ぎ、ヘリの音が振動を伴い垂れ幕や鎖や的屋テントを揺らし迫って来たのを誰もが強風を避け、シルバーウルフは飛び乗り一瞬で煙草がダギアンから口にくわえられヘリが傾き上空へ上がり始めるのをシルバーウルフが小型ダイナマイトを回し手にして見下ろした。
やべえと下の連中が下がっていき、煙草で火を着け放り中へ引き、屍の山の上に落ち死体のみが木っ端微塵に飛び散り消え去った。
壁に背を付け煙を吐き目を閉じ、豪炎の巻き起こる中をヘリは上空高くへと飛んでいき、小型機に並び太平洋を流れていった。
そういえば、街で食ったあの脂ぎとぎとのステーキに腹がやられたのだと思い当たって、まあもう終った事だ仕方がねえと肩をすくめた。
ダギアンは覚せい剤を腕に打ちクラッシュして、何故だか幻覚で妖しげな琥珀のサーカスが廻った。闇の中、一部を照明で照らされ白く浮く中を、さっきのジョーカーがポールリングのピンをくるくるジャグリングさせた。他の道化師が炎の柱を天に吹き、色とりどりの鳥が舞っては、色とりどりのボーリング玉を可愛い美女がピンクや青、黄色などのラメ掛かるその玉を構えた。大きな星の飾りが多くぶら下がる中、ミニスカートのアメフトの格好をしたその子はアメリカ国旗のヘルメットを被り、振りかぶって投球した;。見事ピンを全てなぎ倒させキラキラと黄金ラメが舞った。
その事で完全にいったのを背後にそのまま倒れていった。
ガイはダギアンが転がるのを足を伸ばして退かし、曲を掛けさせ肩で体で乗り始めた。




