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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
93/107

伍章・参ノ漆 ~大きな…~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、93本目です。


今回で張三姉妹救出編が終わります。

お読み頂き、ありがとうございましたm(_ _)m

次回から紀州編に戻ります。

もしよろしければ、前回までの紀州編をお読み頂ければと思います。




長く続く張三姉妹の行軍の列。

その中ほどにある馬車に三人は揺られていた。


「ねぇねぇ人和ちゃん」

「まだよ」

「お姉ちゃん、まだ何も言ってないよぅ…」

「いつになったら着くの?でしょ。言われなくても分かる」

「ぶぅ~」


頬を膨らませる天和を一顧だにせず、人和は手にした書類に目を落とし続ける。


「今日中には着くのよね?そろそろ天幕じゃなくてちゃんとした宿で休みたいわー」


邑から邑への行軍が数日に渡ったせいか、地和の機嫌もよくない。


「先触れを出しておいたから、着いたらすぐに宿には入れるはずよ」


基本的な通達とお願いは事前にしてあるが、どうしても意思疎通に齟齬が生じることがある。

なので交渉専門の部隊が先乗りして先方との折衝、会場予定地の確認、現地採用人足への説明など、張三姉妹が現場に着いてから円滑に進むようにするのだ。

もちろん、その中に張三姉妹の定宿の手配というのも含まれている。

着いたらすぐに休めるだろうと、二人をなだめていたその時、


「張梁さま」


馬車の外から声がかけられた。

使い番の兵のようだ。


「どうしたの?」

「は、先遣隊からの伝令です。異常事態があったとのことです」

「異常事態~?」

「分かりました。一時行軍を停止させ、伝令をここに通して下さい」

「はっ」


番の者が駆けていく。各所へ指示を出しに行ったようだ。


「何かしらね、異常事態って?」

「さぁ…でも、時間的に邑への途中で何かあったようね」

「ふ~ん」


さして意味の無い会話をしながら伝令を待つ。

そのうち馬車が完全に止まり、そして伝令が馬車の前に現れた。




…………

……




「…地図にない土地?」


伝令が伝えたのは不可解な報告だった。


「はい。厳密に言えば、地図では平地となっている所に突然山がありまして…その逆もあったと言いますか…」

「なにそれ?イミワカンナイ」

「地図が誤っていたということですか?」

「もちろんその可能性もありますので、先遣隊本隊は予定通り邑へ赴き、土地の者に尋ねる手筈になっております」

「分かりました。ご苦労様です」


とりあえず伝令を下げさせる。


「…………」

「?どうしたのよ、人和」


伏目がちに考え込んでいる人和を見て、地和は首を傾げる。


「ううん…さっきの伝令が言ったような間違いがあるのかな、って」


三国同盟後、三国が最も力を入れている事業の一つが、地図の作成だ。

規模が大きいので、更新頻度は決して高くないが、それでも最近はそこまで大きな間違いは起こっていない。


「気になるならさ、ちょっと寄ってみない?」

「え?」「姉さん?」


天和の口から出た意外な言葉に、妹二人は目を丸くする。


「だってさ、地図の作成に協力っていうのも、私たちのお役目じゃない?」


張三姉妹の目的は勿論、自分たちの巡業が主だが、魏時代から別のお役目が課されている。

兵卒の確保、各地の経済状況の調査などなど。

その中に地形の調査というのも含まれている。

そのため巡業の際には、各国の最新版の地図が貸与され、張三姉妹側は円滑な巡業行程が組める。

そしてその代わりとして、間違いがあれば正すというのが暗黙の了解となっている。


この事は三人とも承知しているが、天和が真っ当な事を言うので妹二人は目を丸くしていた。


「それにね…なんかモヤモヤするんだ。見に行かなきゃいけない。そんな気がするの」

「う~ん…姉さんがそこまで言うなら、行くだけ行ってみる?」

「そうね。そんなに進路を変えるわけじゃないから、大丈夫でしょう」


こうして張三姉妹一行は『地図にない土地』に向かうのだった。






――――――

――――

――




「といった流れで、その地図が変わったところに赴き、興味本位で内部にも入ったところ、先ほどの化け物に遭遇した、ということです」

「「「…………」」」


人和の話を聞き終えた俺たちは、誰ともなく目を合わせる。


「え、なになに?」

「ちょっと…なんなのよ、この雰囲気は?」


居たたまれない天和と地和。


「一刀、これって…」


先ほどとは打って変わって真剣な声色のシャオ。


「あぁ。異変…戦国時代の土地だろうね」

「では、やはり…」

「鬼は戦国から沸いた、ということでしょうね~♪」


雫と穏は予想通りといった感じだ。


「何か知っているのですか、一刀さん?」

「あぁ。それじゃ改めて、こちらの事情も詳しく話そう」


俺は掻い摘みつつも、なるべくありのままを説明した。

雫たちを紹介しながら、彼女らが未来の人間であること。

先ほどの『鬼』が俺たちの敵であること。

そして、三人が入った土地が俺たちの探している土地かもしれないこと。


「ふぅ~~ん」

「そんなことが…」

「なるほど」


反応は三者三様だ。


「そこでお三方にお聞きしたいのですが…」


雫が真面目な調子で続ける。


「お三方が見つけたその土地の気候や風土の特徴などありましたら、お教え願えないでしょうか?」


そこがどの土地であるかが分かれば、誰がいるかが分かるはずだ。


「う~ん…何かあったかなぁ?」


天和はキョトンと目を瞬かせる。


「いや、姉さん…」

「雫さんたちの国がいくつあるかは知りませんけど、絞り込めるだけの特徴はあったと思います」

「…それは?」

「はい。少し大きめの湖がありました。その近くの街のような所から化け物が出てきて、私たちは襲われました」

「大きな湖っ!?それって…!!」

「ひよっ!」


それまで大人しく話を聞いていたひよが俄かに立ち上がる。

そんなひよを、ころが少し押さえる。


「大きな湖、ってことは、一つしかないよね」


日本にも大きな湖はいくつかあるけど、三国を歩き回った天和たちが『大きな湖』と表現する湖は、日本に一つしかない。

え~っと、滋賀県の旧国名は…


「近江、ですね」


俺の思考に答えるように、雫が呟く。


「お市様…」


ひよが震える声で囁く。


「お市様って…まさか?」

「はい。近江は久遠さまの御妹君のお市様、そしてその良人である眞琴さま…浅井長政様がおられる国なんです」

「そうなのか…」


ひよのあの心配そうな顔は、お市の方を想っての事なのか。

秀吉がお市の方を好きだったのは有名な話だもんな…


「あ、あの!一刀さまっ!」

「ん?」

「あの……このままお市様達を助けに行く事は、出来ませんか!?」


ひよが今にも泣きそうな顔で懇願してくる。

助けてあげたいのは山々だけど…俺は首を横に振る。


「そんな!どうしてですか!?」

「ひよっ!」


俺に詰め寄ろうとするひよを、ころが押し止める。


「今回の遠征は天和たちの保護が目的だった。もちろん、有事は想定してたけどこれ以上の長陣の備えはない。それに、近江には今以上の数の鬼がいるかもしれない。準備は万全を尽くさないと、それこそお市様や長政さんを助けられなくなっちゃうよ?」

「それは…」


鬼との戦闘の厳しさは、ひよも身に刻み込まれているのだろう。

それに、ひよだって本当は分かっているはずだ。


「ひよ」

「……うん」


ころが頭を抱き寄せ、その胸で涙するひよ。


「一度戻って、万全を期して、すぐに助けに来ると約束する。大丈夫、小波を連れてくればすぐに見つかるよ」

「はい……はいっ…!」

「よし、それじゃ帰ろうか!」




俺たちは張三姉妹の保護に成功し、新たな情報も得ることが出来た。

上々の戦果を得、皆と無事に洛陽へ帰るのだった。





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