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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
85/107

伍章・弐ノ参 ~三人の少女~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、85本目です。


前回からスタートした袁紀編。

今回は紀伊、雑賀衆と梅の出番です。




山あいのその集落は、のどかな雰囲気に包まれていた。

訳の分からない場所に飛ばされ、訳の分からない軍団に攻め込まれたりしたが、至って平穏だった。

しかしながら、今その静寂が…


「梅ちゃ~~~~ん!!!」

「(っ!!!)」


一人…いや、二人の少女によって破られた。

二人はよく似た顔立ちをしている。

小型の石火矢を背負った少女が小さい身体をバタつかせながら、大声でわめきながら走っている。

その後ろを、身の丈以上の火縄銃を背負った少女は、周りをキョロキョロしながら無言で付いている。


「いったいなんですの?騒々しい」


と、近くの蔵からひょっこり、別の少女が顔を覗かせる。

美しく豊かな金色の巻き髪を揺らすその少女は、手に大福帳を持っていた。


「あぁ梅ちゃん!こんなところにいたんだ~」

「今日は一日こちらで物資の確認をしますと、朝言っておいたではありませんの」


梅と呼ばれた少女は、大福帳を叩きながら呆れた顔をしてそう言った。


「そんなことより大変大変!大変なんだよー!!」


石火矢の少女は全身を使って、大変さを表現する。


「(こくっ!こくっ!)」


火縄銃の少女は黙って二度ほど強く頷いた。


「雀さんだけならまだしも、烏さんまでそう仰るのなら何かあったのですわね。もしかして、敵がまた性懲りもなく攻めてきましたの?」


梅は心底嫌そうな顔をした。

この場所に来てからというもの、謎の敵が攻めてくるのだが、その都度、火縄銃の少女・烏と石火矢の少女・雀の二人が率いる八咫烏隊が撃退している。

そのしつこさもさることながら、敵首魁が梅に似てる、と雀が喚きたてるので、梅にとってはあらゆる意味で頭痛の種でもあった。


「そうじゃないんだってば!もっともっともーーーっと大変なことなんだってばっ!!」

「(こくっこくっこくっ!)」


烏は首が取れんばかりに高速で頷く。


「それ以外で大変なことって…なんですの?」

「見張りの娘がね、さっき伝えてきたんだけど……」






――――――

――――

――




バタバタと、掲げられた三本の旗が強くはためく。

強い風が断続的に吹いていた。


「…なぁ、剣丞?」

「なに?翠姉ちゃん」

「これだけで、本当に剣丞たちの仲間は出てくるのか?」


剣丞らは兵を止め、異変から少し離れたところで数刻ほどジッとしている。

仲間と合流しようというのに、異変内に入って探すならともかく、翠のような性格の娘からすると、今の状態は手持ち無沙汰もいいところだった。


「大丈夫だよ。コレがあればね」


剣丞は、相変わらず音を立てながらはためく旗を見上げる。


「これは新田一つ引きといって、剣丞さまの家紋…つまり、剣丞さまの所在を示す旗なのです。皆さんの牙門旗と同じですね」


剣丞の隣から、詩乃が注釈を加える。


「ふ~ん」

「なるほどー」


蒲公英は興味なさげに、風はボーっと旗を見つめる。


『ご主人様』「剣丞」


頭の中に響いた小波の声と、側にいる小夜叉の声が、ほぼ同時に剣丞に届く。


「来たんだね」

『はっ!』「あぁ」


剣丞は一歩二歩と、少しずつ部隊から離れ前に出る。

彼女たちを出迎えるため。



「…………ィーー!!」

「………………)!!」

「……………ーん!!」



豆粒ほどだった影が、武将仕様の視力ではない剣丞の目にも像が結べるようになる。

そして、その頃には声もしっかりと届くようになっていた。


「ハニィーーー!!」

「(…!…!)!!」

「お兄ちゃーん!!」

「梅っ!烏っ!雀っ!」


剣丞は走り来る三人の少女の名を呼ぶと、両腕を大きく広げる。

そんな剣丞に正面からは梅、そして両足にはそれぞれ烏と雀が飛びつき、剣丞はそれを受け止めた。


「あぁ、ハニー……本当にハニーですのね?」

「うん、本物だよ」

「地獄に仏とは、まさにこのことですわね…」

「あれ?梅って切支丹じゃなかったっけ?」

「もう……茶化さないで下さいまし」


梅は剣丞の胸に顔を埋めると、静かに咽いだ。


「うん、ごめんね」


烏と雀の頭に置いていた手を、梅の頭と背に回す。


「…………」

「お兄ちゃん…」


それに少し抗議するかのように、烏は目で、雀は声で訴えかける。


「ごめんごめん。二人も久しぶり。色々大変だったみたいだね?」


二人に微笑みかけながら、両手をそれぞれの頭に添える。


「そんなことないよ!雀たちは強いんだから!」

「(こくっこくっ!)」

「敵だってお姉ちゃんと二人で、ちぎっては投げちぎっては投げ…」

「(こく、こく…)」

「うん。二人が強いってことは良く知ってる。でもどんなに強い娘でも、強がらなくて良い時だってあるんだよ?」

「…お兄ちゃんっ!」

「(くすんっ)」


二人も剣丞の身体に顔を押し付け、静かに泣いた。






――――

――




「妬けるっすね~」


その光景を少し離れたところから見ている柘榴が呟く。


「茶化してんじゃねぇよ、阿呆が」


それに反応したのは小夜叉だった。


「あれ?意外な反応っす。梅とは喧嘩友達なんすよね?」

「うっせ馬鹿、少し黙ってろや」


小夜叉はそう言うとそっぽを向いた。


「やれやれ…うちの御大将といい、素直じゃねぇのが多すぎるっすよ。……んま、公方さまほど素直なのも困るっすけど」


空気も読まず、我もと剣丞に突撃しようとして幽に羽交い絞めにされている一葉を見やり、やれやれと溜息を零す柘榴だった。




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