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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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伍章・弐ノ弐 ~追われるもの~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、84本目です。


今回から袁紀編が本格スタートです。




剣丞一行は、一路麗羽の本拠地・(ぎょう)へと馬を向けていた。

将は剣丞を始め秋蘭・一葉・幽・小夜叉・柘榴・小波・風・詩乃・翠・蒲公英・真桜と総勢12人。

主力は秋蘭の手勢、足利衆、長尾衆の計約五千。

彼らの大半は歩兵なので、行軍速度も自ずとそれに合わせたのんびりとしたものになっていた。


そんな中、軍の中ほどにいた剣丞は、


「大丈夫かなぁ…」


不安でいっぱいだった。


「梅さん、ですか?」


剣丞の隣に轡を並べる詩乃がその呟きに応える。

ちなみに、その反対隣は一葉が、詩乃の逆隣に秋蘭、一葉の逆隣に幽という五人で馬を歩かせている。


「いや、うん…それもそうだけど…麗羽姉ちゃんたちも、かなり……」


未来でも数々の厄介事を巻き起こしていた麗羽と美羽。

彼女らが大兵力を抱えているというだけで、剣丞の背筋には寒気以上の戦慄が走っていた。


「まぁ、その辺は心配なかろう。抑えに稟が行っているし、何かあれば北郷の名を出すことになっている。さすがの袁紹も、北郷の名を出されれば動きを止めるだろう」

「……そうだね、秋蘭姉ちゃん」


一刀の名を出せば麗羽の暴走も止まる。

確かにそうなのかもしれないが、剣丞の胸には何かモヤモヤしたものが渦巻いていた。



『ご主人様』


その時、頭の中に小波の声が響いた。


『小波か?どうした?』

『はっ。我々の前方に軍勢を確認しました』

『軍勢っ!?俺たちに向かってきてるのか?』

『いえ。どうやら、軍勢の前を走る一騎の騎馬を追っているようです』

『騎馬?仲間割れかな?』

『そこまでは残念ながら…』

『追われてるのはどんな人?』

『女性です。人相は…』



――――

――



「どうした、剣丞?」


急に黙りこくった剣丞の顔を、秋蘭が覗きこむ。


「恐らく、小波さんからの連絡でしょう」

「あぁ。あの遠くの者と会話が出来るという、例の力か…」


秋蘭には、今回同行することもあって、句伝無量の話は通っていた。


「興味深いな。今度、私にも……」

「――っ!まさか!?」


突然、バッと顔を上げる剣丞。


「秋蘭姉ちゃん!」

「な、なんだ?」

「稟姉ちゃんの格好ってどんなの!?いつも通りの服で麗羽姉ちゃんのところに行った!?」

「うん?あぁ、いつも通りの格好だったぞ」

「ありがとう!小波、軍勢に追われてる騎馬の…そう、その眼鏡をした女性の服装を確認してくれ。チャイナ服…秋蘭姉ちゃんのようなピッタリとした服で、色は緑っぽくないか?」

『ご、ご主人様の仰るとおりです!ま、まさか…』

「その人は味方だ!すぐに先頭の翠姉ちゃんと柘榴を救援に向かわせてくれ!」

『承知しました!』

「……ふぅ」


小波の声が離れると、剣丞は大きく息を吐いた。


「どうなっているのだ?稟が追われているという風に聞こえたが…」

「多分、そうだと思います」

「何故だ!?お前達の仲間にか?それとも…」

「俺たちの仲間であれば、小波が気付いてたと思います。ということは、恐らく…」

「まさか…いくら袁紹と言えど、そのような暴挙…」

「……なるほど。恐らく呉越の時と同じですね」


詩乃がふと漏らす。


「ふむ。そういうことですか」


幽は口元に手を当てながら得心する。


「なにを二人で分かり合っておるのじゃ。余にも分かるよう説明せよ」

「呉越の時って、雪蓮姉ちゃん達と美空たちの時ってこと?」

「はい。あの時は人質交換によって互いの敵愾心を煽り、虎の同士の共倒れを狙った二虎競食の計でしたが…」

「この計は、要は自身と敵対する二つの勢力を反目させることさえ出来れば、手段は何でも良いのですよ」

「なるほどのぅ。事情を知らぬ我らと三国の連中の間に疑心暗鬼さえ引き起こせば、二虎競食は成る、か」


詩乃たちの解説に、一葉は納得したようだ。

秋蘭も同じく納得したように一つ頷き、苦々しげに眉を顰める。


「そういう手なら、袁紹の性格は最悪だな。さしたる策も必要なく、大兵力を操ることが出来るだろう」

「恐らく郭奉孝殿はそれに気付いて止める、あるいは逃げようとしたところ、刺客を送られたのでしょう」


前方から砂塵と喚声が上がる。

前衛が袁紹軍と接触したのだろう。

翠と柘榴の力を考えれば、すぐにでも袁紹軍を退けるはず。

剣丞たちは急ぎ、前方へと馬を走らせた。






――――――

――――

――




無事、稟と合流できた剣丞たち。

その稟の口から出た情報は、三国勢を大いに驚かせた。


「真直の様子がおかしい、だと?」

「はい、彼女が袁紹殿を扇動しているのは間違いないかと」

「いや、ありえないだろ…」

「だって『あの』真直だよ!?」

「ちょっと想像出来へんなぁ」


どうやら真直という人物が麗羽を陰で操っているらしいのだが、三国勢はそれを受け止めきれないようだ。

それを静観している戦国勢。

そしてどちらも知っている剣丞は、


「…真直って誰?」


ポカンとしていた。

知らない名前が出てきた剣丞は、蒲公英に尋ねる。


「え、誰って真直…田豊だよ。あれ?剣丞の未来にはいないの?」

「う、うん…」


剣丞の記憶の限りでは、麗羽の取り巻きは斗詩と猪々子の二人だけだった。


「真直というのは袁紹の軍師でな。かなり優秀な人物なのだが、袁紹には策を採用されず、猪々子には策をぶち壊され…という苦労人なのだ」

「せやから、麗羽さまを操るなんて器用なこと出来るはずないんやけど…」


それが出来ていれば、官渡あたりでは我々とて危うかっただろう。

と秋蘭が補足する。


「私に兵を差し向けたのもの、彼女の差し金でした」

「ふむ…」


稟の言葉に、剣丞はどうしたものかと考え込む。

当初の予定では袁家と八咫烏隊双方に接触して、戦闘を止めてもらおうと考えていたのだが、それも一から見直さねばならないだろう。


「ご主人様」


斥候に出ていた小波が戻ってきた。


「お帰り、小波。どうだった?」

「はっ!鄴の城門は堅く閉ざされており、警戒も厳重でした。侵入は容易ではないかと」

「そっか……」


どうやら麗羽と接触を持つのは難しそうだ。


「剣丞さま、こうなっては致し方ありません。まずは梅さんたちに接触を試みましょう」

「それしかないか」


期せずして稟が加わった剣丞たちは、目標を鄴から紀州へと変更した。





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