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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
60/107

参章・壱ノ捌 ~奇襲~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、60本目です。


春日山が舞台の攻防は今回で最後。

分かりにくいので図を作りたかったのですが、時間が無いので飛ばしました。

頭の中で整理しながら読んで頂ければと思いますm(_ _)m


なお、実際の地形や距離とは異なった表現があります。

その辺、お含み置き頂ければと思いますm(_ _)m





孫呉の本陣、冥琳の目にも煙が見えた。

それは春日山の所々から立ち上っている。

当方優勢は明らかだった。


「…よし。裏門の包囲を緩めろ!逃げるものは放って置いて構わん!」


こうすることによって、相手が死に物狂いで戦うことを防げる。

また、一人逃げ出せば我も我もとなるので、士気も大きく挫ける。


「我々の目的は迅速なる小蓮さまの救出だ!疾風の如く、小蓮さまを探し出せ!」


山下では、山中にいる雪蓮が動きやすくなるように冥琳が采配を振るっていた。






「わあぁぁぁ!火だ!燃えちまう!」

「もう春日山はおしまいだー!」

「逃げろ!搦め手が空いてるぞ!」


火に慄いた兵たちが次々と逃亡を始める。

四半刻もしないうちに、春日山城内は、まるで無人のような静けさに包まれた。

その無人の野を行くが如く、孫呉の軍勢が春日山城を制圧した。

そして…


「お姉ちゃん!」


春日山城最上階、天守閣で雪蓮と小蓮は感動的な対面を果たしたのだった。


「シャオ!」


雪蓮は末妹を優しく抱き上げる。


「大丈夫?怖くなかった?」

「うん!この春日山って城も広くて面白かったし、美空たちも良い人たちばかりだったよ」

「そう、良かったわね……それじゃ、ここからはオシオキよ」

「え?」


脇の下に手を入れて抱き上げる形から、シャオの身体に腕を回して抱き締める形に移行する雪蓮。

そして、ギリギリと腕に力を込める。


「い、痛い痛い痛い!背中折れちゃうってばー!!」

「大切な軍議に出ないで街に遊びに行って、みすみす敵に掴まっちゃうお間抜けさんには、少し痛い目にあってもらわなきゃねぇ~」


雪蓮は更に力を込める。

ミシミシと骨の軋む音が聞こえてきそうだ。


「ちょ…お姉ちゃん……ぎぶ!本当にぎぶ!」

「反省した?」

「したした!もうお城抜け出して勝手に遊びに行ったりしないから!」


ニンマリと雪蓮。


「その言葉、確かに聞いたわよ」


そう言うとようやく、雪蓮は小蓮を解放した。


「はぁ……はぁ……まったく、これ以上体形が良くなっちゃうところだったわ……」


腰のくびれの辺りをさすりながら呼吸を整える。

まだ軽口を叩く余裕はありそうだ。


「さ、こんなことをしてる場合じゃないわ。早く山を降りないと」


じゃあやらなきゃいいのに…と呟く小蓮を尻目に、雪蓮は来た道を引き返す。


「さぁ、行くわよ小蓮!今までサボってた分、働いてもらうからね!」

「は~い…」






――――――

――――

――




『周瑜さま…』


冥琳の脳裏に、呼びかける声が飛び込んでくる。


『小波か。どうした?』

『東方、約十里ほどの所に敵影が確認されました。そのご報告です』

『分かった。蓮華さまたちは?』

『はっ。無事、合流されたようです』

『計画通りか。分かった、また何かあったら伝えてくれ』

『了解しました』

「…………」


声が聞こえなくなった。


「ふむ…便利なものだ」


小波のお守りを握り締める。

これさえ持っていれば、離れた所にいる小波と意思疎通が出来る。

小波と、もう一人の湖衣という草のおかげで、戦場の様子が全て、瞬時に伝わってくる。

今までの常識がひっくり返るような能力だ。


「敵ではなくて良かった、な…」


一人ごちる冥琳。


「全軍、反転の準備をして置け!!雪蓮が来るまで持ちこたえるぞ!」

「「「はっ!」」」






――――――

――――

――




越後の山陰に隠れて白装束の一団が進軍している。

数はおよそ二万。

あまり多くはないが、相手は手負いの孫呉。

数の多さよりも、気付かれない事が重要と踏んでの、必要充分な兵力だ。

いざとなれば、于吉の力で傀儡は作り出せる。

于吉の中に死角などなかった。


「それでは皆さん。今から孫呉の後背を襲います。一人残らず、殲滅して下さい」


干吉はそう言い含めると、満を辞して進軍の足を速めた。






「敵襲!!」


孫呉の斥候が敵影を捕らえたのは、小波の連絡から半刻と経たない頃だった。


「よしっ!全軍反転!まずは弓の一斉射!敵の足を止めろ!!」

「「「はっ!!」」」




――――

――




「なにっ!?」


完全に敵の虚をついたはずだった。

気付かれた気配もなかった。

しかし、滑らかな反転からの間髪を入れない孫呉の反撃を食らった于吉は、面を食らっていた。


「さすがは周公瑾、ということですか」


干吉は口元だけで笑った。

あらゆる可能性を頭に入れて備えていたのだろう。

だが如何な周公瑾といえど、僅かな兵では持ちこたえる事はできまい。


「落ち着きなさい!相手は小勢。鶴翼で囲むのです。孫伯符が戻る前に片をつけますよ!」


于吉の号令で一塊だった二万の兵が、孫呉本陣を囲もうと、羽を広げた鶴のように展開を始める。

だが…


「敵の眼前で陣形を変えるとは、愚の骨頂だな。右先端を突く!」


冥琳は即座に、展開中の敵左翼に吶喊をかける。


「ちっ…往生際の悪い……左翼は身体を張ってでも敵を受け止めなさい!右翼は回りこんで敵後背を突くのです!」


于吉の指示通り、冥琳の部隊の後ろに敵軍が回りこんだ。その時…


「于吉さま!あれを!」


その右翼後方に突如、孫家の牙門旗が現れた。


「なっ…!?」


それは孫策が現れた証だった。

現れた方向も、孫策が戦場に戻った速度も想定外だったが、何より…


「数が……多過ぎる!」




――――――

――――

――




春日山城を制圧後、早急に搦め手門から山を降り、埋伏していた雪蓮たち。

実は于吉らが孫呉本陣に攻めかかる前に伏せていたのだ。

冥琳が敵を引き付け、敵陣形が存分に崩れたところを見計らって、旗を揚げたのだった。


「さぁ…ようやく暴れられるわ!者共!孫呉に刃を向けた報いを受けさせるぞ!我に続けーー!!!」


剣を掲げながら先頭を切って、がら空きの敵の背中目掛けて直走る。


「「「応っ!!!」」」


続く兵も気力・体力に満ち溢れている。

誰も彼も、全くの無傷。

とても城を一つ落としたとは思えない姿だった。






それは当然である。


この呉越の戦いは、孫呉と長尾が事前に示し合わせて、戦っているように見せかけただけなのだ。

長尾側が放った鉄砲は、実は全て空砲。

倒れた兵も怪我をしたフリだけ。

孫呉側が火をつけ、城内から上がった煙も、広場に組んだ櫓を燃やしただけ。

城が燃えたように偽装していたのだ。

なので雪蓮の部隊は、春日山城の正門から入り、途中小蓮と合流して、搦め手門から抜けただけ。

大して疲れてすらいないのが現状だ。




策とはいえ、戦闘状態に入りながら、こんなしち面倒くさいことをさせられた雪蓮は鬱憤が溜まりに溜まっていた。

なので……


「あはははははっ!!弱いっ!弱すぎるわよ!!もっとよ!もっとかかってきなさいっ!!」


敵の白装束をそこかしこで、文字通り、真っ赤に染めていった。




――――

――




「これは…まずいですね」


本陣から戦局を見届けていた于吉は眉根を寄せながら、そう呟いた。

明らかな劣勢。

背後から孫策隊の奇襲を受けた右翼は、ほぼ壊滅。

左翼も周瑜隊相手に、押されている。

数はこちらの方が上回っていたが、英雄を前にしては数の差など無いに等しかった。


「ここは退きます!」


完全に機を逸する前に、干吉は撤退を決断したのだった。






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