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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
56/107

参章・壱ノ伍 ~繋ぐ-孫呉・剣丞~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、56本目です。


孫呉・長尾に仕掛けられた計略が明らかになり、それを元に剣丞たちは両者と繋ぎを取ります。

本格的に動く前の、若干の閑話休題を二つ、お届けします。


なお、実際の地形や距離とは異なった表現があります。

その辺、お含み置き頂ければと思いますm(_ _)m




建業のある一室には、雪蓮、冥琳、穏、そして明命がいた。


「二虎競食の計、か…」


明命が届けた書状に目を通した冥琳。


「人質を互いに預けさせて、折を見て情報を流して潰し合わせる……有用な策ではありますね~」


穏は大仰にふむふむと頷く。


「よりにもよって孫呉に二虎競食なんて……随分ナメた真似してくれるじゃない?」


雪蓮たちの母・孫文台の異名は『江東の虎』。

洒落にかけられたとも取れる策に、雪蓮の口角が不気味に上がる。

チリチリと爆ぜるような殺気が、雪蓮から滲み出る。


「しかしこの詩乃という娘、なかなかに聡い。こと戦略眼に関しては、朱里と比べても遜色ないのではないか?」


書簡には敵の策の概要と、今後起こりうる想定案が書かれていた。

彼女の見識の深さが、書状の端々から見て取れる。


「でもあれよねぇ~?この話は本当なの明命?あなたたちは時間を飛んで戻って?一刀の甥がいて?また違う時代の、違う国の人がいて?荒唐無稽もここまで並ぶと気持ち良いわね?」

「ほほ、本当なのです!」


戦闘状態の雪蓮に睨まれ、明命はしどろもどろになる。


「未来では皆さんお亡くなりになってて、私たちしか居なくて!光でピカーッと過去に戻って、それからそれから…」

「あ~、いいわいいわ。別に明命を責める訳じゃないのよ。ただ胡散臭いな~って?大体この巾着袋もナニよ。持ってれば離れた所にいる人と会話が出来るって?五胡の妖術でもないわよ、そんな話」


眉を顰めながらお守りの紐をつまむ雪蓮。

明命から連絡手段です、と言って渡されたものだ。


「これで聞こえるわけ?お~い、聞こえてますかー」

『はい、聞こえております』

「うわっ!」


突然どこからか聞こえてきた声に、雪蓮は思わずお守り袋をビターンと床に叩きつけてしまう。


「どうしたんですか、雪蓮さま~?」

「いや、本当に声が聞こえてきて…って、穏には聞こえなかったの?」


はい~?と首を横に倒す穏。

その袋を持っている人だけに聞こえるそうなのです、と明命が付け加える。


「ふ~ん……もしも~し、聞こえるかしら?」

『はい、聞こえております。直接声に出さずとも、念じて頂くだけでこちらに伝わります』

『…これでいいわけ?』


はい、大丈夫です。と紋切りの返答。


『まずは自己紹介かしら?我が名は孫策。字は伯符よ。ウチの妹がお世話になってるみたいね?』

『こちらこそ、孫権さまには大変良くして頂いております。申し遅れました。私は服部半蔵小波正成と申します。どうぞ、小波とお呼びください』

『珍しい名前ね。国が違うというのは確かなようね』


はい、と小波。


『この面妖な術は妖術じゃないの?狐にでも化かされてる気分なんだけど』

『これは、我が服部家に代々伝わる秘術…お家流にございます。自分の体の一部を持った相手と、氣を用いて念話をすることが出来ます』

『氣ねぇ~?身体の一部って事は、この袋の中にはあなたの爪だか髪だかでも入ってるわけ?』

『いえ、私の陰毛が入っております』

『……は?』

『陰毛です』




………………間




「ぶっ……あっはっはっは!!」


突然声をあげて笑い出した雪蓮に、周りに者は目を丸くする。


「こ、小波…あなた最高だわ!」

『は、はぁ……恐縮です』


何が最高なのかが分からず、キョトンとする小波。


「あ~…笑った!あっ、ごめんなさいね小波。とりあえず私からは伝えたい事は、こっちの人質ちゃんたちは元気にやってる、ってだけよ。今後の連絡は周公瑾が務めるわ。いま代わるわね。それじゃ、直接会えるのを楽しみにしているわ」

『は、はい…』

「じゃ冥琳、あとよろしくね~」


ポンと冥琳に袋を渡し、手を振りながら部屋から出て行く雪蓮。


「まったく……勝手な奴だ」


その背を見ながら溜息をつく冥琳だったが、顔は笑っていた。

雪蓮の顔は、小蓮が攫われて以降、最高の表情をしていたからだ。

小蓮の居所もハッキリした上に、鬱憤晴らしの目処も立った。

自分はそんな雪蓮が最高の働きが出来るよう、万事整えるだけ。

そんないつもの決意を心に秘めながら、冥琳は渡されたお守り袋を握り締めた。


『…これで、聞こえているのか?――――』






――――――

――――

――




「――――とのことでした」


蓮華たちの拠点には、春日山からの雛も含めて、全員が集まり、小波と明命からの報告を受けている。

大半が、冥琳から詩乃の書状に対する返答、書状にも改めてしたためられているが、だった。

明命からは直接会った雪蓮たちの様子、そして空たちの様子なども聞いてきたようだ。


「しかし、愛菜の方が泣いているとはなぁ~」


剣丞も意外そうに漏らした。


「どちらかと言えば、空さまはこの越後きっての義侠人(略)すぞ。どや!、とか言って張り切ってると思ったのに…」


泣いている光景よりは、騒がせて周りを困らせている絵の方が容易に想像できる。


「どうやら、雪蓮さまや冥琳さまに対しては、どやどんと五月蝿いようですが、穏さまの時だけ大泣きするようで…」

「……なんで?」


三人を知る剣丞だからこそ、首を捻る。


「穏よりも、策殿や冥琳の方がよっぽど強面であろうになぁ」


祭の言う通り、どう考えても、穏より雪蓮や冥琳の方が怖い。

穏でだけ、泣く理由が分からない。


「もしかして、剣丞さま。陸遜さまって、お…おっぱい、大きくないですか?」

「あ~……」


湖衣に言われて納得の剣丞。


「む、胸の大きさなら、三人ともそんなに変わりはないわよ、ね?」


蓮華の言うとおり、胸が大きいという点では、あの三人に大差はない。

だが、胸の性質という点では、雪蓮と冥琳はどちらかというと張りの方が強い。

その点、穏の胸は柔らかさの方が強い。

肌の色や、纏う雰囲気などを総合すると…


「秋子さんのことを思い出しちゃうってわけか…」


どんなに虚勢を張っていても、愛菜はまだ小さな女の子。

前回人質に捕られたときは、幽閉されていたとはいえ、場所は勝手知ったる我が家。

今回は見知らぬ場所で見知らぬ人々に囲まれているのだから、心細くないわけがない。

秋子と愛菜の再会の様子を思い出しながら、早く会わせてあげなきゃな、と剣丞が心で決意を新たにしたとき、はぁ~、と隣から詩乃の感嘆の息が漏れ聞こえた。


「どうしたの?」

「これを見て下さい剣丞さま!誠に悔しいことではありますが、私の考えなど遠く及ばない、この周公瑾殿の作戦案を!さすがは、かの諸葛孔明と並び称される呉の柱石、周公瑾殿……あぁ、早くお会いしたい……」


祈るように手を組み、普段は隠れている目をキラキラと輝かせながら虚空を見つめる詩乃。

まるで恋する乙女のようだ。

そんな詩乃の様子に、剣丞は少しだけ嫉妬を覚えながら、渡された書状に目を通すが…


…読めない。


達筆な上に、当然といえば当然だが、完全な漢文だった。

喋り言葉は通じるのにそこは翻訳されないのかと、首を捻りながら、湖衣に右から左へと書状を流した。

飛ばされたのが戦国日本で良かったと、心から感謝する剣丞であった。


「それじゃあ雛。この書状を持って、美空たちにもこのことを伝えてくれる?」


冥琳が気を利かせて、同じ内容の書状を蓮華たち用と美空たち用にと、二枚書いてくれたのだ。


「は~い。お任せだよー」


雛は書状を手に、闇夜へと姿を消した。




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