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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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終章 ~最悪の終端~

DTKです。

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、第5作目です。

今回からいよいよ本編突入です!

終章とありますが、別に終わるわけではありません^^;

これはいわゆる、バッドエンディング。

この最悪の状況を如何にして好転させるか。

その辺が今後の鍵となります。


なお、恋姫†無双三作・戦国†恋姫をクリアした人用に作っています。

少々ネタバレなどありますので、そこのところお含み置きください。


注釈:筮竹とは、易者が持ってる竹の棒の集まりみたいなやつです。

イメージが浮かばない方は、お手数ですが検索してみてくださいm(_ _)m




数ヶ月前から、大陸各地に起きた『異変』

地平線まで見える荒野に、突如として壁のような山が出来、連峰の中に湖が出来た。

それは別の外史で『消失』した土地が、何者かの力で外史の枠を越え、無理矢理に世界を繫げられたために起きた現象であった。


それらの異変と、ほぼ時を同じくして発生した、白装束の集団と異形のモノ、『鬼』による各地への侵攻。

三国・戦国の英傑たちはそれらを相手に奮戦したものの、戦力を分断された上に、理不尽なまでの数の暴力、そして卑劣な策謀を前に次々と倒れ、人間は驚異的な速度でその数を減らしていった。




残りし英傑は、馬岱・周泰・足利義秋・山本晴幸、そして今川氏真の五人のみ。

また槍働きが出来るものも、わずか百を数える程度となっていた。


それぞれ大切な人を奪われ、無念の思いを抱えながらも、虎視眈々と逆転の一手を狙っていた。

そんな折、白装束と鬼が大量に集まっている地点の情報を手にする。

そここそが、敵の本拠地なのではないか。




乾坤一擲。




残された人間の力を集結させ、元凶を討ち果たさんと、各々武器を手に取るのだった。

それが例え、死への道に繋がっていると分かっていても…











「部隊の出撃準備、整いました!」


最後の軍議に、呉の武将である明命が隊の点検を終え、加わる。

申し訳程度の篝火に囲まれた陣で、四人の武将が顔を突き合わせる。


「ではこれより『最後の軍議』を行います」


進行役は甲斐・武田家の武将、湖衣だ。


「皆さんご存知の通りでしょうが、改めて現状を確認します。我らは百名余り。対して敵は、私の((金神千里|こんじんせんり))で見たところ、雑兵だけでおよそ百万以上。中級以上の鬼、また士官級以上の白装束は一万前後と推定されます」

「「「…………」」」


分かってはいた事だが、圧倒的な数の差に誰もが閉口する。


「彼我の差は万倍以上。兵法に照らすまでもなく、勝ち目のない戦であると言えるでしょう」

「…………」

「それでも、やらなくちゃならない」

「そうなの。それが、今の鞠たちに出来る、精一杯のことなの」


蒲公英、鞠は、それぞれどこか虚空を見つめ、そう言い放つ。

普段は底抜けの明るさを持つ二人だが、今は見る影もなく、その瞳は深く昏く、奥には蒼白い炎を宿していた。


「その通りです。我々が生き長らえるためには、この乾坤一擲に賭けるしかありません。それでは作戦内容をご説明します」


紙も筆もないので、木の枝で図を描き、地面に石などを置き、部隊や地形を表す。


「この人数で隊を割くことは愚策。よって作戦は一点突破となります。蒲公英さんの騎馬隊による突撃で道を作り、その道を鞠さんの歩兵隊、私の弓兵隊が広げながら敵陣を押し通ります。明命さんは騎馬隊に同乗しつつ、立ち塞がる大物を一閃して頂きたいと思います」

「了解です!」

「そのまま敵陣を押し進み、敵中央にいると思われる敵首魁の首を…獲ります」

「「「…………」」」


こくり、と鬼気迫る表情で他の三人は頷く。

これで作戦、到底作戦と呼べるものではないが、は決まった。

後の懸念は…


「お茶が入りました」


有り物の器を四つ、お盆のようなものに乗せて双葉が現れた。


「ありがとうございます」


間近にいた湖衣から各々受け取り、器に口をつけていく。

温かいお茶を飲み、心なしか全員の表情も緩む。


「はぅ…美味しいです。双葉さん、これどうしたんですか?」


感嘆の息を漏らす明命。それほどに美味しいお茶だった。

こんな状況で茶葉など手に入るわけもないのだが…


「はい。その辺りに生えていた、お茶にすると美味しい葉を摘んできました」

「公方さまの御妹君でいらっしゃるのに、そのようなことまでご存知なのですね」


湖衣は目を丸くした。

まだ僅かしか共に過ごしていないが、そんなことまで知っているとは知らなかった。

そういえば今まで、何度もお茶を淹れてもらっていた気がする。


「……ひよさんやころさんから、教えてもらったことがありまして」

「あっ……」


木下ひよ子秀吉、蜂須賀転子正勝。共に剣丞隊の面子だ。

どうやら二人と交流があったようだ。

湖衣は横目で鞠を見やる。鞠も同じ剣丞隊で、仲も良かったはずだ。

が、別段気にした様子はないように、湖衣には見えた。

あるいは、常に気にしているのかもしれないが…

その鞠が、口を開いた。


「双葉ちゃんは……本当に残るの?」


そう。最後の懸念。

双葉は、この陣に残るというのだ。


「はい。私が行っても足手纏いでしょうし…」


確かに、玉砕ともいえる突撃をするのだ。

非戦闘員がいても邪魔なだけだろう。

だが、陣に残っても護衛を残すような余裕もない。

ここに一人残るのも、ほぼ自殺行為だ。


「それに、結菜さんから教わったのです。戦えない私のようなものの戦場は、皆さんが帰ってくる場所を護ることであると。

 そして皆さんがが帰ってこられたとき、疲れを癒して差し上げるのが仕事だと。

 ですから私は祝勝会の準備をしながら、みなさんの帰りをお待ちしていようと思います」


双葉は気丈にも微笑んだ。

姉や身近な人、そして想い人を失くしてもなお…

いや、逆にだからこそ、双葉は強くあろうとしているのかもしれない。

少しでも触れれば、壊れてしまいそうな強さを。

その意気を感じ、湖衣も、


「分かりました。では双葉さまには、腕を存分に振るって待っていて頂きましょう。帰ってくる楽しみが一つ、増えましたね」


努めて明るく振舞う。


「そうですね!双葉さんのお料理、楽しみなのです!」


明命も両手を揃えて微笑む。

そんな二人を見て、蒲公英も鞠も笑った。

無理矢理、と言えるほどぎこちない笑みだったが…






…………

……




「行ってらっしゃいませ」


双葉に見送られ陣を出、敵軍が見える小高い丘まで来た。

上から見るそれは、まさに雲霞の如し。

陣形も何もない。ただ密集し、何人も通さんと、ただ在るだけ。

あれほど密集していては一匹、一人満足に動けるはずはない、ただの肉の防壁。

害するものが来たら、戦うのではなく、数の力で圧殺するのが目的だ。

しかしその敵陣容を見ても、臆するものは一人もいない。

元より捨つるものなど、何もないのだ。


「では、行きましょう。皆さん、ご武運を」


軍師役の湖衣が号令をかける。


「かかれーー!!!」


まずは丘の上から強弓を斉射する。

当たらずとも混乱する敵陣に、十騎に満たない、蒲公英率いる騎馬隊が逆落としをかける。


「たあぁぁあぁぁっ!!!」


色めきたつ敵軍に吶喊しながら馬上槍を一閃。突破口を開く。

彼女の手には、翠の愛槍・銀閃が握られていた。


蒲公英の騎馬隊を包囲しようと彼女らの後方へ回りこもうとする部隊に、


「随波斎流!疾風烈風砕雷矢っ!!」


鞠がお家流を叩き込む。


「ってーー!!」


さらに後方から、湖衣率いる弓兵隊の斉射で混乱の極みに陥ったところを歩兵隊で少しずつ削っていく。


「明命さん!数間前方に中級の鬼です!」

「はいっ!!」


蒲公英の後ろに乗っていた明命が勢いよく飛び出す。

敵の頭や肩を器用に走りぬけ、目当ての指揮官と思しき鬼を捕捉する。


「お覚悟っ!!」


ただでさえ密集していて身動きが取れない上に、死角である鬼の頭上に飛び上がる。

さしもの鬼も手出しが出来ない。

身の丈ほどもある長刀を器用に振り抜き、鬼の首を獲った。

小隊の頭を潰し、右往左往する集団を騎馬隊が勢いを殺さずに蹴散らす。

あとはそれの繰り返し。


最初は無人の野を行くが如くの快進撃。

しかし、斬れども斬れども沸いてくる敵方に、徐々に騎馬隊の勢いは削がれる。

騎馬隊の突破力がなくなると、隊全体の行軍速度が落ちる。

敵陣を割りながら、後方を塞がれる前に前進するしかないこの策が、根底から崩れ始める。

そのうち、後方からも敵が群がり始め、隊全体が囲まれてしまった。


前後左右から襲い来る敵相手に奮戦するものの、それも限界がある。

やがて矢尽き、剣は折れ、一人また一人と倒れていき、ついに敵軍の大河の中、ただ四人だけが取り残されてしまった。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


蒲公英は肩を大きく揺らして息をする。

襲い来る敵をまた一匹突き殺したが、最早穂先を上げるのが精一杯。

鞠はお家流の撃ち過ぎで消耗しきっている。

明命と湖衣は、元々集団戦向きではないので、慣れない戦闘に疲労も困憊だ。


敵方は最後の四人の抵抗が頑強なため、今は遠巻きに囲むばかり。

たまに馬鹿が突っ込むが、他のものは消耗を待ち、時間を掛けゆっくりと包囲陣を狭めていく。

じりじりと狭まる包囲網。

しかし四人にこの状況を打開できるだけの力は残っておらず、ただそれを見ていることしか出来ない。


やがて十二分に袋の口が閉まる。

そして、四人を取り囲む十万弱の大軍が、一斉攻撃を仕掛けた。


もはやこれまで……

四人は身構ると、目を瞑った――――






……………………

…………

……









いつまで経っても、何の衝撃も来ない。

それどころか、喚声や怒号など、戦場の音も無くなっていた。

何事が起こったのかと、いち早く目を開いたのは鞠だった。


「な、なんなの……これ?」


鞠が漏らした声に、次々と目を開きだす。

四人の目の前に広がった光景は、百万の敵軍ではなく、完全なる『無』。

広いか狭いかも分からない……ただ白く、何もない。

そんな光景が広がっていた。


「鞠たち…死んじゃったのかな?」


鞠がぽつりと呟く。

確かに、死後の世界だと言われても納得のできる光景だ。



「いいえ。ここは外史の狭間です」



「「「「――――っ!?」」」」


どこから現れたのか。その人物は『居た』。


「私があなた方を、ここへとお連れ致しました」


突然現れた正体不明の人物に、四人は戦闘態勢をとる。

得物はどこかへ行ってしまったが、不思議と体力は戻っていた。

目の前の少女くらいなら、制圧するに難くない。


「お前は誰だっ!?」


蒲公英はいつもよりやや低めの声色を使う。


「申し遅れました。我が名は管輅。外史の管理者の一人です」


そういうと、神職のような格好をした少女は頭を下げた。


「管輅って…あの占い師の管輅ですか?」


明命はわずかに警戒を解く。

管輅と言えば、一度は耳にしたことがある占い師だ。

このように小さな、鞠より少し大きいくらい、少女だとは知らなかったが、彼女であれば神人や巫女のような装束も合点がいく。


「その占い師が、私たちに何の用ですか?」


湖衣はあくまで警戒を解かない。


「私たち管理者は、外史へ必要以上に介入してはならぬのが定め。しかしながら、この外史は(ことわり)を捻じ曲げられております。これはあまりにも不条理。故に定めによりし力を行使し、あなた方をお救いした次第です」

「お救いしたって、どういうこと?」

「あの歪められし外史では、あなた方はあの後、命を落とされます」

「そ、それは……」


それは確かに在った事実。

誰もが身体では理解していたが、頭では理解できなかった。

ただ一人を除いて。


「この人の言ってることは、本当なの」

「…鞠さん?」

「嘘をついている目じゃないの」


鞠の澄んだ双眸が管輅に向けられる。

正邪を見抜く鞠の目は、彼女を『正』と判断したようだ。


「管輅さん。鞠たちを助けてくれて、どうもありがとうございますなの」


管輅の前まで行くと、ぺこりとその小さな頭を下げる。


「でも…もう鞠たちだけ助かっても嬉しくないの。鞠たちは、大事な人の仇を取らなくちゃ行けないの…

 剣丞たちはそんなこと望んでないって分かってるけど、でも……許せないの!

 剣丞たちを殺した人を……剣丞を護りきれなかった、鞠自身を!

 だから死んでも……仇、取らなくちゃ、いけないの……

 鞠たちだけ助かっても……意味、ないの………」


ポロポロと、鞠の大きな瞳から、大粒の雫が零れ落ちる。

蒲公英に助けられて以降、常に気丈に、冷静に振舞ってきた鞠。

しかし、その小さな胸には、大きな怒りと悲しみが隠されていたのだった。

この面子の中では一番長く一緒に居た蒲公英は、そんな鞠を見て胸を痛める。

自分のことで一杯一杯だったとはいえ、彼女の苦しみを慮ってやれなかったことに変わりは無い。


「ごめんね、鞠ちゃん……ごめん、ね………」


膝をつき、鞠の首に顔を埋めるように抱きしめる。

自分の情けなさに、そして彼女と同じ傷に同調し、彼女もまた、涙するのであった。


そんな二人を見つめる明命と湖衣。

彼女らもまた、大切な仲間を失うという傷を胸に負い、無念の気持ちは同じだった。

ただ、軍師や細作の任務につくことが多い彼女らだからこそ、ある種の割り切りが二人より出来たというだけなのだ。

二人は目を合わせ、同時に頷くと、管輅に向き直った。


「すいません管輅さん。助けて頂いて申し訳ないのですが…」

「私たちを元の場所に戻してください。それが散っていった同胞への、私たちが貫く誇りなんです」


力強い瞳。

勝ち目など無い。待っているのが例え死であろうと、為すべきことを為す。

そんな決意を秘めた瞳。

そんな二人に引っ張られるように、鞠と蒲公英も泣き止み、決意のこもった瞳を管輅に向ける。


「……………………」


八つの瞳を、管輅は全て受け止める。


「皆さまの決意の程、確かにお見受けしました。なれば時を渡り、お仲間をお救い下さいませ」

「「「「………………?」」」」


目の前の少女は四人の理解できないことを口にした。

強き決意で押していたため、肩透かしで面を食らった感じとなる。

そんな中、復帰が早かったのは湖衣だった。


「…時を渡り仲間を救う、とはどういう意味、でしょうか?」


当然の疑問だった。


「私は直接的に外史に介入することは出来ません。しかし必要に応じて管理者としての力を行使することが出来ます。

 それは、外より人を招き任意の場所に送り届けること。そして、人の記憶を((便|よすが))に時を戻ること。この二つです」

「何を言っているのか、さっぱり分かりません…」


明命は眉根を寄せ、困ったような表情をする。


「論より証拠。なれば、皆さまの過去へと外史を渡りましょう」


と、管輅は手にしていた筮竹を扇状に開きながら掲げる。

すると、四人の頭から白い光が発せられる。


「な、なにこれっ?」


その光は徐々に大きくなり、


「吸い込まれる!?」


世界を真白に染めると、筮竹へと収束した。






……………………

…………

……






強い光に眩んだ目が、少しずつ慣れてくる。

ゆっくりと薄目を開ける四人。見えてきたのは……


「…陣地?」


一刻ほど前まで居た、陣地だった。


「あら?……みなさん?」


後ろから声をかけられる。


「今、あちらで軍議を……え、あれ?どうして……」


四人が振り返ると、小首をかしげ、不思議そうにこちらを見ている双葉が居た。


「…双葉、さま?」


双葉の手にはお盆があった。


「あのね双葉ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるの」


トテトテと双葉に歩み寄る鞠。


「はい。何ですか?」

「鞠たち、出陣した?」

「? いえ、先ほどまで軍議をしておられましたよ…ね?」


四人が何とも言えない表情をしているのを見て、何か変なことを言いましたか?と慌てる双葉。


「ううん、大丈夫っ!ありがとうなの、双葉ちゃん!!」


はぁ、どういたしまして、と未だ状況が掴めていない双葉を尻目に、鞠が久々に満面の笑みを咲き誇らせる。


「戻ってきたのっ!」

「…ちょっと、タンポポはまだ信じられないけど」

「しかし、確かに出陣前の陣です」

「でもでも、私たちが全員同じ夢を見て……」

「信じて頂けたでしょうか?」

「ひっ!!」


気配も無く、明命の後ろから現れる管輅。

子猫のように飛び上がった明命は、素早く蒲公英の背中に隠れ、いきなり現れないでください!と抗議する。


「こちらの方は?」


明命の抗議を流し、管輅初見の双葉が尋ねる。


「我が名は管輅。外史の管理者をしております」

「は、はぁ…管理者の管輅さん、ですか」


一通り自己紹介を終えた後、先ほど四人にしたような説明を始める管輅。

案の定、ほとんど内容が掴めなかった双葉。

二回目の四人も、いまいち理解できなかったので仕方がないが…


「今回は、四人が共有している一番近い記憶を便に致しました」

「よすが、ですか…」


双葉も良く分からないようだ。


「この外史の歪みを正すため、時を渡り、お仲間を救い、歪みを引き起こした元凶を叩いて頂きたいのです」


時を渡った、と思われる経験者も、そうでない者も、未だに話半分。眉に唾して聞いている。

危険な匂いはしないものの、まだ五胡の妖術や罠の可能性も捨てきれない。

しかし、この娘だけは違っていた。


「剣丞!鞠、剣丞を助けたいのっ!!」


鞠が管輅の服に縋る。


「鞠の過去に戻って!今度こそ剣丞を助けたいの!!お願いなのっ!!」

「畏まりました」


鞠の懇願を、一も二も無く受ける管輅。


「それでは、時を渡られる方は……」


鞠以外の四人を見渡す。


「お願いみんな!剣丞を助けるの手伝ってほしいの!鞠一人だけじゃ助けられなかったけど、みんながいればきっと助けられるの!!」


鞠が全身を使い、与力を訴える。

一同、顔を見合わせる。


「分かったよ、鞠ちゃん。鞠ちゃんの大切な人を助けよう!」

「まだちょっと信じられませんけど……鞠さん、頑張りましょう!」

「私は、双葉さまをお一人残すのは不安ですので、ここに残ります」

「何だかよく分かりませんけど、頑張ってくださいね」

「うん!みんな!ありがとうなのっ!!」


協力してくれることに、満面の笑みを返す鞠。


「では今川氏真さん、馬岱さん、周泰さんのお三方でよろしいですね?」

「鞠でいいの!」

「畏まりました。では鞠さん。あなたの戻りたい過去を、強く、頭に思い浮かべてください」

「ん…」


鞠は目を瞑る。

二度と思い出したくない記憶。

その中にいる、取り戻したい人。

強く、強く思い浮かべる。


と、鞠の頭から小さな白い光が発せられる。

それを管輅は筮竹を近付け、ぱっと広げる。

すると光は強く、大きく広がり、鞠、蒲公英、明命を包み込み……


「……消えた」


双葉は呆然とする。

光が収束した後には、管輅も含め、四人の姿はどこにも無かった。




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