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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
21/107

一章・肆ノ壱 ~新たな拠点~

DTKです。

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、21本目。

今回から新編です。


辛くも一葉たちを助け出した剣丞。

しかし、新たな問題も浮上。

解決の一手は?




「はぁ……では、こちらの方々は…」

「三国志の英傑、というわけですか」


陣に戻ってきた剣丞たち。

救出した雫と幽に事情を説明していた。

ちなみに一葉は、双葉が別場所で付きっ切りの看病をしている。


今まで救出した戦国時代の人間は悉く知識人のため、ここが三国志の時代の中国と言うことと本名の方を言うだけで、なんとなく理解してくれるので、説明はかなり楽だったりする。


「で、では…かの諸葛孔明や呂奉先などとお知り合いなのですか?」


雫は興味津々といった風に聞いてくる。


「あぁ、朱里と恋なら、あたしたち蜀の仲間だぜ」


やっぱ、あの二人は有名なのかー、と翠が感心したように溜息をつく。

一方、諸葛孔明と呂奉先が蜀で仲間?と不可思議な表情の雫。


「ちなみに、この雫ともう一人、詩乃っていう子がいるんだけど、その二人が戦国の伏龍鳳雛って言われてるんだよ」

「へぇ~。じゃあ雫も、あわわーとか言ったり、慌てると舌噛んじゃったりするわけ?」


蒲公英がニヤニヤしながら尋ねる。


「あ、あわわ?というのは良く分かりませんが、緊張すると舌が回らないことはありますね…」


あはは、と苦笑い。

あわわ、も言ってたことあるけどね。


「さて、今後の方針だけど…」


剣丞が話の主題を切り替える。


「まず、一葉の容態だけど……」

「すぐにどうこうと言う話ではないでしょうが、なるべく早めに、もっとちゃんとした所で休ませた方が良いでしょうな」


ここは元々、玉砕の突撃をかけるためのかなり簡素な作りの陣なので、野営用の天幕すらない状況だ。

そもそも、最悪の過去の時分、充分な物資などなかったのだ。


「なるほど、一葉の状況はとりあえず分かった。後は……」

「姫路衆、ですね」


今まで救出したのは、一度に武将など一人二人だった。

だが今回は、一葉たちと共に姫路衆約百人も救出できた。

しかし、そのせいで陣が完全に手狭になってしまったのだ。


「一葉を休ませることが出来て、兵を入れられる拠点が必要だな」


いま行ける場所の中で、となると…

関中以西は今のところ行く事が出来ない。

駿河は、何が起こったのか不透明。

京も、三好・松永を退けたが、半永久的に鬼が沸く立地になってしまっているらしい。

後は……


「洛陽、だね」


蒲公英が呟く。

洛陽は、蒲公英が斥候中に鞠を救出し、駿河を探索している間に、何者かの襲撃を受け陥落していた。

何が起こったか分からない点で言えば、駿河と変わりはないのだが…


「洛陽なら、ちゃんとウチらがおれば、ちっとやそっとじゃ陥ちんと思うで?」


過去では、霞は函谷関で討死。入れ替わりで入った蒲公英が留守、という将が不在の状況で敵の襲撃を受けたと思われる。

ちゃんとした将がいれば陥ちる洛陽ではない、と霞が太鼓判を押す。


「それに洛陽なら、百人二百人増えたところで問題はないだろうしな」

「一葉さんを休ませることも出来ると思います」


洛陽の陣容を知る者が、口々に洛陽行きに賛成の意見を述べる。


「分かった。それじゃ洛陽に行こう。蒲公英姉ちゃん」

「うん!管輅、タンポポが洛陽を出発する前に戻ることって出来る?」

「はい。可能です」

「よしっ!それじゃあ次は洛陽に押しかけて、洛陽を救出だ!」

「「「応っ!!!」」」






――――――

――――

――






「あら?」


洛陽城内。

廊下を歩いていた詠は不思議なものを発見し、思わず立ち止まった。


「タンポポ、あんた斥候に出たんじゃ……」


廊下の角には、先ほど斥候に出たはずの後姿。

近付きながら声をかける詠。


「あ、詠っ!」

「詠、じゃないわよ。いったい何をして…」


蒲公英に近付くにつれ、見えなかった廊下の角のその奥に、詠は更に信じられないものを目にした。


「いぇ……し、霞に…すす、翠っ!!?あ、あんたたち、どどど、どうしてっ!?」


蒲公英から亡くなったと報せを受けていた、その二人が並んでそこにいたのだ。


「おうっ!賈駆っち」

「よっ!元気してたか?」

「い、え、あ……ほ、本物なの…?」


下を見る。脚はある。

上を見る。顔、姿形。確かに見知った二人だ。


「そっか……無事だったのね」


蒲公英の報告では、二人の死を直接確認したわけではないと言っていた。

二人の得物を回収したが、周りには誰もいなかった、と。

どうやったかは分からないが、窮地を脱していたのだろう。


「本当、良かったわ……って、あら?」

「こんにちは、詠さん」


何故か、都に詰めてるはずの明命もいた。それに…


「お邪魔しています」


…………


「誰?」






――――――

――――

――






剣丞一行は洛陽の玉座の間に通されていた。


「一葉さんと双葉さんをお部屋に案内して来ました」


入り口から可愛らしい声がする。

声の主は剣丞たちに軽く会釈をすると、そのまま剣丞たちを通り過ぎ、間の一番奥、玉座に腰をかけた。

玉座の大きさに合わず、声の通り小さく愛らしいその姿の持ち主は、かつて一軍を率いていた董卓。真名を月という少女だ。


月姉ちゃんも変わらないなぁ~


剣丞は心の中でそう思った。

月は未来では北郷邸のメイド長のような存在で、広い屋敷のことを詠と二人でほとんど賄っていた。

いつも笑顔で優しく、剣丞にとっては、例え身体は小さくとも、母親代わりのような人だった。

剣丞の記憶と唯一違うところと言えば、メイド服ではなく、深窓のお姫様のような、それでいて威厳を感じさせる服装をしている点だ。


本名が董卓なんだから、当然っちゃ当然なのかもしれないけどな。


と無理矢理納得した。


「えっと、董卓さん。突然押しかけた上に、病人を休ませてくれなんていうお願いを聞いてくれて、ありがとうございます」


深々と頭を下げる剣丞。


「いいえ。霞さんたちの紹介ですし、困っている人を放ってなんて置けませんから」


にっこりと聖母のように微笑む月。

それに、と続ける。


「あなたが、どことなくご主人様に似ていらっしゃいましたし……」


ポッと頬を赤く染める月。

顔を見合わせる剣丞たち。

自ら名乗らずに一刀と似ていると言われたのは、これが初めてだった。


「話が早くて助かるわ。この、剣丞っちゅーんは、一刀の甥っ子やねん」

「ご主人様「一刀の甥っ子!!?」」


月と詠が同時に驚く。


「そう言われてみれば、確かにどことなく似ているような……月、よく気付いたわね?」


眼鏡を直し、剣丞をねめつけながら感心する詠。


「どことなく雰囲気っていうか、纏っている空気が似ていたというか…そんな感じかな?」


月、恐るべし。

そんな空気が三国勢に漂った。


「それじゃあ、俺たちがここに来た理由を説明させて下さい」




…………………

……………

………




「はあぁ~……」

「…ちょっと、にわかには信じられないわね」


一通り事情を説明すると、月は丸い、詠は訝しげな目をした。


「えっと…整理すると、未来は翠たちが戦った化け物と、おかしな白装束の集団に世界が支配されちゃってて、

 あんたたちはその未来を変えるために、時間を戻って色んな人たちを助けて回っている、と」

「剣丞さんはご主人様の妹さんのお子さんで、同じ天の国から来ていて、しかもそこではご主人様と私たちが暮らしていて………。……?」


月姉ちゃんは言いながら分からなくなったらしい。

後でもう一度説明しておこう。


「で、この後、タンポポが斥候に出ている間に洛陽が陥ちるからそれを助けに来たと、とういうわけね?」

「そうです」

「う~ん……」


詠は眉間を押さえた。

剣丞という、一刀の甥を名乗る輩はともかく、自分が良く見知った翠たちが嘘をつくはずがない。

しかし話は荒唐無稽。

だがこうして、死んだと思われた翠と霞がここにいる。

どう判断すべきか……


「…詠ちゃん」


頭を悩ませる詠に、月が優しく声をかける。


「信じよう。みんながこんな大変なこと嘘をつくはずないって、詠ちゃんも分かっているはずだよ?」

「月……」


まず、人を信じようとする月と、そんな月を守るため、まず、疑ってかかる詠。

乱世を乗り切るために自然と出来た役割分担。

だが、今この場においては月の方が正しそうだ。


「はぁ…分かったわ。とりあえず、あなたたちの言葉を信じましょう」

「ありがとうございます!」

「べ、別にあんたのことを信用したわけじゃないんだからね!霞や翠が嘘を言うわけないし、月が信じるって言うからあたしもその月を信じるってだけなんだから!」


真っ赤になり抗弁する詠を、ニヤニヤしながら眺める霞と蒲公英。

そしてニコニコしている月が口を開く。


「それで、私たちはこの後、どうしたらよいのでしょうか?」

「そうですね…まず、俺たちの仲間があと数人と、兵約百がいるので、それを呼び寄せてもいいですか?」

「はい、大丈夫です」

「それと、タンポポ姉ちゃん。このあとって……」

「うん。タンポポが洛陽を出て、鞠ちゃんを助けて、スルガだっけ?そこに行って帰ってきたら陥ちてたから……少なくとも、このあと数日のうちには敵が攻めて来るんだと思う」

「分かったわ。とりあえず、それに備えればいいのね。もちろん、アンタたちにも手伝ってもらうわよ?

 後は、そうね……念のため、許昌に詰めてる春蘭に援軍を頼んでおきましょう」


こうして大まかな方針が決まった。




拠点を洛陽に移した剣丞たち。

その洛陽を守るため、まだ見ぬ敵に備える。

果たして迫るは鬼か白装束か。

敵の足音はまだ、聞こえなかった。




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