12話
俺は1階の様子を満足げに眺めていた。
[UC]スケルトンたちが扉を固め[UC]ムカデや[UC]スパイダーが天井や壁に張り付いて防衛網を構築している。
コボルトの一部は1階で[簡易トラップ]を設置しようと床を掘削中だ。
「ぷるるん!」
そこへ外から[C]スライム軍団の一匹が帰還し、例の「DP納品石」に「べちゃっ」と資源を吐き出す。
[DP: 145] → [DP: 160]
(よしよし、順調にDPが積み上がっていくな)
スライムたちが順調に作業しているその時だった。
「キャン! キャン!」
ゴブリンが開閉管理している扉から、スライムとは違う犬のような鳴き声が聞こえた。
1階にいたコボルトとは別の外に出していた採掘部隊のコボルトが帰還したようだ。
彼はスライムと違い背中に粗末な袋を背負っている。そして納品石の前に来ると、袋から何か……キラキラと鈍く光る「鉱石」的なものを取り出し、無造作に納品石に投げつけた!
カラン!
(お?)
直後、俺の脳裏のDPカウンターが見たことのない勢いで跳ね上がった!
[DP: 160] → [DP: 280]
(は!? いま、120も増えたぞ!?)
コボルトは「やったぜ!」と言わんばかりに「キャン!」と一鳴きすると、すぐにまた袋を背負い外へ……次の採掘に飛び出していった。
(そうか!)
俺は[UC]コボルトのステータス([採掘 (Lv.1)])を思い出す。
(あいつら、スライムが拾ってくる低級資源とは別にちゃんと鉱石を掘り当ててきやがる!)
スライムのDP効率が「+15」程度だとしたら、コボルトのDP効率は「+120」……!
(コボルトは罠の設置だけじゃなくて、スライム的なDP収集の役割も担うらしい。かなり役に立つな……!)
俺は天井で待機させているだけの[UC]大ムカデや、偵察に出した[UC]ラットたちを思う。
(恐らくは俺が把握できていないだけで、大体の魔物は役に立つのかもしれない)
[UC]ラットもただ偵察するだけじゃなく何かを拾ってくるかもしれない。
[UC]ムカデだってただの奇襲要員じゃなく[強酸液]で何かをできるかもしれない。
(みんなの特性を見つけなきゃな)
この拠点を運営していくには俺が主として、こいつらの能力を最大限に引き出してやる必要がある。
石のくせに中間管理職みたいな悩みが増えてきたぞ。
その後コボルト採掘部隊の残りが帰還しDPがさらに増加した!
[DP: 640] (コボルト4匹分の鉱石納品 + スライムたちの納品 合計)
♢ ♢ ♢
[現在の拠点状況]
拠点名: (未設定)
階層: 2階建て(1階:迎撃フロア / 2階:コアの部屋)
DP: 640
訪問者: 1名(少女、2階で安堵)
召喚中: 全38匹(各部隊に再編され、1階と2階に配置完了)
その他: 1階に「DP納品石」設置済み。[UC]コボルトが高効率DP源と判明。
♢ ♢ ♢
「ガルル……」
1階の扉が警備の[C]ゴブリンによって開かれる。
スライム軍団や[UC]コボルト採掘隊の帰還とは違う低い唸り声。
帰ってきたのは今朝「狩猟部隊」として送り出した[UC]ファングウルフ二匹だ!
彼らは[UC]ゴブリン・ファイターが2階にいるのを匂いで確認すると、1階の警備ゴブリンに「フン」と鼻を鳴らし、堂々と中へ入ってきた。
その口には狩ってきたであろう小動物……ウサギのような獣が何匹かくわえられている!
(おぉ! 初獲物だ!)
俺が興奮して見守る中、ウルフたちは1階の隅にある「DP納品石」の前まで進む。
そしてコボルトが鉱石を投げ入れたのと同じように、血の滴る獲物を納品石に向かって放り投げた!
獲物は納品石に触れた瞬間、光の粒子となって吸い込まれていく。
よし、DPゲットだ!
[DP: 640] → [DP: 660]
……ん?
(あれ? 2匹分で、たったの 20DP?)
[C]スライムの苔(+15DP)よりはマシだが、[UC]コボルトの鉱石(+120DP)と比べると雀の涙だ。
……効率が悪すぎる。これじゃ[UC]ランクの食費に見合わないじゃないか。 俺が内心でがっかりしかけた、その時だった。
獲物が吸収された直後、脳裏に新しいウィンドウがポップアップした!
♢ ♢ ♢
[原材料:森ウサギの肉] がストックされました。 [原材料:森ウサギの毛皮] がストックされました。
【生成リスト:基礎食料】および【生成リスト:生活雑貨】が更新されます。
♢ ♢ ♢
(は!? ストック?)
俺は慌てて、【生成リスト:基礎食料】タブを開いた。
リストの一番上に、さっきまで無かった項目が、眩しく輝いている!
♢ ♢ ♢
【生成リスト:基礎食料】
[素材消費] 焼き肉 …… 1 DP
(必要素材:[森ウサギの肉])
[素材消費] ウサギのシチュー …… 3 DP
(必要素材:[森ウサギの肉])
温かいシチュー(一皿) …… 30 DP
チーズと干し肉のセット …… 50 DP
♢ ♢ ♢
(1DP!? シチューが 3DP!?)
通常ならDPだけでシチューを生成すると 30DP。
だがウルフが狩ってきた肉)をストックとして使うことで、DPコストがかなり安くなってる……!
(そうか……! 素材があるから低コストで作れるんだ!」)
俺は【生活雑貨】リストも確認する。
♢ ♢ ♢
【生成リスト:生活雑貨】
[素材消費] ウサギの毛皮(なめし加工) …… 2 DP
(必要素材:[森ウサギの毛皮] x1)
粗末な毛布(一枚) …… 15 DP
清潔な寝袋(一つ) …… 100 DP
♢ ♢ ♢
(こっちもだ! 毛皮まで素材になってる!)
これなら「粗末な毛布(15DP)」を買うより、ウサギを狩ってきて「なめし毛皮(2DP)」を作ったほうが遥かに安い!
(よし……!これで魔物の餌や少女のご飯をコスパよく作れるぞ!)
スライムとコボルトがDPを稼ぎ、ファングウルフが素材を稼ぐ。完璧な分業体制が確立した……!
(しかし肉が素材扱いになるなら、鉱石は素材扱いにならないのかな?)
スライムが持ってくる苔や泥がDP直換算なのは分かる。だがコボルトが持ってきた鉱石は肉と同じように素材になっても良さそうなものだ。
……それとも、今の俺の拠点では鉱石を素材として加工する機能……例えば鍛冶場のような設備がアンロックされていないから素材として認識されず、単純にDPするしか処理方法がないとか?
(もしかして武器や道具、防具はガチャでしか手に入らないのかもな……)
[C]コモン装備ガチャでナイフや盾が出たように、強力な装備品は今のところガチャでしか手に入らないのかもしれない。
(まぁいい)
俺は思考を切り替える。 ひとまず食費の問題はファングウルフたちの狩猟によって劇的に改善される道筋が見えた。
スライム軍団とコボルト採掘隊がDPを稼ぎ、ファングウルフ狩猟隊が食料を稼ぐ。 このサイクルさえ回れば俺の拠点は安泰だ。
DPもまだ660残っている。
だけどもっと増やして……安全を確保しなきゃな。




