第557話トッピング
「そういえば、よく考えたら、肉と芋の比率が丁度いい感じじゃないと、上手く相殺しきれないよね?」
ウィリィンはエトゥに肝心なことを確認する。
確かにカロリーがプラスの食べ物とマイナスの食べ物を合わせることで相殺されるという話は合っているのだろうが、その値がゼロ付近にするためには2つの量が適正の値になって無いといけない。
どちらが多過ぎても膨れ上がるか、シナシナになるかどちらかになる。
「ん、そこはしっかり調整したから大丈夫...多分。
あったとしても芋の方が強い」
「多分!?」
ウィリィンから目を逸らすエトゥにどうしようか考える。
ミラナが話しに入ってこないということは再起不能なことにはならないだろう。
それにエトゥが言う通り、芋の方が強い分には、食べてもカロリーが失われるので、他の子から分けてもらったり、こちらからこのカレー自体を提供すれば大丈夫だろう。
まあ、失われ方が尋常でない場合はその前に死んでしまうので、これらの作戦も使えないだろうが。
「まあ、味見してみれば分かる。
それに足りなかったら食堂でも食べればいい。
どちらにせよ私はウィリィンの血を飲むつもり」
「まあ、そうだね。
じゃあ、少しだけ...。
っ!?!?!?」
ウィリィンはカレーを少し味見してみる。
すると様々なカレーのスパイスと共に入っている具材の旨味が舌を突き抜けていく。
もう一口と食べたい気持ちをグッと堪えて、身体の変化に集中すると、
「お腹が更に空いた感じがする...」
少量だけ食べて、食欲が刺激されたのとは別に、体内のエネルギーが奪われて、更に空腹になったのが感じられる。
「ん、それぐらいなら大丈夫だと思う。
ほぼ溶け込んでるけど、肉と芋を食べるときは注意して」
「う、うん。
分かった」
味の余韻に浸っていたウィリィンは慌ててエトゥに返答する。
これぐらいの失われ方であればほぼ相殺されているので問題無いだろう。
そして、エトゥが何やら油を使って準備を開始している。
「えっと何するつもり?」
「トッピングを作る。
カツカレー。
あと、卵が余るから卵焼きも乗せる。
いや、揚げ物いっぱい作る」
エトゥはいつの間にか確保していた別の肉と、卵をウィリィンに見せつける。
そして、そのタイミングで他にも色々作れることに思い立ったのか、倉庫の方へと具材を取りに行ってしまった。
「どんだけ食べるつもり...。
いや、多分、このカレー食べるとお腹が逆に空くから丁度いいのか?
いや、それでも...って、どれだけ持ってきてるの!?」
エトゥの手には魚介に肉、そして野菜と溢れんばかりに抱えられていた。
「ん、いっぱい。
フライヤーと食材が用意されてるのが悪い。
美味しそうなのは片っ端から揚げて食べるっ。
ウィリィンも下処理手伝ってっ」
まあ、確かに業務用の纏めて揚げることができるフライヤーがあるにはあるが、ここまで大量に揚げることは想定してないだろう。
そもそも、最初に見せた肉だけでも2人で分けてもカレーライスに乗せきれないぐらいの多さであった。
それと同じぐらいのボリュームの食材を多数持ってきたとなると、食べ切れるか怪しい。
「まあ、エトゥが食べ切れるならいいよ」
「ん、問題無い」
最悪、食べきれないと言われたとしても子供達に配るという手がある。
幸いに他の子達はトッピングにまで手が回っている所は少なく、渡せば十分に喜ばれるはずである。
それにウィリィンとしても、そろそろ時間が気になってくるところだ。
エトゥに言われた通り、逆にお腹が空くようであれば、食堂に寄ろうと思っていたのだが。
恐らく食べ始めることができるのは授業が終わったぐらいのタイミングだ。
今日は生徒会の警備の予定が入っている。
カレーが食べ終わった後に空腹だった場合、別途食堂で食べる余裕は無いと思われる。
まあ、1食分無しと同じようになったとしても、問題は無いのだが、しっかりと栄養が取れることに越したことは無い。
様々な食材で作ったカツは足しになるだろう。
「んじゃ、一気に準備してくよっ」
「ん、揚げるのは任せてっ。
あとカレーの火加減と、米の様子も見とく」
ウィリィンは複数の食材を空中に浮かせて、皮を剥いたり、食べれない部分を切り落とし、揚げるのに丁度いいサイズへとカットしてエトゥへ渡していく。
エトゥはそれを受け取ると、さっと小麦粉、溶き卵、パン粉の順に潜らせて、高温に熱した油の中へと投入していく。
ウィリィン達は上手く連携してこの作業を繰り返し、揚げ物を量産していく。
そして、大半が揚げ終わったタイミングで、米も炊きあがった。
「ん、ライスも出来た。
盛り付けて、カレーをかける。
あとは揚げ物を好きなの取って乗っける」
「了解」
ウィリィン達は好きなように皿の上へとライス、カレー、揚げ物を上に乗っけていく。
それと並行して、揚げ物が終了し、避けてあった卵液はエトゥによってフライパンで熱せられ、フワトロの卵焼きへと変化し、皿の上へと乗せられた。
そろそろ実食の時間だ。




