第553話監獄について
「まあ、監獄もそれなりに凄まじそうだけど・・・」
罪を犯した人が入る収容所はそれ自体が一つの街を形成している。
まあ、人口が多い分それ相応の設備が必要となるのと、凶悪犯罪を犯した場合でも死刑が存在しない為、寿命いっぱいまでは確実に生きるので、それに耐えうる施設が必要となってくるわけだ。
基本的に一般人は立ち入りが許可されていないが、監獄関係者及び、領主から許可をもらっている企業は立ち入りを許可されているようだ。
囚人たちはそこで労役をこなしている者が多いようであるが、罪の大きさ次第では行動そのものが封じられ、無気力であったり、不快な状態を強いる罰を与えて、悔い改めさせているようだ。
企業は基本的に自身に損害を与えてくる相手に対して自警団という形で戦力を保有することが許可されている。
そして、正式な手続きに基づき、重篤な損害を与えたとする相手に対して、制圧、差し押さえ、身柄の拘束をする権利があり、拘束された身柄はこの収容所へと送られる。
企業ごとに収容所内の牢屋を所有しており、拘束させた人を企業が定めた労役に課すことができるのだ。
まあ、労役の内容に関しても当然領主の許可が必要であるわけだし、罪の内容に応じて、別途共通の更生プログラムも受ける必要がある。
この更生プログラムが人に対する負の感情などをうまく払拭できるように組まれているようで、再犯率を下げている。
まあ、ゼロではない以上は物事に絶対は存在しないが。
「まあ、犯罪を犯すことはまずないというか、するつもりは一切ないから償うために入ることはまずないだろうけど、運営側として携わることはありそう・・・、ん?
社会科見学施設としても使われる?」
ウィリィンは文章を読み進めていくとそのような文章を確認した。
具体的なタイミングは分からないが、学生の間に行くことになりそうだ。
「ま、まあ、どういった場所か知るためにいくだけだから、トラウマになるようなことは基本的に起こらないだろうから、大丈夫でしょ・・・。
大丈夫だよね?」
意味合いとしては犯罪に対しての抑止力として、罪を犯すとこのような罰を受けるという反面教師的な役割を促すことになるのだろうが、この際の線引きというか教育として教える度合いがどれぐらいか怖い。
「いやー、囚人体験とか言って、実際に一日その人たちに混じって体験させるとかやらせかねないよなぁ・・・」
学園の感じからして、それぐらいはやらせてもおかしくはなさそうである。
「まあ、その時になったら考えよう・・・」
ウィリィンは考えても想像の域を出ないので、意識を元の社会の内容に戻す。
あとは様々な行事について掲載されており、ウィリィンが参加した城落としや、収穫祭もここに記載がされている。
「私が参加していないだけで、領主主催のイベントは色々あるみたいだな。
今後携わったりすることになるのかな」
と、このタイミングで授業終了の合図が鳴り響き、教室へと戻された。
「結構、自分のいる土地について知るいい機会だった」
授業の最初の方でも痛感したことであるが、ウィリィンは領主の娘でありながら、私有地より外の事に関してはほとんど知らなかった。
今回の授業はそれらの知識を補完する良いタイミングであったし、色々行事や施設についても学ぶことができたので、今後のイベントに対して予想が立てやすくなったのは大きい。
また、周りの子達の様子であるが、
「家の近くにこんなところあったー」
「いってみたーい」
「遊園地―」
「コロシアムもあるよー」
自身が学んだ場所について情報の共有会をしているようだ。
エトゥが暴食の領地出身で、ネオモが強欲の領地で過ごしていることから分かる通り、学園には全領地からの学生が通っており、クラス内で混在している。
そのため、色々な地域の人達がここに集結しているわけで、皆基本的に澄んでいる場所がバラバラで、話が被らず、盛り上がっているようだ。
そんな情報を小耳にはさみつつも次の授業へと備える。
「この調子で他の領地についても学んでいかなくちゃな」
そんなことを考えていると、授業開始の合図が鳴り響き、本日最後の授業、共通の授業が始まる。
「皆さん、お疲れさまでした。
今日も色々学ぶことができたみたいですね。
それで、本日の共通の授業ですが、皆さんで今日のお昼ご飯を作ってもらおうと思います。
詳しい説明は現地でしますので、ひとまず、移動しますよー」
ミラナがそう宣言すると、足元に魔法陣が出現し、景色が切り替わった。
着いた場所は調理室であり、冷蔵庫や各種調理器具など、なんでも揃っている様子である。
「はい、まずは身だしなみを整えましょう。
少し、じっとしていてくださいねー」
ミラナはクラス全員に対して魔法を行使し、汚れを取り除く。
特に2限では激しく戦闘を行っているので、汗やら色々付着している。
「はい、そうしたら、エプロンをつけてくださいね」
1人1人の目の前にエプロンが飛んでくる。
ウィリィンはそれを手に取って、身に付けていく。




