第524話実験は正確に
ウィリィンは確認を取ってから指輪を付けた状態で火を放ってみる。
すると、炎が吸収されて、プレートに100の数値が表示された。
恐らくこれが基準となる値なのだろう。
その後2回ほど同様に炎を出して当ててみるが、結果は一切変わらず100であった。
「ありがとうございました」
結果を十全に確認することのできたウィリィンは感謝を述べて、部員に話を再開してもらえるように促す。
「では、話を続けさせていただきます。
今回は酸素の割合をそれぞれこの割合で行った際の熱量について計測を行います。
こちらの酸素の作成に関しても同じように魔道具を利用して行います」
ウィリィンは実験の一覧表について渡される。
そこには実験を行う酸素の量とともに魔道具の設定値に関して記載が行われている。
酸素の供給に使用する魔道具の方には放出できる魔力量を変化させる役割が付いているようだ。
また、炎の方にも同様の機能が付いている。
「ウィリィンちゃん、この指輪にもついているわ。
魔法ごとに放出量を制限する機能はないけれどね」
「は、はい」
ウィリィンはつけている魔道具に関して補足され、確かめると確かにダイヤルを確認できた。
「ちなみに、こういった一定量の魔力で魔法を放つことができる魔道具を使用する際は事前に壊れていたり、誤差が発生していないか検査が必要です。
それはもう既に実施済みなので、割愛させていただきます。
あと、この熱量を計測してくれる魔道具も同様です」
ウィリィンはコクコクと頷きながら引き続き話を聞く。
確かに基準となるものが壊れていては元々の値の整合性が取れなくなってしまうため当然と言えば当然で、物はいつか壊れる為、使うたびにメンテナンスが必要なのだろう。
「あと、環境についても調整を行っています。
外気がしっかりと入ってきて、空気中に含まれる酸素の割合は外などと条件が合うようにしていますが、無風の状態としています。
そして、手順も魔法の生成、混ぜ合わせ、計測と、決められた時間ごとに行うようにします」
確かに戦闘で使うことを主としているため、なるべく外と条件を合わせる必要がある。
風に関しては外の状態によって様々であり、風の吹く方向などで炎に対してどれぐらいのかぜが当たるかが変わったりと実験結果に影響するため、無風ということにしているのだろう。
また、実験手順についても外気に触れている関係上、熱は外へと徐々に伝播していってしまう。
それを均一化するために一連の動作にかける時間に関しても統一化をしているようだ。
「では、始めさせていただきます」
部員がそれぞれに役割分担をし、少人数のグループに分かれ、効率よく計測を行っていく。
それぞれ一人でこなした方が更に効率よく作業ができそうであるが、実験結果を複数の人の目で確認する意図があるようだ。
役割分担としては一人が炎、一人が酸素、そしてもう一人が結果の記載といった感じである。
ちなみに、両の手にそれぞれ指輪をはめることではめたほうの指輪から指定の魔法を出力することが可能なようだ。
ウィリィン達はそれぞれのグループの様子を見ながら、リアルタイムで反映されていく結果を確認する。
酸素の量を変化させた場合に加え、逆に炎の量を変化させた場合、どちらも増減させた場合と色々なデータを取得し、熱量、消費魔力の2つの項目の関係性について確認が行われていく。
「ふーん、ここらへんが効率よいのかしらね」
「今回は酸素に限った話をしていますが、他の元素であったりを使用しても結果は変わってくるでしょうね。
ウィリィン様、楽しめていますか?」
「はい。
限定的な要素を抜き出しても火力に変化が見られるのはとても興味深いです。
しかも多ければ良いというものでもないので、その適正な割合が具体的な数値として確認できるのはとても有意義だと感じました。
まあ、勿論実戦となれば様々な要素を加味しないといけないと思うので、これの適正値が最適とは限らないとは思うのですが」
「そうね。
ただ戦う際の指標としては確実に役に立つわ」
「お待たせいたしました。
実験が終了しました。
このようなデータとなりました」
炎と酸素の関係性が熱量と魔力量の2つでグラフとして示される。
熱量は右肩上がりであるが、上昇量には波があり、それは魔力の消費量は一定に右肩上がりだ。
そして、熱量を魔力量で除算し、魔力量当たりの熱量を算出すると、適切な割合が見えてきた。
「温度か、炎の体積の情報についても欲しいわね。
追加でどちらか算出できれば、もう片方は計算できるでしょうけど。
戦闘面での有用性を考えるのであれば攻撃範囲と温度は大切ね」
ウィリィンは炎に対しては割と耐性がある。
当然熱すぎるのは耐えられないが、温度が低い物であれば大きかろうが、小さかろうが関係がない。
で、今回は熱量に関してしか計測を行っていないが、体積か、温度を測ることで熱量がどれぐらいの密度で存在していたかが分かるため、ギャマナはそれについて指摘を行ったのだ。




