第518話期待はされつつ
ウィリィンが強くなるほどに美味しく、栄養豊富になる。
これほど望ましいことは無いといった感じだ。
「まあ、ほぼ自分の中では入ることはある程度決めているけど、流石に雰囲気が合わなすぎたりしたら入らないからね」
「まあ、入る部活はウィリィンが決めること。
それに合わない部活に入っても効率よく強くなれないから、意味ない」
エトゥは部活を通じてウィリィンが強く、美味しくなって欲しいだけであり、魔法部に対してこだわりがあるわけではない。
「まあ、明日どうなったか話すよ」
「ん、楽しみにしてる」
ほどなくしてウィリィンの食事が運ばれてきて食事を始めると、エトゥもウィリィンの手首へと噛みついて、血液を飲み始める。
「エトゥは生産部以外にどこか入らないの?」
「ん、考えてはいる。
狩りをする技術を学びたい」
「となると、戦闘部は違うか」
「ん、狩りの理想は一方的に相手を倒せること。
正々堂々、正面から戦う必要性はそもそもない。
あそこには強い人が沢山揃ってるから、美味しいのが揃っているとは思ってる。
まあ、勝てればではある」
「そう、勝てれば、ね」
そんな簡単には勝たせてはくれないだろうし、連勝すれば熱心に研究されて、いつの間にか勝てなくなってくるだろう。
「お母様は戦闘部で常勝無敗。
ずっと美味しい食事にありつけたって言ってた。
まあ、流石に入ったのは高等部ぐらいからとは言ってたけど」
「やっぱり、領主の人は凄いエピソード出てくるね」
そんな相手に常に勝ち続けることができるのはやはり尋常ではない。
まあ、確かに自ら熱心に強く、美味しくなってくる人のバイキングだ。
それでいて、学園内での権力も高いので、かなりいい生活をしていたに違いない。
ただ、ルリィウィン同格の人という話になれば納得できてしまうのも恐ろしいが。
「ウィリィンもそれぐらいの期待はされてるはず。
入試試験総合得点更新はそれぐらいのインパクトがある。
まあ、それを言うと、有力者の子は基本的に期待される」
「そうだね。
親のおかげでいい環境で鍛錬できているのは事実だし、力無き者が権力を持つのは皆が納得しない。
まあ、過度にしょい込むつもりはないけど、がっかりはさせないように頑張ってるつもりではあるよ」
「ウィリィンは凄く頑張ってる。
それに、後悔無いように生きてればいい」
そんな感じで食事は進み、完食したウィリィンは立ち上がる。
「んじゃ、向かおうか」
「ん」
ウィリィン達は食堂を後にして部活動の施設が立ち並ぶ区画へと向かう。
そして、入り口でエトゥと分かれると、ウィリィンは魔法部の施設を目指す。
「えっと、ここかな」
ウィリィンは腕輪から表示している地図を頼りに入り口からそれほど離れていない位置の施設の前に辿り着く。
そして、ひとまず受付らしき場所へと向かう。
そこは無人であったが、魔道具が要件を聞いてくれるようだ。
『要件または、アポイントメントをお持ちの方は・・・。
ウィリィン様ですね。
お待ちしておりました。
係の者が対応いたしますので、こちらでお待ちください』
魔道具がウィリィンのことを認識し、伝達をしてくれたようで、ウィリィンは待合室へと案内され、椅子に座って、人が来るのを待つ。
「なんか、至る所に魔道具があるな・・・」
流石は魔法を司っている部活である。
施設の全体に様々な魔道具が設置されている。
その効果のほどは知りえないが、絵が幻想的に動いたりと、客をもてなすためのものが設置されているようだ。
そして程なくして、
「お待ちしておりました。
ギャマナ部長がお待ちです。
ウィリィン様、こちらへどうぞ」
「は、はい」
執事服姿の人が待合室に入ってきて、ウィリィンを案内する。
そして、少し歩くと、ある部屋へと辿り着き、扉をノックする。
「ギャマナ部長、ウィリィン様を案内いたしました」
「入ってちょうだい」
扉が明けられ、ウィリィンは中へと促される。
中にはギャマナが部屋で書類に何かを書き込んでいた。
「ごめんなさいね。
直ぐに書き終わるから。
そこで、お菓子でも食べてて頂戴な」
ウィリィンは促された席に座る。
ウィリィンを案内してきた人が紅茶を注ぎ、お菓子が提供された。
「ありがとうございます」
そして、お菓子と紅茶を少し味わったぐらいで
「あー、終わったわ。
やっぱり、書類仕事は疲れるわね」
ギャマナは書類を書き終えると、ウィリィンの正面に座り、紅茶とお菓子を食べ始める。
「ギャマナ部長。
本題をお忘れなく」
「あら、そうだったわ。
ありがとう、ナタト。
っと、ウィリィンちゃんはナタトと会うのは初めてだし、私も一昨日合って話した程度ね。
自己紹介から入りましょうか」
「は、はい」
「んじゃ、まずは私から。
ギャマナ。ジニサよ。
魔法部の部長をしているわ。
魔法のことなら何でも得意よ、よろしくね」
「よ、よろしくお願いいたします」
「では、次に私から。
ナタト・ビャソです。
魔法部の副部長として、ギャマナ部長の補佐をさせて頂いています。
また、空間魔法を嗜んでおります。
よろしくお願いいたします」




