表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アース ダンジョン核を持つ少女  作者: 生けもの
4章 宗教国家『法国』
147/149

143 ベルゼーの誤算

 激辛料理対決はタミルの勝利となった。だが当初の目的である軌跡の水を町の人に飲ませる事は失敗に終わった。いや正しくは軌跡の水と思っていたモノを町の人々に飲ませる事は大成功していた。


 ただそれが文字通りの()()()()()軌跡の水だったのだ。今、執務室ではベルゼーが頭を抱えていた。


「…どうしてこうなった…」


 執務室ではベルゼーが頭を抱えて難しい顔をしていた。タミルは悪いなどと微塵も感じてない顔でまさに正論を訴えていた。


「ベルゼーさま、やはりこんなやり方で人々をコントロールしようだなんて間違っていると思います」

「貴様が軌跡の水を割らなければ全てうまくいってたのだ」

「ベルゼー様、それは軌跡の水を水で割ったという意味でしょうか、それとも軌跡の水の瓶を割ったという意味でしょうか」

「どっちもだ!」


 秩序(きれいな)タミルが自分のミスをミスとも思っていないようなボケを繰り出し、ベルゼ―が本気で突っ込んでいた。さらにタミルの報告が燃料を投下した。


「ベルゼー様さらにご報告したいことがあります」

「なんだ、まだ何かあるのか」

「実は自分でも確認したのですが…」


 タミルが自分の法衣が鮮やかな青と白に変わっているのを見せた。それを見たベルゼ―が驚きのあまり目を見張った。


「なっ、それはどういう事だ。その青と白は秩序の証…タミルいつからだ」

「…対決の日からです、あの日氷蜜を食べた後に頭がスッキリして、これまでの行いを悔い改めました」

「氷蜜だと?ちょっと待て、いつだったか似たような事が…そうだ教皇も似た様な事を言っていた。あの時も…」


 その時点で"アースの料理"が洗脳が解かれた原因だろうと答えにたどり着いた。


「その氷蜜はまだあるのか?あるなら1つくれないか?タミルの変化が俺にも起こるのかを試したい」

「え?ベルゼ―様が?そっその」

「なんだ1つも残ってないのか?」

「いえ、あります…が」

「なんだ?洗脳が解けた原因を特定するためだ、残っているなら渡してくれ」


 タミルの歯切れが悪い。なにか言いずらい事でもあるのだろうか?とベルゼ―がその理由を促した。しかしタミルが言い出した理由は混沌(カオス)派のNo2とは思えない理由だった。


「氷蜜があれば、"激辛幽体離脱ジョロロキラー"と"氷蜜"を交互食べる事が出来るんです!延々とです!!」


 ただの食いしん坊であった。 …呆れたベルゼ―が問答見様でタミルから氷蜜を取り上げると、それを一気に食べた。


「ああああ、最後の1つだったのに」

「うるさい、貴様は混沌(カオス)派の自覚は…うっ…」


 ベルゼ―に変化があった、法衣の色が赤と黒から青と白に変わるかと思ったら戻ったりと安定しない。


「俺は俺は…『選定の儀』の時にすでに亜天使に洗脳されていたのか…」


 自分の法衣が血のように赤く、夜の森のように深い黒だった事を誇りにして混沌(カオス)派を名乗っていたのが、亜天使によって洗脳されていた事実はベルゼ―にショックを与えた。



ー≪ベルゼ―私室≫ー


『なんだベルゼ―、聞きたい事とは』

「お前『選定の儀』の時にすでに俺を洗脳していたな」


 自分の法衣の色が安定しない所を見せてガブールに問いただした。


『ふははは、何を聞くかと思ったらそんな事か』

「そんな事だと?貴様、いつから洗脳していた!!」

『そんな事を知りたいのか、いいぞ。貴様が法国の南の森に魔物討伐任務に行った時からだな」

「そんな昔から…」

『しかし、あんな菓子一つで洗脳が解かれるとは思わなかった。おかげで…』


 ガブールが俯き笑うのを必死に抑えていた。


『貴様が洗脳されていた(ほんとうの)事を知った時にどんな顔をするのか楽しみで待ち遠しかったぞ!はははははははは!!』

「ガブール貴様!!!」

『おっと、適合出来ているうちに貴様の体を渡してもらうとするか』


 洗脳が解けた事で、ベルゼ―の精神が混沌(カオス)から秩序(オーダー)に戻る前にガブールが強引に体を乗っ取った。


「ふむ、洗脳で適合していたからか思い通りに体が動かんもんだな。まぁそのうちベルゼ―(こいつ)の精神が無くなれば問題あるまい」

『ガブール様、支配天使(ドミニオン)の受肉が100体完了しました』


 誰もいないはずの部屋から声がした。声の主は淡々と与えられた作業の進捗を伝えた。


「思ったよりも時間がかかったな。それで何体の支配天使(ドミニオン)がダメになった?」

『およそ2000体ちょいかと』

「ふむ、20体に1体くらいか…だがまぁ不死者(アンデッド)を適合者として支配天使(ドミニオン)を受肉させる無謀な試みで100体も成功すればあの教皇にも勝てるだろう」


 同胞を悪質な試みで大量に死なせた事などガブールにとってはなんでもなかった。またそれは声の主も同様だった。仲間を憐れむという心は亜天使は持ち合わせていなかった。


「受肉した支配天使(ドミニオン)達をコフィンに集めておけ」

『承知しました』



 ー≪大聖堂 厨房≫ー

 

「悪魔の舌(ババァネテロ風味)と激辛幽体離脱ジョロロキラーのセット1つ」

「教皇様、またトイレに籠る事になってもしりませんよ」

「ヘーキ!ヘーキ!…うっ ちょっちょっとお花摘みに…」


 教皇は激辛料理対決の日から毎日激辛料理を頼んではトイレに籠る日々を送っていた。

 

「大変です!こちらに教皇はいますか?」 

 

 教団の信徒が大慌てで大聖堂も入って来た。しかし厨房に教皇を探しに来るのは問題じゃないのか?と料理長は思ったが、ここ数日の教皇は6割厨房でつまみ食い、3割がトイレ、残り1割が自室で執務という組織の長とは思えない行動パターンだった。


「教皇は今トイレで最重要任務中だ!」

美少女で、強く、リーダーシップもあって、みんなからの信頼も厚いキャラだったのに…

どうしてこーなった!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ