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王たちの失踪事件、そう聞かれると皆口にするだろう。12年前のあの事だと・・・
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ー12年前ー
人族の王城は普段に増して騒がしかった。
「王よ!あの≪終焉の森≫で条約会議など!」
「仕方がないだろう。邪魔が入らないようにするにはあそこしかないのだろう」
「しかし!」
「それにだ。お主は王たちにケチをつけるのか?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
≪終焉の森≫とは冒険者ギルドが規定したランクでいうAランクやSランクのモンスターがゴロゴロいる森で、上級冒険者でも浅いところでも危ないところなのだ。今回はその深部と言われたのだ。ちなみに今回は人王、魔王、獣王、精霊王、森精王、地精王、龍王が参加する。豪華すぎるこの世界〈ラサール〉の各国々の王達だ。そう言ったことを考えていると出発の時が来た。豪華な馬車に乗って城下町へ出ると民衆の応援する声が聞こえてきた。その歓声を背に≪終焉の森≫へ向かった。
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≪終焉の森≫の浅部で人王カイ強力な魔物よけの香を使った。それは高ランクモンスターにも効くようで道中魔物は現れなかった。ちょうど香の効果がきれた頃カイは目的の場所へと着いた。そこには円卓と椅子が七つあった。そして、そのうち六つは様々な種族で埋まっていた。カイが席につくと会議が始まった。
「さて、今から会議を始めるのだが、前伝えた通りだ。覚えておるか?」
とカイの正面に座っている赤髪赤眼の羽がはえた男が話始める。彼は龍族の王、龍王のガロだ。するとその言葉にその隣の席の精霊王ミラが応える。
「覚えてるも何もどういうこと?私達が世間から消えるって?混乱するだけでしょう?」
そこで傍から見ると完全に場違いな紫髪の幼女、魔王レヴィスが言う。
「では精霊王よ、なぜこの世界は争いが絶えないのはなぜじゃ?」
「それは物資もあるし領地もあるし色々でしょ?」
「うむ、それもあるが一番はわらわ達がおるからじゃ」
「どういうこと?」
「わらわは自惚れているわけではないが種族では一番だと思っておる。皆もそうじゃろう?」
その言葉に書く王達が頷く。現王達は政治もそうだが、武力では苦手分野でも種族で頭一つ二つ飛びぬけているのだ。得意分野は計り知れないのだ。
レヴィスの言葉を緑髪の森精王ノアが引き継ぐ。
「つまり~、味方に強い人がいると~兵達の士気が上がり~争いが絶えないということですよ~」
そしてそのまま議論は白熱していった。数時間がたったとき遂に意見がまとまった。
「では我の意見でいいのだな?幸いここは≪終焉の森≫だ。ここで暮らし帰らなかった勝手に死んだと判断されるだろう。」とロガがまとめる。
「賛成よ」とミラ。「賛成じゃ」とレヴィス。「賛成~」とノア。「まぁ何でもいいだろ」と獣王ガルスと地精王ガイア。「賛成です」とカイ。
「うむでは決定だな」
こうして失踪事件が決まったのである。
ちなみに女性陣とロガとカイは議論に参加していたがガルスとガイアは途中から腕相撲などで勝負していた。決着はつかなかったが。
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ー2年後ー
人王、いや元人王カイは森の浅部に来ていた。今日カイは食料調達の当番なのだ。深部にも魔物もいるし狩れるが味に飽きたと皆が言い出すので違う種類の魔物を狩るために浅部来た。カイは蛇型の魔物、バジリスクを難なく倒すとガイアお手製マジックバックにバジリスクを入れ帰る準備を整えようとするとあるものが目に入った。
「バスケットか・・・何だ?って赤ん坊!?捨て子か?何でこんなところに?」
カイが中を見ると毛布にくるまり気持ちよさそうに寝ている黒髪の生まれて間もなさそうな赤ん坊がいた。
そのまま置いて帰るということもできたがカイは忍びなくなり持って帰ることにした。
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持って帰った赤ん坊はみんなにとても迎えられた。王達は元々忙しくて子供はおろか結婚すらだれもしていなかった。そんな中子供がいれば当然喜ばれる。そこから着々と話が進み子供を育て鍛えることまでが決まった。そこまではよかったのだ。そこまでは。。。しかしそこでノアが盛大な爆弾を落とす。
「でも~名前はどうするんですか~?」
一瞬空気が凍り付く。そこまでか?と思う人もいるだろう。しかし考えてもみて欲しい。今までもともかくこれから恐らくいないであろうものなのだ。それは名付けてみたいものだろう。そこからは失踪事件の時よりも白熱した議論が広げられた。ガルスやガイアはともかくあの冷静そうなロガまでもが熱くなっていた。因みに候補は、リュウ セイ ドワ ジュウ マオウ エルなど碌なものがなかったため結局拾って来たカイが名付ける事になった。
「そうだな・・・じゃあこの子の名前は人間の英雄マクーレンから取って『レン』だ」




