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めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第二章 小さな冒険者と美しき侍女ライリ
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第4話 ユナの目覚め

ここに来るのも久しぶりだな。

冒険者ギルドを出た俺達はヴィッチ・パープルトン子爵の屋敷を訪れていた。

王都でランス国王に謁見するのに紹介状を書いて貰うためだ。

直接王都に行って俺の名前を出せば通してくれそうだが、王宮の入口にある検問で前みたいに延々と待たされるのも嫌だからな。

流石に貴族は別の門から入れたりするからよ。

紹介状があれば、すんなり中へと案内されると思っている。


前にもこの屋敷には俺達三人で来た事があったが、あの時はヴィッチの奴が俺を殺そうとしてやがったからな。

そんな俺達が屋敷の前まで来ると庭いじりをしていた男が駆け寄って来る。

何だか使用人にしちゃ、随分と良い服を着てやがるな。


「これはアンナ様にライリ様、それにお坊っちゃまも一緒に良くいらっしゃいました!」


俺達を出迎えてくれたソイツには、何やら見覚えがあるんだけどよ……


「久しぶりね、奥様とは仲良くやってるの?」


ちょいと老けてるが、コイツ乗り合い馬車の御者だった奴じゃねぇか?

ウチの実家のお袋に命を救われてたらしいが、何でこんな所にいやがるんだ。

再就職で庭師にでもなったのか?


「ご主人様、ヴィッチ様の旦那様のコルツ様です。 ご存知ですよね?」


な、何だと! コイツがヴィッチの結婚相手なのかよ!


「ああ、よりによって自分を殺そうとした女と結婚するとは随分と変わった男だよな」


俺がいない間に一体何がありやがった……


「昔の事を謝るために彼の故郷の村を訪れたヴィッチさんと仲良くなって二人は結ばれたのよ。 貴方が死んで落ち込む彼女を一生懸命励ましてくれた彼に惚れてしまったそうなの」


へ〜 あのヴィッチがね。

コイツは弱いクセに気概のある良い奴だったからな。

ヴィッチも良い相手を選んだと思うぜ。

俺達が屋敷の中に招き入れられて長い廊下を歩いていると、突然呼び止めた奴がいた。


「あっ、お兄ちゃん! ユナに会いに来てくれたの?」


何だ? ふわふわした金髪の幼女がやって来たが、お兄ちゃんとは俺の事か?


「ヴィッチ様の一人娘、ユナ様です」


会った事はある筈なんだろうが、今の俺にとっちゃ初対面だからな。

ライリが俺に教えてくれる。

へ〜 ヴィッチの娘か! 6歳くらいか?

随分と可愛らしい娘を産んだもんだな。


「ねぇ、お兄ちゃん! またユナと遊ぼうよ」


俺の手を引いて何処かに連れて行こうとする幼女。


「悪ぃな。 俺はちょっとヴィッチに用があるんだよ」


その俺の言葉を聞いてあからさまに嫌な顔をしたユナ。

しかも俺にしか見えないようにしてやがる。


「平民風情が何言ってるのよ。 お前の母親や侍女も母上の友人か何か知らないけど…… 勘違いするにも程があるわ」


そして…… とんでもねぇ事を俺の耳元で囁きやがった。

俺だけなら許せるがアンナやライリを蔑む言葉を口にしやがって…… 子供だからって許す訳にはいかねぇよな。

こりゃあ…… しっかりとした躾が必要だろ。


「アンナとライリは先に行っててくれよ。 俺は折角のご指名だから、ちょいと可愛らしい妹と遊んでから行くとするぜ」


「ありがとう、お兄ちゃん!」


満面の笑みを浮かべるユナ。

随分と演技が上手いじゃねぇか。

仕方が無いなと言う顔をしたコルツに案内されてアンナとライリが去ると俺はユナと二人っきりになった。

俺はユナに何処かの部屋へと連れ込まれる。


「妹だなんて汚らわしい。 いつもみたいに乗馬の練習がしたいわ。 さぁ、跪いて馬になりなさい!」


床を指差しながら俺に命令するユナ。

子爵令嬢だからって思い上がるのもいい加減にしやがれ…… 腹わたが煮えくり返る思いがするぜ。


「ほぉ、俺はいつも馬の役をやっているのか?」


俺の息子は気の弱い奴だったらしいから、ユナの言うままに虐められてたんだろうぜ。

アンナやライリには内緒にしてよ……

いや、身体は息子だが記憶が無いだけで中身は俺だった筈だぜ。

人って育て方一つでそんなに変わるもんかね?


「当然でしょ、平民の分際で! さぁ、早く馬になりなさい!」


こんなクズみたいな女に育てるとはヴィッチとコルツは何をしてやがる!

確かに育て方って大事だと思い知らされたぜ。


「俺の家じゃ悪い事をしたら尻を容赦無く引っ叩かれたもんだぜ。 悪い子供にはそれが一番だとか言ってよ」


「何を言ってるのよ!」


ユナを捕まえた俺は背中から抑え込んで尻を向けさせる。

スカートを捲り上げるとピンクのパンツを穿いた小さな尻が姿を現わす。

そして…… やる事は一つしかねぇだろうよ!


「きゃあ! 何するのよ変態! やめなさい!」


パシン! パシン! パシン! パシン!


ユナの小さな尻を叩く音が部屋の中に響き渡る。

俺はユナの言葉を無視して尻を叩き続けた。

こう言うのは甘やかしたらいけねぇからな。

徹底的にやる方が良いんだよ。


パシン! パシン! パシン!


「やめなさい! 母上に言いつけてやるわよ!」


パシン! パシン! パシン!


「やだ…… こんなのやめて……」


パシン! パシン!

次第にすすり泣く声が聞こえて来る。


「やめて…… お願い…… もうやめて……」


パシン! パシン!


「ユナが悪かったわ…… ごめんなさい……」


パシン!


そろそろいいか?

泣きながら崩れ落ちたユナを見下ろす俺。

スカートは捲れたままで赤くなった尻が剥き出しの幼女が床に蹲っている。


「これで少しは懲りたか? 人を馬鹿にするのも大概にするんだな。 今度同じ事を口にしやがったら…… もっと酷い目に遭わせてやるからな!」


そんな事を吐き棄てるように言って部屋を出た俺はアンナ達がいるだろう謁見の間の方へと向かう。

部屋を出て行く俺をユナがジッと見つめていた事には気付かなかった。

その視線が先程の侮蔑する眼差しでは無かったなんてのも知る由もない。


「もっと…… 酷い目って…… どんなかしら……」


それが期待に満ちた眼差しだったなんてな。



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