表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めいど・いん・はうす  作者: 池田 真奈
第一章 大剣使いの冒険者と小さな侍女ライリ
43/172

第43話 メイド達との合流

冒険者ギルド本部に着いた俺達は、ギルド本部長から以前王都に訪れた際に遭遇した美女失踪事件の解決に際しての礼を言われ、かなりの高待遇で迎えられていた。

一応、俺も名は売れている方らしく若い冒険者達から色々と質問責めに遭って困っている。

ライリからも若い冒険者には優しくしろと言われてるから、あまり無碍にも出来ず程々に対応してはいるが結構面倒臭えな。


「流石は侯爵領の英雄よね。 中々の人気じゃないの」


若い冒険者達に囲まれている俺を見てアンナが茶化して来やがる。

お前の方は女性職員だけじゃなくて若い男の冒険者達も寄って来てたろうが…… 俺の方は野郎共しか寄って来ねぇんだからな。


「まぁ、日頃の行いの良さって事にしといてくれや」


名が売れてると言っても、例えば戦争でも起きたとして俺個人で戦局が変わるとも思えねぇしよ。

結局の所、俺に出来る事は限られてるって事なんだろうな。

要するに俺が大切に思う奴らを守ってやる事さえ出来れば満足って事だ。


「そう言う事にしといてあげるわ」


アンナも俺との仲が進展している事から、何だか余裕みたいなのが感じられる様になってるな。

だから人に対して優しく出来るから自然と好かれる事になるんだろう。

最近のアンナを見ていてつくづくそう思える。





「大変だ! 朱雀館に奇妙な奴らが押し入って死人も出てるらしいぞ! 既に衛兵も出動してるが奴ら死を恐れないみたいで被害も結構出てるって話だ」


「何だと! 何でよりによって朱雀館なんだよ? あそこにはライリがいるんだぞ!」


冒険者ギルドに駆け込んで来た奴の話は俺とアンナを驚愕させるには充分過ぎる内容だった。

あの旅館はまだ何かに取り憑かれてるんじゃねぇのか?

とにかく…… 急がねぇとライリにもしもの事があったら取り返しがつかねぇからな。


「アンナ、前にやったパタは扱えるようになったか?」


それは右腕の腱が切る大怪我を負って冒険者を引退したアンナが現役に復帰するための備えとして俺が贈った武器だ。

籠手と剣が一体化した武器で腕に装着して使うから腱が切れた右腕でも扱える筈だ。


「勿論よ、遅れを取るつもりはないわ! 私の心配はいいから、あなたはライリちゃんの事だけを考えなさい」


敵の事がまだ分からない以上、あまりデカイ事は言えねぇがお前だって守ってやるつもりなんだぜ?

たが…… 気を使わせて済まねぇな。


「ああ、頼んだぜ…… 相棒!」


俺の横を走るアンナをチラッと見れば嬉しそうな顔をしてやがるぜ。

朱雀館までの道のりには突然の凶事を受け慌てて逃げ惑う奴らの他に、この機会に手柄を立てようと俺達みたいに駆け付ける奴らの二通りが入り乱れて鬱陶しい事になっていた。

俺とアンナは其奴らを掻き分ける様に進んで行く。


「ちょっと止まって! あそこにいるのはライリちゃんじゃない?」


「何処だ? 何処にいる!」


慌てて辺りを見渡す俺にアンナが指を指してライリがいると言う場所を示す。

人混みの中でもハッキリと目立つプラチナブロンドの髪が目印だ。

いや、それ以前にクレアが宙に浮いてやがるじゃねぇか…… ならばアソコしかねぇだろ!


「見つけたぜ! ライリ! コッチだ! 畜生め、騒がし過ぎて気が付いてねぇな。 こうなったら…… どきやがれテメエら!」


背中に背負っている大剣、デスブリンガーの留め金を外して上段に構えればライリにも見えるだろうと思ったが、俺の周りにいた奴らが驚いたらしく悲鳴をあげて逃げて行く。

その悲鳴に気付いたライリがコッチを向いて俺と視線を合わせる。

嬉しそうな顔をしやがって、今行くからな!


「アンナ、ライリがコッチに気付いたぜ! 丁度いい具合に道も開けてくれたし一気に行くぞ!」


「本当に強引なんだから……」


漆黒の大剣を構えながら俺を避けるために開いた道を一気に駆け抜ける。

そしてライリの前まで辿り着き、ホッと安堵の息を吐く。


「大丈夫だったか? 遅くなって済まねぇ」


良く逃げ延びてくれたな…… 神様って奴がいるなら感謝するぜ。


「ご主人様!」


俺に飛び付いて来るライリを力強く抱き締めた俺は間違いなく生きている事を実感していた。


「何処も怪我は無い?」


そこへ少し遅れてアンナも到着する。


「ライリ、一体何があったんだ?」


瞳にいっぱいの涙を溜めたライリが俺を見上げている。

余程怖い目に遭ったんだろうぜ。


「いきなり朱雀館へ白い仮面を被って黒いローブを着た集団が入って来て、私とフィリックさんは厨房にいたので裏口から逃げだせたのですが、途中でフィリックさんと逸れてしまい……」


白い仮面の集団だと? 一体何者なんだ。

それにしてもアイツがライリを守って逃してくれたのか。

気持ち悪いとか思ってたが、恩に着るぜ。


「私達も襲われたのですが、何故か急に仲間割れを始めて目の前で殺し合って…… それで難を逃れる事が出来たのです」


『私が憑依して仕向けたのですよ! いっぱい、い〜っぱい褒めてくださいね、ご主人様!』


そりゃあ…… 助かったぜ。

クレアにウインクして応える。


「奴らはまだ朱雀館にいるのか? いるならば俺は奴らを片付けて来るからアンナはライリを頼めるか?」


ここはアンナに任せておけば大丈夫だろうからな。


「待ってください! あの異形の集団の狙いが私かも知れないんです。 私の事を禁忌の子と呼んで襲って来たから…… 私がいたから朱雀館は……」


何なんだよ、禁忌の子って言うのは? しちゃいけないって意味だよな。

ライリが何かしたとでも言うのか?

……んな訳ねぇだろ? もしくはライリが大罪を犯した奴の子だとか…… ライリの生い立ちなんか分かんねぇからな。

チッ、この状況じゃさっぱり分からねぇ!

何にせよ…… こんなに小さくても、いつも一生懸命なコイツを悲しませる奴は誰だろうと俺が許さねぇ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ