恋人同士になるって鉄の心が必要です
あの『羞恥!公開婚約発表!』から2ヶ月経って、ようやくよ~~~ぉやく下火になってきた。
「エミリー、今日はロベルト様と城下街にお買いものに行かれるのかしら?」
シルビアが読んでいた本から目を離し、声をかけてくる。
今日は休日で、学園も休みだ。
「うん、朝の4の刻に学園門で待ち合わせしてるんだ」
「それでしたら、よろしければペン先を1セット買ってきていただけないかしら?」
「いいよ、忘れないようロベルトにも頼んでおく」
「ありがとう」と微笑むシルビアに「いってきます」と声をかけ私は部屋を出た。
学園門に走り寄ると背後から「エミリー!」と声をかけられる。
「クリス?」
クリストフは姉の夫の弟である。
「やぁ、エミリー!
卒業課題にずっと忙しくて、会いに行けなかったんだけど......」
「え?!卒業課題ってそんな大変なの?」
一気に卒業できるか不安になる。
「ははは、大変なのは上位に入るためだからね。
しょうがないよ。
いや、それより変な噂を聞いたんだけど、......エミリー、婚約したのは本当?!」
ギュッと手のひらを掴まれる。
私はクリストフの言ったあまりの悲しい現実に、うつむきフルフルと震える。
「ひどすぎる......」
「エミリー?
どうしたの?」
「......どうしたって、なんで私の周りは優秀者ばかりなのぉっ!!
平凡はいないのか!?
平凡はっっ!!」
自由になる反対の手で握りこぶしを作る。
正直半泣きだ。
「大丈夫だよ、エミリーは。
エミリーの父上に似て、エミリーは人たらしだからね」
突然ロベルトの声が聞こえたかと思うと、横から引っ張られて、ついでにクリストフの手を叩き落としながら抱きしめられる。
「イテッ!」
いきなり手首を叩かれたクリストフがうめいた。
「こんな朝早くから奇遇ですね、クリストフさん。
俺の婚約者に何か?」
私は慌てふためくように、ロベルトのからみつく腕をベシベシ叩く。
「ロッ...ロベ、ちょっと「噂は本当だったのか?!」...(え?私の発言は外野?)」
私の言葉にクリストフが言葉を被す。
「それがどうしたんですか?
ちなみに言えば噂は正真正銘本当ですよ。
せっかくなんで、祝っていただきましょうね、エミリー?」
ロベルトが優しげに耳元に言葉を落とす。
イヤ、優しげだがこれは何かに怒ってるって!
直感がそう告げる。
おまけにロベルトの腕がグイグイと締まってくる。
「え、ちょっと、なんでそんなにケンカ腰な「本当かいエミリー?!君の言葉で聞きたいんだ!!」......」
「俺の婚約者に声かけないでいただけます?」
だれも私の発言に興味のないことはよくわかったっ!!
心を無に放心しているとフッと視線を感じる。
おおぉぉぉぉ~~~!?
まじか~~~!!
休日に外出するため日頃より往来の激しい学園門前で、ふたたび新たなる見世物と化しているっ?!
なんだなんだ?と立ち止まる人もだんだん増えてくる。
その中にはクラスメイトも何人か混ざっている。
白熱している二人をよそに「さっさと去れ!早く行け!!立ち止まるなっ!」と私は周りを牽制しながら、なんとかロベルトの手から抜けようとする。
おのれっ、ロベルトォォッ!
文官目指してるくせに、ヒョロいくせにっっ!!
ロベルトの腕から抜け出せない私は、唯一自由の利く足で、砂を巻き上げ野次馬を蹴散らせ続けた。
野次馬のやつら、ニヤニヤしてこっちを指さすんじゃないっっ!!泣
頼むからそっとしといて!




