見るもんじゃない!3
「やぁ、リズ!
そんな腹黒とばかりいないで、王家のいとこ同士、ダンスでもしようじゃないか!」
「レレレレオン?!
何を!
ちょっと引っ張らないで...っ!!
ちょ、ロベルト様?!」
レオンは強引にリズ様の手を取り、ダンスフロアに滑り込んでいく。
さすがだ...!
あれがたくさんのご令嬢をたぶらかしてる手腕だ。
ロベルトと二人で呆然と見送っていると、はあぁぁぁ....っと、大きなため息がロベルトから聞こえる。
「......エミリー、ずいぶん楽しそうに踊ってたね」
「そう...?」
ちっとも楽しくなかった、なんて言えるはずない。
おまけにロベルトを好きだと自覚した今、顔を見るのも恥ずかしい。
ロベルトが肩をすくめてから、手を差し出してくる。
「それでは一曲いかがですか?」
「...ょ、喜んで...」
そっとロベルトの手をとる。
向かい合って踊ってると「...エミリー?」と、ロベルトが声をかけてきた。
「エミリー、...泣いた?」
ロベルトから覗き込まれて顔が熱くなる。
「何かあったのか?
誰がやったんだ?」
「うっ、うるさい!
ほっといてっ」
思わず下を向く。
「ちゃんと教えて。
こっちを向いて、エミリー」
ロベルトの手が頬に添えられる。
そんな優しい声で言わないで!
勘違いしちゃうじゃないかっ!
ずっとそばにいてくれるのかもしれないって、私のことが好きなのかもしれないって、期待してしまうじゃない!!
心が悲鳴を上げる。
「おおおおおお前のせいだっっ!
全部全部!!
お前が...、ロベルトが...
私は...」
「エミリー?」
ロベルトの真剣な顔が目に入る。
自分の顔がカッカと熱を持つ。
あぁ、ダメだ。
私の気持ちをぶちまけちゃダメだ。
ロベルトがリズ様とうまく結婚できれば、確実にロベルトは未来への近道になる。
なんの力にもなれない男爵より公爵の方がロベルトの力になれる。
「...これはその、あれだ。
ロベルトの努力を私はずっと見てたし、その努力が報われてくんだなぁって思って泣けたんだ。
嬉し...涙なんだ」
ニッと笑い、ロベルトの顔を見上げる。
ちょいっと片眉を上げたロベルトが、ハァ~~~...と大きなため息を吐く。
「エミリー、俺たちの付き合いは何年だ?」
「え、8年?
あれ、9年?」
「そんだけ一緒にいて、俺がお前の嘘分からないと思う?
と言うか、エミリーごときが俺を騙せると思ってる?」
「わっ私ごとき?!」
私ごときとはどういうことだぃ!?
だいたいロベルトは何回ため息つくんだ?
ワタワタとしてると、ロベルトが「ちょっと黙って」と言いながら、頭を抱きしめてくる。
「ねぇ、エミリー。
俺、エミリーがエミリー自身の気持ちに気づいてくれたと信じるからね。
今から大事なこと言うけど、変な返事したら俺しばらく寮に引きこもるからね?」
「...なんだよそれ」
立ち尽くした私に、すっと片ひざをついてロベルトが右手を胸に置き見上げてくる。
「エミリー、キミを誰よりも愛してる。
共に生涯を歩みたい。
この手をとって結婚してくれないか?」
歓迎会がシンッッと静まり返った。




