ちょっとした違い3
結局、鬼のような形相の母上を見つけて、はくはくとお淑やかに食べきった。
あぶねぇ~~~!!
これでクリストフに「あ~ん」なんてしながら食べてもらってたら、どんな落雷が自分に降りかかってたかしれない。
早々に寮に戻ろう。
母上がコワイ...。
「よし食べ終わったな。
じゃぁ行くぞ。
あぁ失礼します、クリストフ先輩」
飲み込んだところで、勝利者の笑みしたロベルトは、私の手を引き寄せ歩き出す。
「あ~~、もう少しだったのに!」とクリストフが、ヒジをテーブルについてオデコを押さえてうめく。
面倒だから訂正しないけど、二人とも勘違いしてる。
勝利したのは食べきった私だっつーのっ!!
結局最後の1曲を踊れるだけだった。
「ベストな量だったな」と笑うロベルトに(どこがじゃい!!)と心の中でつっこむ。
スローテンポで良かった。
アップテンポだったら『横っ腹の悪夢、再び!』だよ、この男はっ!!
「ねぇエミリー、気を遣って今まで学校であまり話しかけなかったけど、学校に慣れたならもう声をかけていいかな?」
食事会も終了して、姉上も義兄上も帰られ、そろそろ我が家も...となったとき、クリストフに呼び止められた。
「うん、私からも声かけるよ!
せっかくクリストフが義兄上になったんだからね!」
ふとロベルトを見るとゲェーーー...って顔してる。
(手をお離し!)と思いながら、ロベルトの手から自分の手をビッともぎ取り、クリストフの手をギュっと握り握手する。
すると「あ~~ぁ、クリストフ先輩の手、もげちゃうよ」なんて、ロベルトが嫌味な事を言う。
「うるっさい、黙っててロベルト!
クリス、これからもおねぇ様や家族ともどもよろしくお願いしますね」
にっこり笑うと、クリストフも嬉しそうに「よろしくね」と微笑んだ。
「ロベルト君、男の嫉妬はみにくいよ。
それではまたね、エミリー」
そう言うと手にチュっとキスをしてクリストフは去っていく。
ヒュウヒュウ!男前~~~~!
天然タラシも伊達じゃないねっ✩
なんて思って見送ってると、突然反対の手をロベルトに握られる。
なんだなんだ?とビックリしてロベルトを見上げると、突然頬にキスをされた。
「クソ...クリストフのやつ...、みにくくて悪かったな...。
...エミリーのご両親もあそこにいるし、もう大丈夫だろ。
俺はもう行く。
じゃ、また」
目をそらして去っていくロベルトを呆然と見送る。
そっとほほに手を寄せる。
何が何だかわかんない。
心臓がノドから飛び出るかとでもいうくらい、激しくドキドキしていた。
キスしたいって思うタイミングわかんない。
ていうか、ロベルトって私にキスしたいって、いつの間に思ったの?
これは挨拶のキスなの?
特別なキスなの?
やっぱし経験も積んでるだろうジーンに、男の気持ちを聞くしかないかな?
マリアーナなら教えてくれるかな?




