まだ子どもですし3
「父上、母上!
ただいま帰りましたぁ!」
馬から飛び降り馬を侍従に預け、玄関のドアを勢いよく開ける。
「まぁエミリー、騒々しい!
『母上』はなく『お母様』とお呼びなさいと何度も申しました。
それにもう少し淑女として...ロ、ロベルト様!
よ、ようこそおいでくださいました」
母上が真っ青な顔をして、礼をとる。
なんでここにいるはずのないロベルトがいるのか焦っているのだろう。
「ウォーレン夫人、お久しぶりです」
ロベルトが丁寧にお辞儀をする。
「お母様、その...バレてしまったのです。
えっと、エミリオと私のこと...ごめんなさい!」
ペコッと頭を下げる。
「まぁ...」
倒れそうによろめく母上を支えたのは父上だった。
「エミリー...だからあれほど...」
「ロベルト殿、ようこそおいでくださいました。
エミリー、お母様をお部屋に休ませなさい
ロベルト殿は応接室へどうぞ」
「ありがとうございます」と答えロベルトが執事と進んでいく。
「お父様、ごめんなさい」
そっと声をかけると、やらかしてくれたな...と父上の目が語ってくる。
おぉこわい!
この近辺、学校あそこ一つしかないんだもん!
しょうがないじゃん!!
この私に嘘をつき通せってことが、無理な話なのよ。
私悪くないも~~んだ。
「おかえりなさい、部屋まで丸聞こえよ、エミリー。
でもどうせすぐにバレると思ったわ!」
「メイヤおねぇ様ただいま、お久しぶりっ!
すぐにバレるって、でも3ヶ月はもったわ!」
「めまいがするから、しばらくそっとしておいて」と母上に言われ、自分の部屋に戻ろうとすると、姉上が声をかけてくる。
「お父様とロベルト様、きっとこれからどうなさるか、お話しされてそうね。
どうなることやら!」
「廊下もなんですし、私の部屋にいらっしゃいな」と声をかけられ、姉上の部屋へ入室する。
「メイヤおねぇ様、ずいぶん楽しそうじゃない」
「エミリーは常に騒々しく問題起こして歩いてるからね、傍観してる分には楽しいわ!」
「馬鹿にして!!」
ソファにドサッと座ると、侍女が紅茶を出してくれるので、ニコリと微笑んでおく。
「紅茶ありがとう。
あら、本当のことよ!
エミリオの時、ホントは女の子なのにケンカしたり、脱走したりバカばっかりして、ハラハラし通しだったわ!
上級生にあなたとレイモンド様が追いかけられてる時は心底びっくりしたわ。
それをのしてしまったジーン様にも驚いたけど、今でもあれで捕まってたらと思ったら寒気がするわ!」
ぐぬぬ~~、おのれ~~~!!
事実だけに文句の言いようもないっっ!
ふと気づいて「リックは?」と聞いてみる。
「お昼寝中よ。
エミリーの騒々しさに目が覚めないなんてツワモノね!」
「あら残念、いっぱい遊んであげようかと思ってたのに」
もう姉上のバカ話の相手なんてしてやんない。
「姉上、当日式場にはどう行くの?」
「ワタクシは準備のために早朝行きますので、後からお母様とお父様とリックで来るとよろしいわ」
「お義兄様はお元気?」
「えぇ領地のお仕事もお義父様に代わって元気にこなされてますし、仲良くさせていただいてますよ」
「でももし、メイヤおねぇ様を泣かすようなことがあったら言ってちょうだいね。
私最近鍛えてるのよ!
横っ面をぶん殴って腹に足蹴りを加えた後に、うずくまったところで後頭部を強打させてもらうわ。
もう少し破壊力を増やしたかったらダイヤとかの指輪をしてくからね!
当たったら流血ものよ!」
「眩しすぎる成長ね...エミリー」
褒められた気がしなかったけど、とりあえず「お安い御用よ!!」と答えておいた。




