淑女でいるって大変
(あ~~~ぁ、マジでレオン切れてやんの...
私、し~~らない!)
シルビアが「こんなとこに私一人残して逃げたら許さん」って目で見るから逃げられない。
ついでに言ったら、ロベルトがこのホールからの退路を塞いでるからね...窓から飛び去るぐらいな事しないと、もう逃げようがないよ...。
お菓子...ティータイムグッバイ...!!
君のことは忘れない...。
微笑みの貴公子の噂も違わずに、優しく温もりあふれるような視線でレオンはシルビアに笑いかける。
「シルビア嬢、この男との関係は?」
「...むやみやたらと乱暴を働いてきた、ただの通りすがりの方です」
レオンは振り返り、絶対零度の無慈悲な支配者の眼差しで、シルビアから通りすがり呼ばわりされた男を見る。
「そうか、シルビア嬢にいい度胸だ...あとでキッチリ調べあげるから覚えていたまえ」
あまりの対応の違いに度肝を抜く。
(そうだよ、お前ってそういうやつだよ!
人に接する際に見える態度の高低差加減!!
だがなっ、ロベルトもジーンもレイモンドも、私ももれなくドン引きしてるぞっっ)
エミリー自身の腕にも鳥肌がブツブツしてる。
気味悪い~~!!
レオンの頭には、何家なのかほぼ国内の貴族の顔と名前が頭に入っている。
(シュバルツ家の『影』が、あのご子息さん一家の隠してた事バッチリ調べあげるんだろうなぁ。
あんな乱暴が取り柄な男だもん、こりゃ終わりだな...)
「ヒッ!」なんて情けない声上げて、通りすがりのなんとかさん(...すでにエミリーの脳内から名前が消えてる)が走り去る。
いいなぁ、こっちもヒィ~なんて言いながら逃げ去りたいよ...。
私の四面楚歌な空気、どうにかしてよ。
そこそこ~~、二人で見つめ合わないで~!
レオン~、私のシルビアから手を離しなさ~い!!
ハッと我に返ったシルビアが慌てて「ありがとうございました」とレオンに声をかける。
「いいや、気にすることはないよ。
それより腕に跡が残ってる。
早く救護室に行って、腕を冷やそう」
優しい口調でレオンがシルビアを促す。
「あ、いえ、でもメアリーが、ダンスの練習中なので!」
「それはロベルト達に任せておけば大丈夫、さぁ」
「え?あ、ちょっと?」
シルビアは早い展開についていけないようだ。
レオンにガッチリ腰へ手をまわされ、促されるままにドンドン連れて行かれる。
あいつは狙いをすましたら強引だ。
どうせシルビアを私から引っぺがすのも目的の半分でしょ!
無の境地に至った私が、ヒラヒラ~~~っと手を振ると「すぐに戻りますわ」なんて声をかけてくる。
ほんとにすぐ、戻ってきてね~...望み薄だけど。
「さてエミリー、これからどんな話をしようか?」
腕を組みながらロベルトが優しそうな声で聞いてくる。
キタキタ~~!
全身にすんごい鳥肌!!
「ねぇエミリー、ボクと付き合うこと決めてくれた?」
壁際に並んだイスから立ち上がってレイモンドが近づいてくる。
「そんな話ししてたのかよ」と言いながら、呆れたようにロベルトがため息を吐く。
「あの時、断ったはずでしょっ」
そばにあったテーブルをグルグル回りながら、私はレイモンドと一定の距離を保ち逃げる。
ロベルトの脇に立ったジーンが「単刀直入に言うが、お前エミリオだな?」と聞いてきた。
「だな」って断定っすか!!
もう決定事項ですか!!
そんなのこっちだって引いてはいられん。
「私はエミリーです!」
ハァっとため息を吐きながらジーンが頭をかく。
「エミリー...悪いがくせが治ってないぞ...。
髪の引っ張り方も一緒だ」
「わわわわ私はエミリーですっっ」
レイモンドと追いかけっこをしながら、ジーンに言い返す。
ジーンと言い合ったりレイモンドと追っかけっこをして、ロベルトから意識は完全にずれてた。
すると突然背後から私は取り押さえられる。
「んぎゃ、ロロロロ、なななななにす...」
「ねぇお前、首の後ろにほくろがあるって知ってた?」
そう言うと、ロベルトは私のうなじにチュウっと音が出るようにキスをした。
「おおっおおおお前、ばっかやろ~~!
マジふざけんなっっ!!
そぉういうのは、おれじゃなくて女とやれっつー...の」
は~い、知ってた知ってた!
私も女でした~。
どうもどうもありがとうです
誤字脱字ご指摘ありがとうでした~ん(*´∀`*)




