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1.僕と孤児院

「」=喋った言葉()=心情です。

日常ミステリなので、初心者さん向けだと思います。

事件→調査→解決の三話で一事件のペースで進むと思います。

眼の前の子どもたちが僕の動きを真似する。決して上手ではないけれど。

愛らしい、可愛らしい動きが目を引く。僕にもこんな踊りができたらな。

大人ながらに、子供に憧れてしまう。これは駄目な大人だ。もっと自分らしくいなくちゃな。

ずっと悩んでたあの子も。逆に悩みのタネだったあの子も。

ましてや先生だって。難解なパズル(悩み)を僕に預ける。

これに僕は僕なりの答えを出したり、自分で調査したりして返す。

個人の趣味だから。勝手にやっているだけさ。

今日はどんなパズルかな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ふわぁぁ。朝、目が覚めた。目がずっとぼやけている。

体を起こそうという気持ちがない。でも動かなければ。

体にムチを打って動かす。

「あー、痛てぇ。体がぁ」

筋肉痛だ。厄介だな。今日は孤児院の日だっていうのに。

洗面所に行って、顔を洗う。

「冷たっ!もー、目が覚めちゃったや」

タオルで顔を拭って、朝ごはんだ。

「今日は何にしようかな〜っと。昨日のカレーの残りでいいや。

おっ!孤児院で貰ったチョコある!あれ?バレンタインって何ヶ月前だ?まぁいいや。

チョコは腐っても美味しいから」

朝ごはんは残りのカレーと溶けて包装紙にくっついたチョコ。プレーンヨーグルトだ。

「なんか三日前もおんなじようなの食べた気がする。健康状態が悪いな。

これじゃレッスンとか動きに支障がでちゃう。直そう」

僕は、メインは大学で講義を受けて、副業でダンスチームに所属している。一応最年少だ。

それに暇があるときには、近くにある孤児院に、ダンスを教えに行ってる。

施設長の意向だってさ。僕も関わりあるし。

「どうも今回のフリ、カウントがキツイなぁ。

そもそも早いのもあるけど、エンカウントしっかり取らなきゃだし、メリハリつけるのもだし。

先輩たちうますぎでしょぉ。動き自体はクラブ、ポップコーン、チャールストンだったり。

単純なやつがあるけど、それらにプラスのアイソレがムズすぎ」

そう、僕はヒップホップダンサーだが、アイソレ(アインソレーション)が苦手なのだ。

そもそも体が硬い。上手な子は子供でも僕より上手だ。

ブブブ

「ん?ラ◯ン?あぁ、なんだ、ゆーとか。先輩かと思っ...。

やば、先輩からもきてる!KEYT先輩だ。えーっと、JUURっち。飲みいかね?

しょーもなかった。よかったー、焦ったー。返信しないと。

えっと、 18才なので嫌です。パワハラですか? っと。これでいいや」

僕の名前は、JUUR(ジュール)。っていてもこれは本名じゃないけど。

本名は、宮水 珠鯒(みやみず じゅり)。よく名前が男っぽくないと言われるが男だ。詐欺じゃないよ。

ちなみにJUURは先輩が決めた。結構お気に入り。

ついでだし、僕の入っているグループ紹介しとくか。

グループ名はRhyme Pulse。英語で韻を踏む、リズムを取るみたいな感じらしい。

メンバーは、

リーダーで男最年長のRUIM。RUIMはオランダ語で広々って意味らしい。大学三年生。

本名は、明星 來(あけぼし らい)。通称、リーダー。

副リーダーで女最年長のFOXY。

本名は、憐上 阿紫(れんじょう あし)。この人は僕と同じ大学の先輩で、僕をこのグループに誘ってくれた人。通称、キツ先。由来はキツネ先輩だから。

次が、KEYT。男。

本名は、大内 螢兎(おおうち けいと)。大学二年生で明るくて人懐っこいタイプ。通称、KEYT

次に、FANC。由来があって、FANCYに由来。女。

本名は、宮日 些瑠(みやび しゃる)。大学二年生で先輩なんだけど、小さい。通称、ランドセル。

次が、CALM。冷静って意味の英語。

本名は、優咲 翡翠(ゆうさき ひすい)。同じ大学一年生だけど、グループ歴でいったら3年くらい先輩。通称、天才。由来は、旧帝大に通いながら、ダンスのセンスも抜群だから。

最後に、僕。JUUR。

本名、宮水 珠鯒。大学一年生。通称、パズル。由来は、ミステリ小説好きだから。

「あぁ、ご飯食べ終わったし、そろそろ孤児院行くか。

その前にフリ通しとこ」

その後、孤児院に行くまで三十分ほど朝の自主練をした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(やばっ。若干遅れてる。急いで着替えなきゃ)

孤児院に到着した時刻が10時50分。ダンス教室の開始が11時だから、10分で着替えなければいけない。

5分で着替えて、小さな体育館のような場所へ行く。

(結構子どもたちいるなぁ)

ここへダンスを教えに来るのは今日で5回目だ。

そこそこ子供達とも、打ち解けて来ている。

(ふぅー、緊張するなぁ)

僕がこの教室で教えるのは、4~5エイトの短い振り付けだ。かなり簡単だし、適度な運動になる。

一週間目に、振り付けを教えて、次週に音にのせて踊ってみる、というスタイルだ。

だから今日は振り付けを教える日。振付は先輩たちに考えてもらってる。

(今回の振り付け、アイソレ多いな。子供難しそう。できるかな。若干簡単にするか)

開始まで残り3分。今回の振り付けを一通り踊って、頭に入れる。

(うわっ、音ハメあるじゃん。カウント若干キモいけど。なにげにムズいな。

あっ1分前だ。よしっ行くか)

「えーはい。今日は、振り付けの日ですね。えっとまずストレッチから」

このダンス教室は施設長が、運動のため、発表会のため、と導入した。

去年まで、キツ先が教えていた。

(結構人気あっただろうな。キツ先。背高くて、美人で、ダンスもちゃんとうまいからな)

一通りのストレッチを終えて、フリ写しに入る。

「えっと、まずはシンプルなアップです。オッケーですかー?」

(意外とみんなできてる。キツ先すげぇ。リーダーだったら無理だぞ)

そう。うちのリーダーはコミュ障なのだ。グループのメンバーととか、友達となら話せるらしいが、

初対面の人と話せないらしい。最初、キツ先が誘ったらしいけど、結構時間かかったって。

でもダンスだけは抜群。これでもうちは世界大会に出てそれなりに良い成績を残しているが、

リーダーなしでは、不可能だっただろう。リーダーはソロでも世界大会行けるレベルだ。

「えっと、ではこのアップに首をつけていきましょう。

上がったときに首を後ろへ引く。そうです、そうです」

(そこそこのバラツキはあるものの、大体皆できている。キツ先すげぇ)

そのままいつも通り一時間ほどフリ写しをして終わった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅ、疲れたー。にしてもこの孤児院も古くなったなぁ」

なぜ僕がこの孤児院で、ダンスを教えているかというと、2つの理由がある。

まず1つ目が、キツ先がこの孤児院に世話になったらしい。

といっても、キツ先は孤児院出身ではなく、家が近かったらしく、遊びに来ていたというのだ。

2つ目が、それに僕もついて行っていたらしい。「らしい」ということは、僕の記憶にはない。

母親から聞いた話だ。僕は孤児院に遊びに行っていた記憶はあるが、そこにキツ先がいたか

どうかを覚えていない。

誰かと一緒に行っていた、ということは覚えている。

が、その子は背がちっちゃくて、泣き虫で。今の高身長で、ハイスペックのキツ先には似ても似つかない。

以上の2つの理由で、僕はここへ来ている。

キツ先はバイトが忙しいから、僕に代わりを頼んだ。

コンコンコン

(え?誰だろう。まぁいいや)

「はーい、どうぞー」

そこには、この孤児院の若い保育士さんらしき人物がいた。

「えっと、すいません急にお邪魔してしまって。

私はこの孤児院で、保育士をしている、奏 菖蒲(かなで あやめ)と言います」

(うわっ。子供人気ヤバそー)

奏さんは、人懐っこい感じの美女で、黒髪ロングだ。それに体型がすらっとしている。

(そんなことより、なぜ来たか、だ。もしかして僕の指導が良くなかったとか。

それはまずい。キツ先の努力を無駄にしてしまう)

「あの、どうされましたか?なにか私の指導に問題が...」

「いえいえ、そういう訳ではなくてですね。すこしお話がありまして...」

(話?なんだ、話って。もしかして、僕自体が嫌だったとか?

確かに僕はキツ先と比べると、ダンスは下手だし、特にぱっとしないけど...)

「お、お話というのは...」

震える声で、質問の真意を問う。

「あの、子供たちが皆同じ夢を見るんですけど、何故かわかりますか?」

(え?何を言っているのだ?この美人は)

色々と身構えたが、思いっ切り拍子抜けした。

(なぜ、集団で同じ夢を見るのか?なぜそれを僕に聞く?)

「えっと、まずそういうことは、施設長さんに聞いたほうが...」

「施設長もわからない、前例がないみたいで...」

「なぜそれを僕に?」

「アシさんが、宮水さんはミステリオタクで頭が良い、とおっしゃられていたので」

(キツ先のせいか。それに僕はミステリ、マニアだ。マニア。

キツ先め。最後にでっかい遺言残しやがって...。でも面白そうだ)

「なるほど、キツ先が...。わかりました。僕なりに色々と考えてみます。

あまりいい答えが出ないかもしれないですけれど、一応詳細を聞かせてくださいますか?」

「は、はい?キツ先さんとは...」

「あぁ、全然気にされなくて結構ですよ。あだ名のようなものなので。

FOXY=FOX。FOX=キツネ。なのでキツネ先輩。略してキツ先です」

「なるほど、FOXYさんがおられるのですね」

「えぇ、はい。説明されてませんか?もしかしたら、キツ先...阿紫さんが忘れているのかも」

「あぁ、いえ。受けましたよ。まぁ私はその日休んでいたので、後日聞いたのですけど」

「なるほど、えっと僕のことはわかりますかね」

「はい。存じております。ジュリさんですよね。たしか、ジュールさんでしたっけ。ダンサー名」

「あぁはい。ジュリさんでも、ジュールさんでもどちらでも大丈夫です」

「わかりました。では、ジュリさん早速本題の集団で同じ夢を見る、という現象についてですが。

私の見解では、お恥ずかしながら怪奇現象だとしか...。ですが、特に幽霊などの情報は聞いたことがなく。

困惑しています。一応個人的に予備調査をしているのですが...」

「なるほど、予備調査を...。怪奇現象、ですか。僕も探偵でもなんでもない一般人なので

詳しいことは申し上げられませんが、可能性としてはあり得ると思います。

ですが、個人的に最終手段かな、と」

「最終手段...」

「えぇ、ミステリでもそうなんです。

おかしな事件が起こったとき、怪奇現象、超常現象などの類、を結論にすることは少ないのです。

基本的に、「祟り」や「呪い」の類だと思わせておき、物理的もしくは心理的なトリックがある、

というのが定番です。

パズルなんかもそうです。知恵の輪は、超常現象を使わなければ解けない、なんて物は

ありません。必ず、物理的に解決できるのです」

(まずい、少しミステリ好きが出過ぎたか?かなり理解が難しいかも)

「なるほど、なのでこの事件、パズルも超常現象以外のトリックがあると?」

挑戦的な顔をしている。

(良かった。理解ができてみたいだ。変な人だと思われずにすんだ〜)

「えぇ、必ず、とは言い難いですが」

「では早速私が事前に調べておいたことを、紙にまとめておいたので、お時間があれば目を通して

みてください」

(もう資料が?準備いいんだな。これは同僚からも慕われるだろうなぁ。まさにデキる大人って感じ)

僕とは対照的とも言える人物を前に少し緊張してしまった。

(キツ先と同じグループだ)

キツ先と同じグループ。すなわち、美人で、スタイルが良くて、気配りができて、頭脳もいい。

いわゆるハイスペの勝ち組だ。僕は中立。

それなりにイケメンだと言われるが、自覚はなし。スタイルは同じくらいかな。

気配りはできないかも。そもそもあまり人と積極的に話すタイプじゃないし。頭脳はまぁまぁいいよ。

うーん。中スペックぐらいか。

そんなことをボヤいているうちに着替え終わった。

(特にすることもないし帰るか。ん?ラ◯ン?)

ラ◯ンに新着メッセージが十件ほど来ていた。

(えっと、リーダーだ。リーダーが、明日午前10時から。フリ直しする、か。

それに各々が了承してる感じね。じゃ、僕も送ろう)

オッケーです、と送ると昼食を取ることにした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅ。どうしたの?ゆーと。あ、お久しぶりです」

僕は今、ファミレスにいる。眼の前には、美男美女カップルがいる。

眼の前のカップルとは、僕の親友、ゆーとこと、白神 悠叶(しらがみ ゆうと)と、

その彼女、猫塚 麗(ねこづか れい)のことだ。

この二人は学内でも噂のお似合いカップルで、喧嘩はもちろん。

苛ついたことすらないという、完璧カップルだ。

ゆーとは、容姿端麗。成績優秀。スポーツ万能。超優しい。察する通り完璧人間だ。

麗さんは、容姿端麗。成績優秀。超優しい。清楚系。可愛い。察する通り完璧人間だ。

この二人がくっついたのだ。もう眩しくて見てられない。

「なんだ?ゆーと呼び出して。彼女がいない僕への当てつけか?」

「違うよ。そんなことすると思うか?それに、ジュリも彼女つくれよ。いい加減。

周りにいい人いっぱいいるだろ?

FANCさんは、写真見せてもらったけど小さくて美人でモテてそうだし、

翡翠さんは、俺の地域じゃ有名な美人だぜ?

憐上先輩は、俺等の学校では、憧れない人はいない、とまで言われる。

その三人がお前の近くにいて、しかも全員独り身だぞ?大チャンスじゃないか」

「余計なお世話だよ。それにほら、彼女さんが怒ってるぞ?」

ちなみに、リーダーは彼女持ちだ。5年目って言ってたかな。リーダー、超絶イケメンだもんな。

KEYT先輩は、当然彼女持ち。3年目らしい。チャラいけど一途だから。

つまり、Pulse男子メンバーで僕が唯一の独り身だ。寂しい。

ゆーとは隣に彼女がいるのに、美人だー、とか言っている。

麗さんが、ジト目で見つめるのも当然だと言えるだろう。

「あぁ、麗。大丈夫。あれは客観的に言っただけだから。俺的には麗が世界一だからさ」

麗さんが頬を真っ赤に染めて、小さく、もうっ、と言いながらゆーとを叩く。

(なんだこれ、口の中が甘い。砂糖を食っているみたいだ)

「あー、あの、イチャイチャはそこまでにして、なんで呼んだのか教えてもらえるかな?」

「あぁそうか。ズバリ!課題を教えてください。ここ1,2週間インフルで休んでて...」

「えー、麗さんに聞けよ、って別の学部か。しょうがない」

(じゃあ、なんで麗さんはついてきたんだ?まぁ、どうせ、浮気しないか不安、とかいう

甘々な理由なんだろうが)

その後俺は、ファミレスで30分。それ以上するとファミレスに迷惑なので、図書館で一時間の

合計1.5時間もゆーとの課題に付き合った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「疲れたぁー」

思わず声が漏れてしまう。今日は体も頭も使ったからね。

「荷物片付けなきゃ。あれ、この紙...」

今日持ち歩いていたショルダーバッグの中に白い紙の束があった。

「あぁ、あの孤児院の...」

そう、これは孤児院でもらった紙なのだ。

(このまま捨てるのも失礼だし、目を通しておくか。

えっと〜)

登場人物紹介

宮水みやみず 珠鯒じゅり…大学一年生(19才)。ダンサー。主人公。

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Rhyme Pulse

RUIMライム…本名、明星 來。21才。リーダー。

FOXYフォクシー…本名、憐上 阿紫。20才。副リーダー。

KEYTケイト…本名、大内 螢兎。19才。

FANCファンク…本名、宮日 些瑠。19才。

CALMカーム…本名、優咲 翡翠。18才。

JUURジュール…本名、宮水 珠鯒。18才。僕。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

孤児院

奏 菖蒲…保育士。パズルの提供者。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

友達、その他

白神 悠叶…珠鯒の友達。ハイスペック完璧人間。

猫塚 麗…悠叶の彼女。ハイスペック完璧人間。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ダンサー名はなんとなくのイメージから、作りました。

見た目、名前と絡めて考えました。

次回は報告書よんで、自分なりに色々考察するところになる予定です。

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