6.事件
帰ってきた一同はクリスティの料理で舌鼓を打っていた
「母さん!めちゃくちゃうまいぜ!おかわり!」
「クリスティさん!俺もお願いします!」
「ふふ、わかったわ~」
「ガハハハハ!よく食べて体をでかくするんだ!」
「二人ともそんなに良く食べるよね~」
「まぁ母さんの料理だしな」
「まぁクリスティさんの料理だし」
「確かに、おいしいのは間違いないね!お母さん私もおかわり!」
「はーい、トレシアちょっと待ってね~」
本当にクリスティさんの料理はうまい。
味付けは塩だけでシンプルなんだが、食材の本来のうまみを生かして、深い味わいを出すプロらしい。
日本で食べていたコンビニ飯よりも遥かにうまいなんて感動…!!
そんな思いで時に涙まで見せながら、アインハルトと共に幸せそうにがっつく光であった。
◇◆◇
ガサゴソ、ガサゴソ
光はナードさんと一緒に夜の森に入って狩りを行っていた。
実は、食事の後ナードに
「ヒカル!お前の力を見るために今晩狩りにいくぞ!ガハハハハ!」
といわれたため、緊張しつつも夜の森を慎重に歩いていたのである。
「お、ヒカル、あそこにフォートンベアーがいるのがわかるか?」
「あ、あそこですね。遠いですが確かにいます」
そこには緩慢な動きで四足歩行をしているフォートンベアーがいた
「そうだ、ヒカル、お前の持ってる剣を投擲してフォートンベアーを狩ってみろ」
「え…そんなこと自分にできますか?ナードさんが僕を助けてくれた時みたいに弓じゃダメなんでしょうか?」
「ヒカルが今持っている弓と弓矢ではあいつは一撃では死にやしない。あの時私があいつを狩れたのは特注の弓とそれに合う巨大な弓矢だったからだ。今日はあいにく持ってきてないんだ。だからヒカルの剣でフォートンベアーの額を打ち抜くんだ」
「わ、わかりました」
襲われた時以来、光はフォートンベアーとは戦ったことがない
むしろ避けていたというのが正しい
光は自分の足が少し、震えているのを感じた
「ポイントは『身体強化』を肩から腕にかけて集中してかけることだな。私のをまねしなさい」
『身体強化』
ナードの肩や腕が魔力の揺らめきによって蒸気が上がっているように見え、魔力が集中して込められることによって煌めいているようにも見える。
それを見た俺は同じく『身体強化』を自身の右肩から手先に懸けて全集中してかけ、魔力を張り巡らせる。
「いい魔力の練り具合だ。その調子で『身体強化』をかけ続けろ」
ナードのアドバイスをもらい、『身体強化』に使う魔力を上げていく、だんだんときつくなっていくが、それを何とか我慢する
魔力が凝縮されることによって光の体が艶を放つようになる
「よし、それだけあればいいだろう。狙いを定めて剣を投げてみろ」
「はい」
のっそのっそ、と生体系の頂点ゆえの傲りか、緩慢に動くフォートンベアーめがけて剣を放つ。
ビュオン!!
引き絞られた剛弓から放たれた矢のごとく剛速球でフォートンベアーの額めがけて剣が飛んでいく。
「ぐぁ」
短い悲鳴を上げたフォートンベアーは一瞬動きを止めて、ドシン!と音を立て地面に倒れた。
「よっしゃ!!」
小さい声でガッツポーズした光は「よくやった!」とナードに褒められて頭を撫でられていた。
フォートンベアーに近づくと、剣はきれいにフォートンベアーの額に深く刺さっており、一瞬で死んだと思われる。
剣についた血を振り払い、さやにもどす。
(倒せて本当に良かった!この剣って森の中で偶然に得たものだけど、手入れとかしなくても全然さびないし、切れ味がすごくいいのはなんでだろうか)
ざっざっざっ、
近づいてきたナードは覚悟を決めたような真剣な表情でヒカルのほうを向いていた。
「ヒカル、よく聞いてくれ…その剣はとても大切な物で、私の村では秘宝なんだ。絶対になくしたり人にやったりしてはいけない。いずれわかるだろうがそれは選ばれた者にのみ与えられるものなんだ」
「は、はい!わかりました!」
(この剣ってかなりのレアアイテム的な物で、村でも特別なものなのか?それを自分なんかが持っていても…まぁナードさんが自分は選ばれた者っていってたし、大丈夫なのかな…)
そうしてフォートンベアーを二人で解体して持って帰ろうとしていたその時…
ドーン!!
遠くから大きな爆発音と眩い光が上がり、あまりの光に一瞬昼かと見迷う程であった
光はその光景に一瞬怯み、目をつぶったが、ナードは爆発音と光の上がった方向から目を逸らさず凝視していた。
「あっちは、なんてことだ…私の村じゃないか!!!ヒカル急ぐぞ!!」
「え…あ…は、はい!」




